女性外来の診察室から

No.15 富山県における性差医療のあゆみ

今回は、内藤内科クリニック院長 内藤毅郎先生の寄稿です。

富山県における性差医療のあゆみについて紹介します。

 

案内役の私は腎臓内科を専門とする内科医で、金沢大学附属病院や富山県立中央病院で「検尿から透析、腎臓移植」まで臨床に従事したあと、富山市内でクリニックを開業し現在に至っています。

 

病院勤務当時から性差医療に関心があり、性差医学・医療研究会に会員登録し送られてくる記録誌に目を通しておりました。

平成20年に性差医学・医療学会第1回学術集会が開催されたときに、Marianne J Legato教授の特別講演めあてに初めて学会に参加しましたが、会のレベルの高さと幅広さに驚き、ますます性差医療に関心をもつようになりました。

 

そこで第2回学術集会のときに天野恵子先生に「富山で性差医療の勉強会を立ち上げたい」と相談しましたところ「ぜひやりましょう!」と即決で快諾いただきました。

 

 

 ・富山性差医療研究会

 

 平成21年7月に富山市内で第1回研究会を開催し、天野恵子先生に「性差医療概論」として特別講演をしていただきました。

内科医、産婦人科医、漢方医、看護士、管理栄養士などバラエティに富む参加者が50名ほど集まり、県内基幹病院の幹部クラスの先生方も多数参加されました。

 

以来、毎年秋に勉強会を開催しています。

第2回は山口大学の松田昌子先生(大学病院での女性外来、女性医師キャリア)、第3回は愛知医科大学産婦人科の若槻明彦先生(HRTと脂質代謝)、第4回は東京女子医大の加茂登志子先生(更年期うつの治療戦略)、第5回は前千葉県知事の堂本暁子先生(女性の健康関連法制、災害対策とジェンダー)、そして昨年の第6回は東京大学老年病科の秋下雅弘先生(フレイルの性差)に来ていただき、それぞれ印象に残るお話をいただきました。

 

富山県内に講演会や勉強会は多々ありますが、診療科の垣根を超えて人が集まってくる勉強会は稀有な存在です。

 

 

 ・女性外来ネットワークとやま

 

前述した研究会が定着していくなか、ただ話をきいて勉強するだけではなくそれを実践する場を持ちたいという気運が高まり、有志が集まって“女性外来ネットワークとやま”が誕生しました。

 

現在、富山市内の開業医9名(内科、産婦人科、漢方、精神科、皮膚科など、女性5人、男性4人)が参加しています。

勉強会は2か月に1回。持ち回り当番幹事を決めてテーマ演題発表や症例検討をしていますが、相互の親近感を高めるために当番クリニック(待合室など)を会場にしています。

 

またメーリングのグループを作って、診断や治療に苦労したら早速メールで専門の先生に相談できるようにしています。このメールでの相談はとても助かっているとなかなか評判がよろしいです。

 

 

 ・その他の県内での活動

 

 医療関係者や市民のあいだに性差医療がまだまだ普及していないと感じられるので、経営者セミナーや製薬企業の研修会などに出向いて性差医学/性差医療についての紹介をしています。

 

つい最近も8月8日に“なでしこフォーラム富山”で過活動膀胱、骨粗鬆症をテーマに講演会を行い、そこで女性外来ネットワークの活動も紹介しました。

 

「継続は力なり」をモットーに同志とともに活動を続けていきたいと思いますが、今後はより広く県内のいろいろな女性グループとも親交を深めていきたいと考えています。

 

内藤内科クリニック院長 内藤毅郎(ないとうたけろう)

http://www.naitonaika.com/

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