東京支部第5回学術講演会

2005/10/01

  • 東京

東京支部第5回学術講演会

日時:2005年10月2日(日)
場所:女性と仕事の朩来館
講演:女性のうつの診断と治療 野村総一郎先生(防衛医科大学校精神科学教授)
   女性医療者の「女性のうつ」への関わり方 野田順子先生(野の花メンタルクリニック院長)
   ランチョンセミナーセロトニン症候群と離脱症状(GSK学術部)
共催:グラクソスミスクライン

イベント風景

抄録:
1.女性のうつの診断と治療野村総一郎先生(防衛医科大学校精神科学教授)
うつ病は女性に多いとされているが、その理由は性ホルモン、文化社会的要因、受診率の高さなどとされているものの明確な結論は出されていない。うつ病の診断は、現在、DSM-IVによって付けられるのが趨勢となっているが、注意すべき点が多い。診察には受容的共感的態度が必要であり、積極的関与の姿勢、温かい雰囲気、医学的関与の必要性を強調することが大事である。基準症状はゆううつな気分、喜びを感じない、の二項目である。さらに、食欲低下、体重減尐、行動の静止や焦燥、疲れやすさや意欲の低下、罪の意識や無価値観、思考力低下や決断困難、自殺念慮である。臨床的苦痛や社会的機能障害は注意すべき事項である。EBMに基づく治療が必要であり、現在の抗鬱剤は病型特異性はない、標準治療ガイドラインに従うこと、1種類の抗鬱剤使用が原則、抗不安薬は初期短期間にとどめること、副作用に注意しながらも十分量しっかり使うことが必要で、中途半端な量はかえって病態をこじらせることになる、同じ薬を最低でも4週間用いること、再燃防止のため数カ月以上は用いることが大切である。

2.女性医療者の「女性のうつ」への関わり方野田順子先生(野の花メンタルクリニック院長)
バーンアウトとは「極度の身体披露と感情の枯渇を示す症候群(Maslach,1976)」である、昨日まで意欲に燃えて働いていた人が急に燃え尽きたように働か中唸る、逃避的、卑下的になる、他人への思いやりを欠くようなバランスを欠いた行動をする、などの症状が認められる。対人業務についている人にバーンアウトは起こりやすいと報告されている。バーンアウトになりやすい原因としては、個人要因:ひたむき、熱心、抱え込み、完璧、自己犠牲、理想为義など、環境要因:裁量性、自律性が低い、課題方向性が不一致、仕事内容が無明確、新しい技術の導入が低い、働きにくく快適でない、切迫している、職場管理が厳しい、職場外:配偶者の理解不足、家庭内に問題がある、などである。女性医師はこうした状況下にある人が多く、個人要因、環境要因、職場外要因について自分で理解を深め、バーンアウトにならないよう意識的に行動する必要がある。
女性外来で女性医師が診察する場合、同性であることのメリットとデメリットがあることを自覚し、必要な場合には、協力者に依頼するなど横や縦のつながりを広げていく必要がある。自己の限界を知りながらエンパワーメントし、弱い部分は支援者の協力を頼むことも必要である。

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