女性外来の診察室から

No.9 「リプロダクティブヘルスにおける性差医学の展開」

今回はこのサイトの読者の皆さまに詳細をご案内したいことがあり、この「女性外来の診察室から」に掲載させて頂きます。

1月31日から2日間にわたって開催された第8回日本性差医学医療学会の会長は、徳島大学大学院 産科婦人科学教授 苛原稔先生でした。

テーマは「リプロダクティブヘルスにおける性差医学の展開」。

 

プログラムのホームページ上への掲載、講演者への連絡などが従来に比し遅れに遅れてハラハラしていたのですが、いざ、ふたを開けてみると、そのプログラムの内容から、苛原先生がこの会にかけた情熱と工夫が怒涛のごとく押し寄せてくる会となっていました。

とにかく、斬新なアイディアに満ち、参加した人々全てが満足した会でした。そういえば、苛原先生が徳島大学病院長になられたときだと思いますが、徳島新聞に紹介記事が掲載されており、「周囲の評は、気配りができ、実行力がある」と書かれていました。つくづく、今回は苛原先生の気配り、思いやりを実感したしだいです。

 

苛原先生が開会の挨拶で述べられた「産婦人科医の会長として、産婦人科医以外の医療者のかたがたに知っていただきたいメッセージを伝えたい」という意図は、100%成功していました。今回、参加されなかった先生方にも今回の素晴らしい企画を知っていただきたいと思い、プログラムをここに掲載します。

 

第1日目午前のプログラム

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「エストロゲンと女性のヘルスケア:倉智博久(大阪府立星保健総合医療センター)」

「女性におけるアンドロゲンの効果:大道正英(大阪医科大学)」

 

第1日目午後のプログラム

ランチョンセミナー

「睡眠のメカニズム:胎児期における栄養環境の影響:勢井広義(徳島大学大学院)」

優秀演題候補口演

シンポジウム

「各診療科における性差医学の進歩」

演者 脳神経外科:加藤庸子(藤田保健衛生大学)、循環器内科:下川宏明(東北大学大学院)、痛みの性差医学:仙波恵美子(大阪行岡医療大学)、性同一性障害診療の実際:中塚幹也(岡山大学大学院)

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「男性更年期~LUTS・ED・うつに克つ:岡田弘(独協医科大学)」

「閉経後骨粗しょう症診療の進歩:松本俊夫(徳島大学)」

イブニングセミナー「現代女性のヘルスケアのために~大豆イソフラボン代謝物質エクオールの有用性:高松潔(東京歯科大学)」。

 

第2日目午前のプログラム

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「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)を理解するー予防と治療の個別化に役立つ遺伝学:井本逸勢(徳島大学大学院)」

教育講演

「胎児超音波スクリーニングの現状:加地剛(徳島大学大学院)」

「本邦における少子化問題とその対策:齊藤英和(国立成育医療研究センター)」

市民公開講座

「女性アスリート診療のための講習会」

演者「女性のライフスタイルと疾患~すこやかな人生を送るための月経との付き合い方:百枝幹雄(聖路加国際病院)」「女性アスリートに見られる疾患と治療・アンチドーピングの基礎知識:能瀬さやか(国立スポーツ科学センター)

 

第2日目午後のプログラム

特別講演

「閉経後女性と脂質異常症~その病態と管理:若槻明彦(愛知医科大学)」

招請講演

「男女共同参画と女性の健康・医療:堂本暁子(男女共同参画と災害・復興ネットワーク代表、女性と健康ネットワーク代表)」

シンポジウム

「女性医学生・女性研修医・女性医師のアカデミックキャリアサポートの会」

演者 11人

 

こうやって演題を見てみると、胎児から高齢者、健康者から病者にわたる女性の一生に加え、男性の疾患にも目配りをした素晴らしいプログラムでした。

 

さらに、今回強く感じたことは、演者の先生方の「明日の臨床に役立ててもらおう」という姿勢がはっきりしており、内容がとてもわかりやすかったことです。

 

常日頃「患者さんには専門用語は使わずに平易な言葉で話し、意見を良く聞く」と言われる苛原先生の思いが各演者の方に伝わったのでしょうね。

日本性差医学医療学会の会員の方々には、年会費をきちんと納められれば、DVDが送付されるとのことです。

是非、会員の方は年会費を納めDVDを手に入れてください。

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