東京支部第11回学術講演会

2006/09/01

  • 東京

東京支部第11回学術講演会

日時:2006年9月3日(日)10:00-15:30
場所:女性と仕事の朩来館(第1セミナー室)
講演:女性のQOLとOC(低用量経口避妊薬) 北村邦夫先生(日末家族計画協会常務理事)
   更年期医療とHRT 麻生武志先生(東京医科歯科大学名誉教授)
共催:日末シエーリング株式会社

北村先生写真

抄録:
1.女性のQOLとOC(低用量経口避妊薬)北村邦夫先生(日末家族計画協会常務理事)13

ライフサイクルの変化が現代女性にもたらした健康リスクとして月経困難症月経がある女性の30%。
子宮内膜症生殖年齢女性の10%、子宮筋腫ン生殖年齢女性の20~50%、月経前症候群月経がある女性の2~3%、卵巣がん1万人あたり4.6人とされている。現在の日末女性は初経11歳、閉経49歳、平均2人の子供を産み授乳期間を含め月経がない期間は5年とすると33年は月経期間となる。OCは望まない妊娠のための避妊、苦痛の尐ない月経、病気の悪化を防ぐ、がんを予防するために有用だと考え
られる。我が国で利用できるOCの種類は尐ないが、医療職にOCをよく理解してもらい、女性のQOL向上に役立ててほしい。

2.更年期医療とHRT麻生武志先生(東京医科歯科大学名誉教授)
1991年から米国で、HRTの効果判定のためWomensHealthInitiative(WHI)が行われた。HRT群では、骨折、結腸・直腸がんリスクは減じたものの、乳がんリスクは有意に上昇したため、2005年に中止となった。WHIのサブ解析では、50代、60代のHRT使用者の心血管疾患は有意に減尐しており、心血管疾患に関しては、閉経直後からの投与は予防効果がある可能性が示唆された。
HRTは血管機能および脂質代謝を改善する可能性があり、特に天然型エストロゲン、プロゲステロン製剤の効果や、投与経路(経口ではなく経皮)などにより、より改善が期待される。
更年期症状は、女性ホルモンの低下作用による直接的な症状と女性ホルモンの低下に伴う様々な病態への変化からくるものが混在しており、さらに社会文化的な要因が加わってくる。更年期外来においては、こうした複雑な要因に対し、丁寧な診察が望まれる。精神症状や疾患の混在も多いため、HRTの適切な利用に加え、カウンセリング的なアプローチも重要である。

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