天野理事長ブログ&スケジュール

2015.05.25

冷え症②

私たちは、暑い環境に対しては、発汗などの放熱作用により体温調節をすることができます。

 

しかし、寒冷の環境に対しては、暑いときの発汗に匹敵するような、有効な熱を産生する手段を持っていません。そこで、末梢血管を収縮させて四肢末端や皮膚表面の血流を少なくし、熱が外に失われるのを防ぎます。そのため血液が行き渡りにくくなった手先や足先は、温度が下がります。更に寒いと、体が震えてくるのは、これは筋肉を動かすことで熱を作り出そうとする反応です。

 

この熱の調整を行っているのが交感神経と副交感神経です。ですから、何らかの理由で、自律神経が乱れ、体温調節が行われにくくなると冷えやのぼせの症状が出てきます。

冷え症を改善するためには、自律神経を乱すような生活を改善し、早寝・早起き、規則正しい生活、ストレスをためない、適度な運動と休息、バランスの取れた食事、冷たいものを摂り過ぎない、積極的に体を温める(毎日の入浴、適切な衣服の着用)を心がけるのは当然です。

 

しかし、現代社会では、色々工夫しているけれど冷えると訴える人が増えているように思います。

 

西洋医学では「冷え症」は治療の対象になりません。しかし、漢方医学では、冷え症の治療は得意とするところです。冷え症は、気虚(エネルギーの不足)、瘀血(血液の流れや働きの障害で、熱が運ばれにくくなっている)、水毒(体の水分が多すぎる、偏っている)など、気・血・水の異常から生じると考えます。

 

代表的な漢方薬としては、

 

全身の冷えがあり、全身倦怠感を伴う:真武湯、人参湯

 

お腹が冷える:大建中湯

 

腰・大腿部の冷え(腰から下が、氷水の中に入っているようなといわれる方がいます):苓姜朮甘湯

 

下肢の冷え(膝から下):八味地黄丸

 

手足(手指、足趾)の冷え、レイノー症候群:当帰四逆加呉茱萸生姜湯

 

冷えのぼせ(足は冷えるが顔は火照る):桃核承気湯、温経湯

 

女性外来では、平素から体温が低く、むくみやすい体質で、風邪を引きやすかったり、疲れやすかったりすると訴える若い女性に、当帰芍薬散がよく使われます。

血を補いながら、水と血の巡りを良くして、体を温めます。

生姜紅茶

 

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