女性外来の診察室から

No.76 大学病院で女性外来が継続できていること(福島県立医科大学附属病院)

福島県立医科大学附属病院 性差医療センター部長 小宮ひろみ先生の投稿です。

福島県ススキ 

当院の女性外来は2004年に開設されました。設置されて17年になります。大学病院で女性外来を長期継続するのは難しいと感じることがあります。

その中で、今回は、当院における女性外来担当医師、看護師、医療事務の方の役割をご紹介したいと思います。

まず、医師についてです。

学内の女性医師11名で開始いたしましたが、週2回の傾聴だけの外来は長続きせず、4年で終わりました。その後、現在の性差医療センターとしてオープンし、婦人科、心身医療科、乳腺外科、内科(特に内分泌、高血圧、脳神経内科)、歯科口腔外科(性差医学・医療学会で歯科口腔外科に性差があること知りました。)の医師が担当しております。

継続できているのは、常勤また兼務いただいている先生方、非常勤で診療していただいている先生方のおかげと言っても過言ではありません。また、常勤医師は女性外来で「月経関連疾患」「骨粗鬆症」「自律神経失調症」「漢方治療」など多くを学んでいます。育児中、あるいは学位を得るための研究中など、女性外来は女性医師の働き方にも一翼を担っているのではないかと思います。

 

次に、看護師さん、医療事務の方について述べます。

医療事務の方が電話で受診理由や症状をうかがい予約をいれてくれます。症状が多岐にわたる場合は、看護師さんがトリアージしてくれます。婦人科と心身医療科など併科されることも多々ありますが、看護師さんは患者さんの状態を継続してみておりますので、必要に応じて医師に情報提供してくれます。また、診察後のケアもしてくれます。開設以来、女性外来マインドをもつ専任の看護師さんと医療事務の方が配置されています。女性外来を継続していく上でコメディカルの力は大きいです。

 

また、当院では実施できておりませんが、女性外来は代替療法が有用な外来です。

日本補完代替医療学会によれば、代替療法(Complementary and Alternative Medicine:CAM)とは中国医学(中薬療法、鍼灸、指圧、気功)、インド医学、免疫療法(リンパ球療法など)、薬効食品・健康食品(抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など)、ハーブ療法、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法等々と定義されています。CAM使用者は女性に多い(Bishop FL et al., eCAM 2010)あるいは健康維持や疾患の予防などに女性使用者の頻度が高い(Zang Y et al., eCAM 2015)ことが報告されております。

CAMを生かしてコメディカルの方が活躍できるのではないかと考え、当院でもさらなる可能性を探りたいと思います。

このように、女性外来の継続は、担当してもらっている先生方、女性外来マインドで患者さんに接してくれている看護師さん、医療事務の方の協力なしではありえません。

ウイズコロナ時代、性差を考慮し、配慮した女性外来の必要性は増してくるでしょう。本院も、さらによい医療を提供できるようスタッフ一同努力してまいります。

 

福島県立医科大学附属病院 性差医療センター部長 小宮ひろみ

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