女性外来の診察室から

No.60 山梨県立中央病院 女性専門科の診察室から

山梨県立中央病院 女性専門科  縄田昌子先生の投稿です。

山梨県 筆箱とペン

 

当科は入院ベッドを持たず、週5日の外来診療を主としています。

外来診療以外の仕事としては内科当直や研修医指導などがありますが、開設以来毎年県立看護大学の学生に講義をしています。

2年生を対象に性差医療の概念・歴史、外来診療の様子、患者の特徴、外来データからみた性差など1時間半ほど話をしています。

当科は院内外からの紹介患者が多いのですが、口コミや看護師からのすすめも多いと感じています。

専門診療科で異常なしと言われてがっかり?して困っている患者さんに当科をすすめてくれるのは看護師です。

講義は看護学生に性差医療や当科の診療を理解してもらうチャンスと考えています。

講義後の質疑応答やリフレクションシートの内容から勉強させられることも多いのですが、今回は看護学生からみた性差医療や当科に対する意見を紹介したいと思います。

 

2005年の開設から15年目に入りましたが、若い世代にはまだ浸透していないようで、このような診療科があることを初めて知った、という意見が多くみられました。

 

・私自身、女性専門科があることを知らなかったのですが、幅広い世代の多様な悩みをもつ女性が受けることができる医療の視点は新しいものだと思いました。

 

・婦人科の存在は知っていたが、女性専門科の存在は知りませんでした。どういう科に行ってよいのか迷ったり、原因がはっきりしないこともあるが、体調不良があるときなど女性にとってありがたいと思いました。

 

・私自身も自律神経失調症になったことがあり、どこを受診したらいいのかわからず口コミで聞いたところに行きました。女性専門科の存在を知っていれば受診できたなと思いました。このような科があることを世の中に伝えていくべきだと思いました。

 

 

性差医療という概念を初めて知った、女性に多い疾患があることを知ったという意見も多く、講義の重要性を実感しています。

 

・男女で一方の性に傾いている病態がこんなにもあるのかと驚いた。閉経後は骨粗鬆症になりやすいが、ホルモンは自分でコントロールできないため自身の骨量をそれまでにどう増やしどのような生活を送っていくか改めて大事であると感じた。

 

・性差医療という言葉を今日初めて知った。ライフステージそれぞれの悩みやリスクのある症状や病態について知ることができた。

 

その他にも以下のような意見がありました。

 

・高校生のとき月経が1ヶ月ほど続き婦人科を受診し、すごく緊張しました。性差がある症状の悩みや精神に関する悩みなどは受診するのに勇気がいると思います。女性専門科のようなプライバシーに配慮した相談しやすい科があるということは女性にとって心強いと思いました。

 

・女性が社会でも活躍している現代にとても合っている医療だなと感じた。母も更年期で辛そうにしているが、どの専門科に行けばいいのかわからない人の行き場として広がって欲しいなと思った。

 

・漢方薬が治療として使われていることに驚きました。

 

・学生はダイエットをする人や深夜まで起きている人が多いと思うが、若いうちから健康について考えたり、健康上の問題にもっと触れておかなくてはいけないと感じました。

  

 

講義を通じて性差医療を若い世代に伝えることで、周囲や自身の健康問題に目を向ける機会となり、また将来的に医療の現場で役立てて欲しいと思います。

今回は当科の外来診療以外の仕事として看護学生の講義について紹介しました。

 

 

山梨県立中央病院 女性専門科

https://www.ych.pref.yamanashi.jp/department01/396/

部長・主任医長 縄田昌子

 

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