天野理事長ブログ&スケジュール

2015.05.15

冷え症①

冷えは万病のもと。体調不良の陰に冷えがあると言っても過言ではありません。

 

冷え症は、現代医学的疾患単位としては確立されていません。

あくまでも社会通念的な概念で、定義もあいまいです。一般的には、「通常の人が苦痛を感じない程度の温度環境下において、腰背部、手足末梢、両下肢、あるいは全身的に異常な寒冷感を断続的または持続的に自覚し、この異常感に苦痛を感じ、社会的・職業的または日常生活に支障をきたすもの」となります。

 

冷えは、熱の産生あるいは運搬、すなわち代謝または末梢循環のいずれかが障害された状態と考えられます。

熱の産生量を規定する因子としては、食物エネルギーの摂取と運動があります。代謝は飲食物の摂取によって亢進し、摂取エネルギーの75%以上が熱となって体温の維持に役立っています。主な熱の産生部位は骨格筋と肝臓です。

健常な成人の1日の生活における熱産生量の約60%は骨格筋で、22%は肝臓で産生されます。

 

末梢循環を規定する因子としては、血液の性状と血流量があります。

血液の性状には、血小板の機能、血液の粘度、赤血球の変形能などが関与してきます。血流量には心拍出量や血管壁の性状、自律神経による調節などが関与します。中でも、末梢血管の収縮・拡張を調節する自律神経の働きは重要で、冷え症を自律神経失調症の一部と捉えるのはそのためです。

 

冷え症の原因としては、大きく下記の4つに分けられます。

①           器質的身体疾患によるもの:甲状腺機能低下症、血管病変(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病によるレイノー現象、深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、血栓性静脈炎など)、貧血、心不全、肝機能障害、胃腸障害、糖尿病

 

②           身体の調節障害をきたす疾患によるもの:自律神経機能異常による起立性機能異常、更年期障害、低血圧症

 

③           心身症によるもの:身体表現性障害、全般性不安障害、うつなど

 

④           生活習慣や体質によるもの:生活習慣・体質

 

中でも、大事なポイントは、生活習慣と冷え症の関係です。

実は、冷房の効いた現代では、夏に冷え症を訴える女性が急に多くなります。外の暑さで汗をかき、冷房が効いた室内で冷やされ、汗が乾くときにも熱が奪われて冷えます。古来より、中国では、体を温める食物と、冷やす食物を使い分けて、冷え性の人には、体を温める食物を多めに、冷やす食物を少なめに取るように指導しています。

 

暑いからといって、冷たいビールやジュース、アイスクリームなどをよく考えずに“おいしい!”といって摂取していませんか?今日から、体の外からは冷房で、中からはビールで体を冷やす、そんな暴挙はやめましょう。

寒がる女性

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