2015.02.03
「更年期症状に悩まされている方々へのメッセージ」
私は1942年11月16日生まれ。医学部を卒業したのが1967年、24歳でした。
私は1942年11月16日生まれ。医学部を卒業したのが1967年、24歳でした。
ひたすら勉強に明け暮れたインターン時代とアメリカへの留学、結婚、妊娠、出産を経て、東京大学第二内科に入局させていただいたのが、1974年、31歳でした。
循環器内科を専攻することに決め、世界的に有名な 循環器内科医 坂本二哉先生の心音・超音波グループで仕事をすることになりました。3人の娘を育てながらの仕事はそれなりに大変ではありましたが、精神力と体力で乗り越え、自分の健康と年齢を振り返ることもありませんでした。
そのサイクルに狂いを生じさせたのが、更年期でした。
48歳から始まった生理時の多量の出血、それは後に子宮筋腫のためと分かるのですが、最初は更年期の初期にある機能性出血と診断され、卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤が処方されました。確かに出血は是正されましたが、2年後排尿時に突然排尿が中断されるという出来事が起こりました。その原因が大きくなった子宮筋腫のためと分かり、50歳で子宮全摘+両側卵巣摘出を受けました。
術後すぐ皮膚の変化が現れました。肌がカサカサになり、足の裏は象の足のように厚くなり、裸足で歩いても薄いスリッパを履いて歩いているような違和感がありました。
皮膚の異常はプレマリンという薬を服薬することにより、あっという間によくなりましたが、2年後にはのぼせ、ほてり、発汗が強くなり、患者さんから「先生、更年期ですか?」と逆に聞かれたものです。
そして5年後から始まった両下肢の痺れは、だんだん腰まで上がり一日中私を悩ませ、腰から下がなかったら楽なのにとまで思わせました。6年後には、全身の冷えと痛み、学会にもトルマリンの遠赤外線効果を信じて、トルマリンシーツを持参しました。効果はあったと思います。
7年後は全身の倦怠感、職場にたどり着くまでの間、息も絶え絶え、病院にたどり着いたら、まずベッドで休憩し、それから仕事を始めるというありさまでした。このようなつらい症状が少しずつ軽減し、「あ、更年期には終わりがあるのだ」と実感したのが59歳の春でした。
上記の私自身の経験が、女性外来における患者さんの私の診察に、どれほど役に立ったかわかりません。ただ、一体験者として患者さんの声に真摯に耳を傾け、少しでも症状の軽減に役に立つことはないかと考えてきました。
更年期に関しての正しい情報の提供、どのような治療がどのような症状に有効かの丁寧な説明、心のカウンセリング、漢方や気功、鍼など東洋医学、和温療法など、医学部で教育をうける中では気にも留めなかった方法論が患者さんに見事な効果をもたらすことを経験し続けてきました。
しかし、先日診察に来られた患者さんの質問「先生、卵巣の機能の低下って、ひとりひとり違うのですか?更年期のひどい人と、そうでない人は、何が違うのですか?」の質問にまだきちんと答えられるだけのエビデンスがない、そのことは本当に残念に思います。