東京支部第16回学術講演会

2008/07/08

  • 東京

東京支部第16回学術講演会

日時:2008年7月13日(日)
場所:サピアタワー内東京ステーションコンファレンス5F
講演:女性に及ぼすタバコの健康障害と女性への禁煙指導について 小西明美先生(小張総合病院健診センター部長)
   多彩なうつ病の診断と治療および電気痙攣療法について 坂末博子先生(医療法人社団すずき病院理事長)
共催:ファイザー株式会社

小西先生・坂本先生写真

1.女性に及ぼすタバコの健康障害と女性への禁煙指導について
小西明美先生(小張総合病院健診センター部長)18

たばこに起因する疾患は喫煙関連疾患とされ、がん、心血管疾患、肺疾患、生殖機能などに広範囲に及ぶ。たばこは個人の嗜好の問題ではなく、明らかな依存症としての疾患であることが明確に示された。
女性は男性とは異なる健康リスクを持っている。生殖能力への影響は、不妊が多い、妊娠までの期間が長い、ピル使用は心血管疾患のリスクを高めるため原則禁忌、胎児への影響として死産、早産、低体重、乳児突然死症候群、精神発達の遅れ、呼吸器疾患の増加、閉経年齢が早まる、動脈硬化が進む、がんが増える、消化器潰瘍が増える、皮膚の老化が早い、骨歯がもろくなる、COPDが増える、脳血管障害が増える、などの影響がある。受動喫煙も大きな問題であり、むしろ受動喫煙の方が濃度が高い危険物質もある。
禁煙支援の原則は5R(Relevance、Risks、Rewards、Repetition、Roadblocks)と言われている。
ニコチン代替療法は、パッチとガムがある。新たに禁煙補助薬チャンピックスが登場した。脳内のα4β2ニコチン受容体の部分作動薬で、受容体に結合して、軽いニコチン用作用により離脱症状を軽減し、ニコチンが結合するのをブロックして喫煙欲求を減らす役割がある。禁煙外来は一定の基準を満たせば保険診療とみなされる。禁煙成功率は男性51.6%、女性44.7%と女性の方が成率は低いと報告されており、女性は禁煙治療において鬱状態に陥りやすい、性周期によって気分の変調がある、パートナーの喫煙に影響を受けやすい、自己効力感が低く、ネガティブな気分に陥りやすい、ニコチン置換療法が効果が出にくい、などが報告されている。
医療者が患者の禁煙行動に与える影響は大きいといわれており、どこでもいつでも禁煙指導をすることが重要である。

2.多彩なうつ病の診断と治療および電気痙攣療法について
坂末博子先生(医療法人社団すずき病院理事長)
DSM-IV診断では、気分障害はうつ病性障害として、大うつ病、気分変調性障害、その他(PMS,PMDDなど)、双極性障害として双極I型、双極II型、気分循環賞、その他がある。
気分変調性障害は従来神経性うつ病と言われていたもので、軽度な抑うつ症状が長期間持続するものである。双極II型障害は、軽躁病エピソードと反復性大うつ病エピソードがあり、うつ状態は非定型であることが多い。
うつ病の治療アルゴリズムは、休養、薬物療法、認知行動療法などのほかに電気痙攣療法が挙げられている。電気痙攣療法は、頭部に短期間通電し、全身けいれんを起こす治療法である。薬物療法の前に使用される場合と後に使用される場合がある。適応疾患は、大うつ病、双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害などである。有害事象としては、心血管への影響(脈の異常、血圧の異常など)、中枢神経系への影響(朦朧状態、譫妄、忘却など)、頭痛、吐き気などがある。通常は週2~3回、計10回程度行う。

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