女性外来の診察室から

No.36 女性外来と総合診療部とのコラボレーション(山梨県立中央病院)

山梨県立中央病院 女性専門外来部長 縄田 昌子先生の投稿です。

 

昨年8月に当院女性専門科の特徴と開設から11年の歩みについて報告いたしました。

 

20053月に女性専門外来としてスタートし、2017331日までの12年間で初診4429名、のべ65890名が受診しています。

 

20154月からは総合診療・感染症センターで女性専門科として新たなスタートを切り、2年が経過しました。

当科が総合診療・感染症センター所属になったのは、開設以降女性の様々な不調に向き合ってきたことが、結果的に女性の総合診療科としての役割を果たしていた、という評価を受けたからです。

そこで新たに開設が決まっていた総合診療科とのコラボレーションが生まれました。

 

総合診療科からの紹介患者が増えたこともあり、センター化になってしばらくは当科の初診患者が増加しました。

半年ほどで例年の状況に戻りましたが、活性化されたと思います。当科はドクターショッピングを止める、という役割も担っていると考えていますが、それでも中には必要以上に精査を希望する方がいます。

そのような場合に、総合診療科を紹介します。当科だけでなく総合診療科でも器質性疾患を否定されることで、納得してその後の当科の治療がスムーズに進みます。

 

総合診療科からの紹介患者は心身症、軽症うつ、不安障害などの方ですが、精神科に紹介するほどではない軽症の精神科疾患が圧倒的に多い状況です。

窓口が2つあることで不定愁訴に苦しむより多くの方が受診できる環境になりました。

 

総合診療科は予約不要ということもあり、当科とは患者層に違いがみられます。

予約待ちの期間がないことで、不安焦燥感が強い方や本来精神科を受診すべき統合失調症の方など多いように感じます。年齢層にも傾向があり、当科は30歳前後と45歳から50歳頃に2つのピークがあり、55歳以降は急激に少なくなります。一方総合診療科を窓口に受診する方は若年者や高齢者が多い印象があります。

 

当科も総合診療科も精神科疾患の方が多いという共通の傾向がありますが、当院の精神科は外来患者の受け入れをしていないため、精神科専門医の紹介が課題でした。

今後当科、総合診療科、精神科の3科で精神科疾患の患者の対応について協力体制を作る、という案が浮上しているところです。

開設当初と比較すると、各専門診療科の狭間に落ちてしまう患者、漢方治療を必要とする患者など、当科を受診する患者層を受け入れる診療科が増えているように感じます。今後はがん拠点病院の一診療科としてがん患者のケアや高齢者のケアなど、時代のニーズに合わせていく必要性を感じています。

 

山梨県立中央病院 女性専門外来部長 縄田 昌子

http://www.ych.pref.yamanashi.jp/shinryo/jyosei.html

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