天野理事長ブログ&スケジュール

2015.08.20

月経前症候群を知らない女性たち②

前回の「月経前症候群を知らない女性たち①」で知人ママの相談にのっていたときのことです。

 

話を聞いていたもう一人のママから「じゃあ私ももしかして月経前症候群(以下PMS)かしら?」との相談をうけました。

 

①で御紹介した女性は生理前になるとうつ病のような症状が激しくでて悩むケースでしたが、今回の女性は生理前になるとイライラして発狂状態になる、と笑いながらおっしゃいました。

 

彼女が「そういえばそれって必ず生理前に起こるかも」と気がつかれた症状は

 

・月に一度、かならず職場の上司と大激突をする。あとで考えるとそこまでやらなくてもよかったかな、と思うものの、その時はとにかく許せないし、激しく抗議しないと気がおさまらない。

 

・夫にも「君は性格が・・・」と言われるほど、夫に八つ当たりしたり、怒りまくったりしないと気がすまない日がある。

 

・上のような発狂状態は生理前にだけ起こる。普段は腹が立たないことが腹立たしい。自覚はあるが制御できない。ご主人ともども彼女の性格のきつさの問題と思っている。

 

私がボランティアで女性外来の患者様のカウンセリングをしていた時に、女性ホルモンの値が低下してくる更年期の症状としてよくお聞きしたのが「今までなんともなかったことが凄く嫌に感じるようになった」(夫の昼寝姿、片づけをしないでテレビを見ている姿、などなど)という相談でした。

 

PMSも更年期障害と同様、女性ホルモンの低下を原因とする症状ですので、なるほど、とこの女性の話を聞いて納得したのです。

 

彼女にも女性外来への受診をおすすめしました。

こちらは月に数日の悩みで、生理周期も普通、本人は「困ったことに、こういう性格なのよ」くらいにしかとらえておらず前向き、ということもあったため、①で御紹介した女性よりは気楽に受診されたようです。

 

後日、経過を伺ったところ、漢方薬が処方されたとのことでした。

まじめに服用を継続され、結局、お子さんが保育園に上がるタイミングで新たなお仕事を見つけて正社員として兼業主婦をされています。

 

本人は気がついていなくても、PMSは対人関係などにヒビをもたらし、就業継続を困難にすることも少なくないように彼女の話を聞いていて思いました。

 

沢山の女性が「これって起伏の激しい性格だから仕方ない」と思わずに、PMSの相談を女性外来にされることで、女性の就業継続率もより高まるかもしれません。

 

㈱ニッセイ基礎研究所 生活研究部研究員 

JADP上級心理カウンセラー 天野 馨南子

http://www.nli-research.co.jp/company/lifedesign/kanako_amano.html

ガッツポーズ女性

 

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