天野理事長ブログ&スケジュール

2015.09.03

少子化問題と女性の喫煙

今回は、内藤内科クリニック院長 内藤毅郎先生の寄稿です。

わが国は人口が増加から減少に転じ、少子高齢化が他に例をみない速度で進んでいる。

 

このうち少子化については、女性が昔に比べ高学歴となり社会人として活躍するようになったことで晩婚化や高齢出産の傾向が強まっていること、そして子供を産んで育てることがまだこの国では大きなハンディキャップであることなどが主な原因となっている。

 

そこで少子化問題の対策として妊娠・出産教育の普及や育児環境の整備、男性の家事労働参加が重要とされている。

しかしここでは敢えてあまり指摘されることのない「女性の喫煙問題」を取り上げてみたい。

 

日本では他の先進国と異なり男性に比べ女性はタバコを吸う人が少なく、最近の調査では成人男性が約30%に対して成人女性は10%程度の喫煙率である。

しかしその推移をみると男性喫煙者が順調に減る傾向にあるのに対し、女性の喫煙率はあまり顕著な減少傾向がみられていない。

 

言うまでもなく女性の喫煙は不妊、早産、死産、低出生体重児、乳幼児突然死症候群、小児癌などと関連がある。したがって健康な子供を産み育てるうえでタバコは大きな脅威なのだが、そのことが社会に十分認識されているとはいいがたいし、政府の少子化対策に女性の喫煙を減らすための具体策が明記されていない。

 

要するに十分な禁煙教育が大事なのである。

保健所では妊婦教室や乳幼児健診の際に禁煙教育を行っているところもあるが、小中学校で禁煙教育が正式なカリキュラムに組み込まれていないことも大きな問題である。

筆者は一人の禁煙専門医の立場で富山県内の小中学校でしばしば禁煙教育を行っている。

 

ある小学校で禁煙教室をしたあとの6年生女子の感想文には「たばこをすったら病気になったりはやく死んでしまったり元気な赤ちゃんを産めなくなるからたばこをすっていいことはないなと思いました。家族もたばこをすっているので今日聞いたお話を伝えたいなと思いました」と書かれていた。

 

きちんと教育を受けた子供たちは、無教育状態の大人たちよりもずっと優れていると強く感じる今日この頃である。

 

内藤内科クリニック院長 内藤毅郎(ないとうたけろう)

http://www.naitonaika.com/

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