天野理事長ブログ&スケジュール

2016.02.09

国民の健康会議②

天野理事長のコラムです。

山海先生は、筑波大学大学院システム情報系教授、筑波大学サイバニクス研究センター長です。

 

人・機械・情報系を融合した新学術体系を確立し、「サイバニクス:Cybernics」と命名され、2004年に研究成果を活用されることを目的とした大学発ベンチャー企業「サイバーダイン株式会社」を設立。ロボットスーツHALの研究開発・製造・販売を進めてきました。

 

Cybernicsとは、CyberneticsMechatronicsInformaticsを足し合わせた造語だそうです。

2008年にサイバニクス研究教育プログラムが、文部科学省グローバルCOEプログラムとして採用され、サイバニクス国際教育研究拠点の拠点リーダーとなり、2009年には内閣府最先端研究開発支援プログラム「健康長寿社会を支える最先端人支援技術研究プログラム」の中心研究者として、統括されることとなりました。2014年には、内閣府革新的研究開発推進プログラムImPACTプログラムのプログラムマネージャーに任命されています。

 

現在、山海先生が目指しているのは、要介護ゼロの社会。2055年代には日本の人口の4割以上が65歳となります。患者のためには「残っている機能を改善し、再生する技術」を研究開発し、介護者・医療者のためには「診断・治療・医療支援の技術開発」を推進し、多くの国民に向けては、病気にならないためのAssist技術開発を進め、早い段階で要介護ゼロの社会を目指したいとのことでした。

 

HALとはHybrid Assistive Limbの略語です。

私たちが身体を動かすとき、脳から筋肉へ神経を通して様々な信号が送られています。その信号は“生体電位信号”として、皮膚表面に漏れ出ているのだそうです。

HALは装着者の“生体電位信号”を読み取り、パワーユニットをコントロールすることにより、下肢や上肢を補助して、歩行や屈曲などの動作を可能とするとのことでした。

更に最近では、人の「動かしたい」という動作意思が反映された微弱な“生体電位信号”によって動作補助を行うロボットスーツHALを用いると、HALの介在により、HALと人の脳・神経系と筋系の間で人体内外を経由して相互に作用しあうバイオフィードバックが促され、これによって高齢化に伴い増加してくる脳・神経・筋系の疾患患者の機能改善が促進されるというiBF仮説(interactive Bio-Feedback仮説)に基づき、臨床応用を通じて人の歩行の機能改善が可能であると言うことが確かめられてきているそうです。つまり、人の脳から「動かしたい」という自発的な指令信号が、脊髄や末梢神経を介して筋骨格系に伝わり動くだけでなく、実際に「動いた」という感覚のフィードバックを再び人の脳へ戻すことが、機能改善の重要な鍵となるのだそうです。

(次回に続く)

神経回路

 

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