天野理事長ブログ&スケジュール

2014.12.05

「女子刑務所のあり方を考える」

12月2日、堂本暁子氏が委員長を務める「女子刑務所あり方研究委員会」のメンバーとして、法務省の方々と岐阜県羽島郡笠松町にある笠松刑務所へ行ってまいりました。

 

12月2日、堂本暁子氏が委員長を務める「女子刑務所あり方研究委員会」のメンバーとして、法務省の方々と岐阜県羽島郡笠松町にある笠松刑務所へ行ってまいりました。

今回はこの研究会の活動について紹介します。

 

現在、厚生労働省事務次官をなさっている村木厚子さんが無実の罪で逮捕され、その後不起訴となった際に、収監された期間に見合った賠償金が国から村木さんに支払われました。

その賠償金を村木さんは全額寄付され、刑務所のあり方を考えるNPOを立ち上げられました。こ

 

このNPO設立が「女子刑務所あり方研究委員会」立ち上げのきっかけとなりました。

 

少し複雑ですが委員会が設置されるまでの経緯を書きます。

もともと長崎には社会福祉法人南高愛隣会という組織があり、この組織は長崎の刑務

所を出所した人々へ愛の手を差し伸べることを目的としています。この組織の働きが長崎の刑務所出所者の再犯率をぐっと減らしていました。

そのことに感動した村木さんにより、その社会福祉法人の中にNPO「共生社会を作る愛の基金」が創設されました。

 

その副理事長に堂本暁子氏(元千葉県知事)が任命されました。

堂本氏は女子刑務所のあり方に関心を示し、早速 、和歌山、栃木、山口、福島等の女子刑務所を視察され、刑務官の方々と話し合った後、法務省、法務大臣に働きかけ、「女子刑務所あり方研究委員会」を立ち上げました。

 

事務局は社会福祉法人南高愛隣会「共生社会を作る愛の基金」のスタッフですが、法務省と二人三脚で活動をしています。

 

この研究会は、2013年4月に第1回目の会合が持たれ、その際に今後の作業課題として以下の5つがあげられました。

 

1.    女子刑務所の処遇・環境の改善

2.    退所後の社会復帰・就労支援・引受人問題とそのための制度整備

3.    高齢女性・障害女性問題

― 特に認知症、精神障害、摂食障害の問題、福祉との連携・協力

4.    健康維持、医療措置や処遇

5.    妊娠している受刑者の処遇、出産と子供への配慮

 

 

2013年10月31日から11月1日にかけて私は、和歌山女子刑務所を堂本暁子氏と一緒に訪れました。

 

その際に、女子刑務所の収監者の年齢をみると40歳以上が65%を占めるのに対して、その方々のお世話をする刑務官の年齢は10代20代が圧倒的で合わせて66%、30代が21%、40代が9%、50代が4%、と極端に若い方へ偏っていました。

まるで孫がおばあさんの監視をするという体制になっていることに私たちはまずびっくりしました。

 

刑務官の方々の話しを聞いていると、女性医師と同じで男女の働き方に差がなく、夜

勤もあれば当直もあるということで、「看護師のような2交代制、または3交代制にし

てほしい」という声が圧倒的でした。

 

笠松刑務所は現在7カ所ある女子刑務所の中で、もっとも収容人数の多い刑務所です。

ここでも女子刑務官の離職は大きな問題となっていました。

 

受刑者の問題を考える大前提として、まずは女子刑務官の処遇・配置等のあり方を考えることが必須であるということを考えさせられました。  

 

【写真:笠松刑務所のある岐阜県の水田風景】

岐阜の水田     

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