2016.02.16
国民健康会議③
天野理事長のコラムです。
山海先生の講演の最後に、ロボットスーツHALの活用事例の紹介とデモがありました。
まず、デモンストレーションでびっくりしたのは、ロボットスーツを立てて置き、被験者が並んで立ちます、その後ロボットスーツへ被験者の腰の辺りに装着した電流を感知する装置から生体電位信号を送ります。そうすると、びっくりです。被験者が頭の中で左足をあげると考えるだけで、ロボットの足が上がるのです。動画での紹介では脳性マヒのため50年間歩けなかった方が、HALを装着しての訓練で、歩行が可能となる様子も見せていただきました。
病気にならないためのAssist技術としては、工場での重たい荷物の持ち運びで生じる腰痛をはじめとする事故の防止を目的とした腰のためのロボットです。重さは3kg。
コルセットのようなものでしょうか。自力で持てないほどの大きな力が出ないように制御されているそうです。
山海先生の凄いところは、研究室の中での成果を介護・医療の現場で役立つように研究室の壁を越え、日本の規制も何のその、常に夢の実現のために果敢に世界中を相手に挑戦していく姿勢です。
HALが国際的に認められ、臨床応用されるように道をつけられた場所はドイツでした。2013年、ドイツの公的労災保険機関を事業パートナーとして、ドイツのNRW州ボーフム市に、脊髄損傷や脳卒中を含む脳・神経・筋疾患の患者に対する機能改善を目的とした新会社(サイバーダイン・ケア・ロボティクス社)を設立し、日本発の最先端ロボット治療機器が、世界展開へ向けて第一歩を踏み出しました。欧州では既に欧州最大の第三者認証機関から欧州医療機器指令に適合していることを証明する認証がおりているそうです。
特記すべきことは、サイバーダイン・ケア・ロボティクス社が提供するロボットスーツHALを利用した機能改善に対してドイツ公的損害保険により労災保険の適用が認められ、一回あたりの機能改善の診療報酬500ユーロ(約6万5千円)x60回の全額が労災保険でカバーされているそうです。
日本でも遅ればせながら、2015年11月25日に医療機器としての承認が下りたとのことです。HALが展開する驚きの世界については、下記のホームページを是非ご覧になってください。
(http://www.cyberdyne.jp/products/HAL/)