東京支部第6回学術講演会

2005/10/08

  • 東京

東京支部第6回学術講演会

日時:2005年10月30日(日)
場所:女性と仕事の朩来館
講演:頭痛の診断と治療喜 多村一孝先生(喜多村脳神経クリニック)
   女性の慢性頭痛と女性ホルモンとの関係 五十嵐久佳先生(神奈川歯科大学附属研修センター横浜クリニック内科学講座助教授)
共催:ファイザー株式会社

プレゼン風景

抄録:
1.頭痛の診断と治療喜多村一孝先生(喜多村脳神経クリニック)
頭痛は国際頭痛分類第2版にて、一次性頭痛、二次性頭痛、その他に分類される。まず、二次性頭痛を見逃さないことが重要である。二次性頭痛には、頭頸部外傷、血管障害、非血管性頭蓋内疾患、物質および離脱による、感染症、副鼻腔炎や耳眼疾患など、精神疾患からくるものなどが挙げられる。一次性頭痛としては、片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛などが挙げられる。片頭痛は女性に頻度が多
い頭痛であり、女性外来では重要な疾患だと考えられる。片頭痛は坂井らの調査によれば、我が国に840万人いるといわれているが、受診しているのはその184万人に過ぎず、治療を途中で中止シテシマッタものは108万人と言われている。
前兆がある片頭痛は比較的診断しやすいが、前兆がない片頭痛の診断は、片側性、拍動性、中等度から重症、日常動作で増悪し、日常動作が困難になる、という症状が尐なくとも二つ、また、悪心や嘔吐、光過敏や音過敏という随伴症状が尐なくとも一つあること、となっている。両側性、肩こり、非拍動性の場合、筋緊張性頭痛と診断され、的確な治療が受けられていない、という指摘もある。

片頭痛急性期治療にはトリプタン系薬剤は、推奨度Aランクになっており、効果が高いが、服薬のタイミングが遅れると効果が期待できない。処方時には、病気のメカニズム、薬物の使い方を十分説明し、経過観察時に、効果について把握することが重要である。効果がなかった場合は、その原因について考察すべきである。アロディニア(通常痛みを感じない程度の刺激にも敏感になり痛みを感じる現象)がある片頭痛はトリプタン系薬剤が効きにくいことが知られているため、こうした症状の有無を問診で聞くことも重要である。
注意すべきは鎮痛剤乱用にともなう頭痛である。十分な効果が得られないために規定量以上の薬剤を使用している患者には、制限量しか処方しない、患者教育を徹底するなどを行うべきである。

2.女性の慢性頭痛と女性ホルモンとの関係
五十嵐久佳先生(神奈川歯科大学附属研修センター横浜クリニック内科学講座助教授)
女性の半数以上は、片頭痛が月経周期に関係すると時刻している。月経関連片頭痛の特徴は、前兆がない、持続時間が長い、痛みが強い、薬が効きにくい、毎月起こる、ことであり、問題点として、月経前緊張症や生理痛として片付けられてしまうことが挙げられる。
月経時片頭痛の病態としては、エストロゲン離脱、プロスタグランジンの関与、セロトニン代謝障害、NO、血小板機能異常などが挙げられているが確実なものはない。
トリプタン製剤は頭痛が始まっても効果がある。個人によって好みが異なり、吐き気の強い場合は、皮下注射や点鼻薬、外出中は点鼻薬やOD錠など工夫すると良い。効かない場合は、片頭痛であるか再度検討し、片頭痛である可能性が強い場合は、頭痛早期に使うこと、量を増やすこと、他のトリプタン製剤に変えてみること、NSAIDを併用することを試してみる。トリプタンは血管疾患がある場合は他剤を使用している場合に注意が必要であり、片麻痺型片頭痛などには使用しない。
薬物乱用を避けるためには、患者教育が必要であり、頭痛ダイアリーなどを用いて自己管理能力を高めることが重要である。

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