天野理事長ブログ&スケジュール

2017.04.24

木下優子先生を偲ぶ

天野惠子理事長の投稿です。

【編者注】 
 木下優子先生は当団体の会員であり、日本大学医学部附属板橋病院の外来医長でした。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

20161031日、木下優子先生が亡くなられました。

 

享年47歳。余りに若いその死に言葉がありません。

20013月千葉県知事に堂本暁子さんが当選され、9月に性差医療の実践の場として千葉県立東金病院に女性外来が誕生しました。

担当医は千葉大学医学部医学科大学院へ在籍中の竹尾愛理先生。

殺到する女性たちの主なる症状は、いわゆる不定愁訴。若い竹尾先生は本当に困っていらっしゃいました。西洋医学の最も苦手とする分野です。そこで、株式会社ツムラにお願いして紹介していただいたのが、弱冠31歳、日本大学医学部付属板橋病院東洋医学科の木下優子先生でした。

 

木下優子先生を講師として千葉県女性外来担当医師の漢方勉強会が平成1412月に始まりました。

そのころの木下先生はころころと太っていらして、大変お酒の好きな女性で、多くの男性を引き連れて勉強会のあとは二次会へと出かけていらっしゃいました。その講義の内容は、ちょっと型破りの気の張らない雑談がたっぷりと言うもの。

明日からの臨床に役立ててもらおうと言う木下先生の思いがしっかりと伝わってきました。聞いているほうは、げらげら笑いながら聞いているうちに、終わってみれば、あれ?内容は何だった?と言うこともしばしばでした。

 

それから足掛け15年、千葉から始まった女性医師のための漢方セミナーは、「入門セミナー(入門編)」「アドバンスセミナー(フォローアップ編)」「ステップアップセミナー(上級編)」と医師の習熟度に沿ったセミナーへと変わり、年に数回、1泊2日で全国的に展開されました。

 

昭和薬科大学田代眞一先生が科学の切り口から“漢方は何故効くのか”を講義され、私は女性外来の現状や性差医学のトピックスを話し、木下優子先生が漢方(概論、基礎知識、領域別の治療)の講義と実技指導をされました。

セミナーの特徴は、“このセミナー内容をマスターすることで、女性外来を受診し、漢方薬を必要とする患者の疾患ほとんどに対処できるようにする”とプログラムが組まれていたことです。

 

お元気だった木下先生が病に倒れられたとお聞きしたのは、2015年夏。信州の講演先で、吐血され、信州大学へ救急搬送されたとお聞きしました。

胃がんでした。

それから1年。あっという間の訃報でした。

 

本当に惜しい人材を失いました。

常に即決、即断、即実行。東洋医学の世界で、そして緩和医療の世界で、他の追随を許さないレベルだった木下優子先生には、もっともっと日本の医療のために頑張っていただきたかったと心から思います。

 

木下先生、長い間ありがとうございました。

先生の漢方に寄せる熱い想いを受け継いで、弟子一同頑張っていきますので、これからも天国から叱咤激励して下さい。

 

木下先生、さようなら。安らかにお眠り下さい。

はすの花

 

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