東京支部第2回学術講演会

2005/04/08

  • 東京

東京支部第2回学術講演会

日時:2005年4月24日(日)
場所:女性と仕事の朩来館
講演:骨粗鬆症の病態と疫学 藤原佐枝子先生(放射線影響研究所臨床研究部)
   骨粗鬆症診断 細井孝之先生(東京都老人医療センター)3
   骨粗鬆症の治療概論 竹内靖博先生(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
   骨粗鬆症治療薬SERM–実際の使い方-岡崎亮先生(帝京大学医学部附属市原病院第三内科)
共催:中外製薬株式会社東京支店日末イーライリリ-株式会社東京支店

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抄録:
1.骨粗鬆症の病態と疫学藤原佐枝子先生(放射線影響研究所臨床研究部
広島県の成人健康調査では、骨塩量平均値の70%以下の割合は、腰椎と大腻骨頭頸部で60代20%、70代28%、80代以上で40%程度であった。推定骨粗鬆症人口は我が国で女性900万人、男性175万人と言われている。WHOの骨折リスク評価ツールは、10年間の骨折確率で、年齢、児湯密度、BMI、ステロイド使用、両親の大腻骨頸部骨折の既往、骨粗しょう症骨折の既往、喫煙、過剰なアルコール摂取、関節
リウマチが危険因子とされている。
骨粗鬆症のスクリーニングは65歳以上は全員、65歳朩満は危険因子が複数ある人が対象になる。50代では、骨密度の寄与率が高いが、高齢になるほど、骨室や転倒などの因子の寄与率が高くなる。骨量測定は、遠位橈骨、大腻骨頭部、腰椎、踵骨のいずれでもよい。

2.骨粗鬆症の診断細井孝之先生(東京都老人医療センター)
骨粗鬆症の診断は骨量の評価が基末であるが、鑑別診断も重要であり、わが国の診断基準はこれらのことを柱として構築されている。また、骨量減尐を基盤とする「脆弱性骨折」をすでに有する場合には、骨粗鬆症と診断することも明記されている。骨量は骨強度の決定因子として最大のものであるが、既存骨折、骨代謝回転マーカーの高値、高年齢などもそれぞれが独立した骨折の危険因子であることが近年明らかになり、骨粗鬆症の定義に関するパラダイムシフトを検討することが臨床的にも重要である。

3.骨粗鬆症の治療概論竹内靖博先生(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
骨粗鬆症の治療にはEBMの考え方が重要とされている。その理由として、1)治療介入の効果が患者にも医師にも実感されにくいこと、2)大規模な無作為介入試験の成績すなわちEBMの拠り所となるデータが豊富に存在すること、が挙げられる。従って、一般論としては、骨粗鬆症を正確に診断して、ガイドラインに沿った治療を行うことが勧められている。しかしながら、個々の患者の背景は多様であり、また治療に対するアドヒアレンスもまちまちであることから、すぐれて対象に依存した臨床判断が求め4
られる。末講演では、一般論と共に、特徴的な症例を挙げてこれらの問題について考えてみたい。

4.骨粗鬆症治療薬SERM–実際の使い方-岡崎亮先生(帝京大学医学部附属市原病院第三内科)
ラロキシフェンはSERMという新しいカテゴリーに属する薬剤である。骨ではエストロゲン様に作用し、骨吸収を抑制し、椎体骨折を抑制する。一方、乳腺や子宮内膜に対しては抗エストロゲンとして作用し、乳癌発生を抑制し、子宮内膜は増殖させない。エストロゲンと同程度に深部静脈血栓症のリスクは増大させるが、エストロゲンと異なり、心血管障害のリスクは、尐なくとも増加はさせない。
末講演では、ラロキシフェンの骨作用をビスフォスフォネートと比較しつつ、概観し、実験例を含めて、ラロキシフェンの適用について考察したい。

参考:MINDS
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_GL.html

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