2016.05.30
色彩心理学を生活に。
みなさんは色の持つ効果を生活に取り入れているでしょうか?
もし全く考えても見なかった、という方は色の持つ効果を少しでも生活に取り入れてみるといいかもしれません。
ビジネスの現場では色の持つ効果が積極的に取り入れられています。
有名な例として、グローバルに展開するIT大手企業「日本オラクル」社があります。
同社には赤い部屋と青い部屋が用意されています。
赤い色は交感神経を高めるため、赤い部屋は活発な意見交換や社員を褒めるような会議など盛り上がりや楽しさを重視する会議に利用されます。
一方、青色は副交感神経を優位にするため、青い部屋は反省会や叱責の場として用いられます。ついつい興奮して部下を叱責しすぎたり、叱られた方がイライラしたり、反省会で必要以上に追い詰められたりしないように、冷静になれる環境を重視した部屋だからだそうです。
赤い色やオレンジ系の暖色は、短い時間でも長く感じたり(神経が研ぎ澄まされ、短時間で沢山の情報に気づくからだそうです)、食欲を増進したりするために、ファストフード系の飲食業で多用されるカラーです。
例えばマクドナルド、吉野家、松屋、などがよい例ですね。ささっと食べても満足感を時間的に得られ、よりおいしく食べることが出来る環境づくりを狙いとしています。
NAHWの会員のみなさんはお医者様が多いのですが、医療の現場でも色のもつパワーが活用されています。
病院の壁や看護士さんの制服の色は、昔は清潔感を重視した薄い水色や白が多かったと思います。しかし最近では、むしろ病気を抱えた人には白や水色はマイナス効果が大きいことがわかってきたために、ベージュやうすいピンクが多用されるようになりました。
特に白は、神経にぴりぴりした強い刺激を与えることがわかっています。真っ白な部屋に閉じ込められた囚人は発狂しやすくなるという実験結果もあるくらいです。元気な人には気持ちが引き締まってよい色なのですが、病気の方には精神的な負担となってしまうようです。
一方、ピンクは女性ホルモン分泌を活性化し、あたたかな気持ちに導く効果があり、ベージュはヒトの保護色でもあるため、安らぎを与えてくれる色だそうです。病気を持った方が穏やかにいられるためにはとてもいい色だと思います。
いつも仕事をするデスク周りや時間を多く費やす部屋などに、色の持つ効果を取り入れてみるといいかも知れません。
壁紙や家財などこまめに変えられないものはありますが、その日の気分や体調に合わせて変えられる色小物なども効果的でおすすめです。
㈱ニッセイ基礎研究所 生活研究部
JADP上級心理カウンセラー 天野 馨南子