天野理事長ブログ&スケジュール

2015.10.05

「PDE5阻害薬からみた男性医学2015」

天野理事長が第15回日本Men’s Health医学会に参加致しました。

第15回日本Men’s Health医学会の2日目、ランチョンセミナーへ参加しました。

 

演者は順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学 堀江重郎教授、タイトルは「PDE5阻害薬からみた男性医学2015」です。

性差医療情報ネットワーク(NAHW)の理事長としては、男性側の情報がNAHWに寄稿される突破口になればと思い、しっかりと聴いてきました。

 

PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬のタダラフィルは、イーライリリーが製造販売、日本新薬が発売する勃起不全(ED)、肺動脈性肺高血圧症、前立腺肥大の治療薬です。実は、今回、初めてタダラフィルが前立腺肥大の薬であることを知りました。

ED治療薬はシアリスとして2007年9月に、肺動脈性高血圧症薬はアドシルカとして2009年12月に販売開始され、臨床応用されています。前立腺肥大薬ザルティアという販売名で発売開始されたのは2014年1月、実はつい最近のことです。ザルティアは、前立腺肥大症に伴う排尿障害に対して、1日1回5mgを経口投与します。

 

EDについては、健康保険適用外の自由診療ですが、肺動脈性肺高血圧症および前立腺肥大については保険適用です。

 

前立腺は男性にのみ存在する臓器で、尿道の周りを取り囲むように存在しています。

前立腺は年齢と共に肥大し、尿道を圧迫し、「尿の勢いが弱い」、「尿が出始めるまでに時間がかかる」、「頻尿や切迫性尿失禁がある」「残尿感がある」などの症状を発現させます。

 

タダラフィルは、尿道や前立腺の平滑筋細胞において、筋肉弛緩物質である環状グアノシン一燐酸(cGMP)を分解するホスホジエステラーゼ5(PDE5)を阻害します。その結果、平滑筋が弛緩し、それにより、下部尿路組織における血流及び酸素供給が増加し、前立腺肥大症に伴う排尿障害の症状が緩和されるものと考えられています。

 

もともとは血管の筋肉(血管平滑筋)を弛緩させ、陰茎の血流を改善させることでEDの治療薬として利用されていた成分を、使い方を少し変え、尿道の筋肉を弛緩させることにより前立腺肥大の治療薬としたのです。

 

副作用としては、消化不良、頭痛、CK上昇、筋肉痛、ほてりなどの軽いものから、Stevens-Johnson症候群を含む重大な過敏症(発疹、蕁麻疹など)も報告されていますので、使用時には十分な注意が必要です。

紅葉と滝

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