2017.04.17
老後を心豊かに生きるには
内藤内科クリニック院長(富山性差医療研究会代表幹事) 内藤 毅郎先生の投稿です。
数年ほど前から毎日の診療で気づくようになったのは、高齢者、とくに女性の高齢者の不安や心配がどんどん膨らんでいることです。
独居の高齢者、高齢夫婦二人暮らし、子供と同居だがあまりかまってもらえない人たちなどの間に、不眠、いら立ち、胸部不快感、食欲不振などの症状が目立ち、頻繁に受診したり電話をかけてきたりということが増えています。
かかりつけ医としては丁寧にお話を聞き、寄り添うことに努めていますが、どうしてこういう現象が顕著になってきたのだろうかと考えてしまいます。
私は老後を安心して心豊かに生きるためには、次の5つが大切だと思っています。
①家族との良好な関係
②経済的なゆとり
③生きがい(趣味や仕事)
④信仰心
⑤自分がやってきたことに対する充足感
もちろんこうしたことの基礎に大病をしないことがありますが。
なにもこういう要素がすべてそろっていないといけないわけではなく、こうした要素ができるだけ多いことが安心につながると思うのです。
そしてこうしたことは若年期~壮年期から自分で作り上げておく必要があると思います。
あまり準備することなく、いわば丸裸の状態で老年期に入っていきますと、そこから人生を立て直すことは容易なことではありません。
自分自身は現在50代の後半ですが、今の段階で自己採点すると、①は○、②は△、③は○、④は△、そして⑤も△というところでしょうか。
あと10年か20年の間に全部○になればよいのですがそれも自分次第ということでしょう。
人生は自分で創りあげていくもの、だからこそ楽しいのだと思います。
毎日の診療では、心配ばかりしている患者さんに
「からだや病気のことを心配するのは1日30分もあれば十分。他の時間は楽しいことを考えましょうね。一回きりの人生ですから」
とお話しています。
みなさん、「この人何言ってるの!?」って顔していらっしゃいますが、それでも繰り返しそういうふうにお話しています。
内藤内科クリニック院長(富山性差医療研究会代表幹事)
内藤 毅郎
http://www.naitonaika.com/doctor.html