2015.04.13
「ノカンゾウ」との出逢い
3月27日から29日まで、鹿教湯温泉に行ってきました。
行く度に新しい経験をする鹿教湯温泉ですが、今回も楽しい出会いがありました。
鹿教湯温泉の2日目、28日は、朝5時薄暗い中を温泉に入り、6時~6時45分まで自彊術(じきょうじゅつ)体操、7時~8時半までゆっくりと朝食を楽しみ、9時に真っ青な空の下、散歩へと繰り出しました。
途中、前面が畑の日当たりの良い斜面で、何か野草らしき長さ10cm、横幅1~2cmほどの剣状の細長い葉を、ハサミで摘んでは腰につけた籠に入れている男性2人と出会いました。
「何をやっていらっしゃるのですか?」
「ノカンゾウを摘んでる」
「食べられるのですか?」
「ああ、おいしいよ、少しあげようか」
という会話で、俄然興味がわきました。
私も見様見真似で、径10cmのボール一杯ノカンゾウを摘み、自宅へと持ち帰りました。軽く茹でて、酢味噌あえにして食べて見ました。癖のない本当においしい一皿になりました。
ノカンゾウの花(ユリのような形の橙赤色の花)は石神井公園(★1)で見たことがありますが、その若葉がこんなにおいしいとは知りませんでした。ノカンゾウ(野萓草)はユリ科ワスレグサ属の草本で、カンゾウの名は、韓名の萓草を日本語読みしたものです。
属名や和名の「ワスレグサ」は、花のつぼみを調理して食べると、心配事をすべて忘れるほど美味しいからという説や、その花の美しさに憂さを忘れるという説などがあるようです。ニッコウキスゲも同じワスレグサ属ですので、よく似ています。
ワスレグサ属の花は、どれも美しい花を咲かせてくれますが、花の命は短くて、朝方開花すると、夕方にはしぼんでしまいます。イギリスではそのため「day lily」と呼ばれています。
ところで、漢方薬として有名な「甘草」はマメ科の草本で全く別種です。
ノカンゾウは、日本各地の野山に分布しているハーブで、7~8月頃の暑い季節に、蕾を熱湯で湯がいて、天日干ししたものは、生薬「金針菜」として、利尿などに効能があるとされています。
ノカンゾウのハーブティーとしての効能は、蕾は解熱効果(蕾1回量5~10gを、水400ccで半分量まで煎じて服用)、葉は不眠の緩和や鎮静作用(葉1回量10gを500ccの水で半分量まで煎じて服用)、根は利尿作用(根1回量5~10gを、水400ccで半分量まで煎じて服用)があるとされています。
蕾のハーブティーは風邪の初期症状を緩和したり、解消したりすることができます。花や、若葉、若芽は、くせがなくて甘みがあるので、ぬた、おひたし、味噌汁、てんぷら、煮物、蒸し物、炒め物などお料理に広く使われています。中華料理では、つぼみの乾燥品を用い、水で戻してスープの具材料として使います。
ほうれん草の20倍の鉄分を含む健康野菜です。若葉は10cmぐらいまでの短い背丈のころがおいしいそうです。
★1 石神井公園-東京都練馬区にある都立公園