厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

「女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策研究」日本人を対象とした疫学研究の抄録集



No association between green tea and the risk of gastric cancer: pooled analysis of two prospective studies in Japan.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2003 May;12(5):472-3
宮城コホート1(1984年にスタート:31,345名)と宮城コホート2(1990年にスタート:47,605名)を合わせた集団において、緑茶摂取と胃がんの関連を検討した。コホート1の平均追跡期間は9年で、期間中419例の胃がん罹患、コホート2は平均追跡期間が7年で314例の胃がん罹患が観察された。緑茶摂取は、1杯未満、1-2杯、3-4杯、5杯以上の区分とし、1杯未満に対する大腸がんリスクは、それぞれ1.01(95%CI:0.80-1.27), 0.89(0.70-1.13), 1.06(0.86-1.30)であった。同様に組織学的な分類(分化の有無)や部位別での検討も行ったが、大腸がん罹患と緑茶飲用との間には関連がみられなかった。

Coffee consumption and the risk of colorectal cancer: A prospective
Int J Cancer 2007 Apr 1;120(7):1542-7
コーヒー飲用と大腸がんの罹患を検討した研究。宮城県コホートの対象者、男性22,836名,女性24,769名(40-64歳)を平均11.6年追跡し追跡期間中457例の大腸がんの罹患が観察された。コーヒーを飲まない者に対し、コーヒーを1日3杯以上飲むものでの大腸がんリスクは、男性で0.91(95%CI 0.56 1.46)、女性で1.16(95%CI 0.60-2.23)であった。この傾向は、結腸、直腸がんの別、さらには結腸を近位、遠位に分けた場合でも一貫しており、コーヒー飲用と大腸がんの関連は示されなかった。

Alcohol consumption and mortality in Japan: the Miyagi Cohort Study.
Eur J Cancer 2007 Jan;43(2):383-90
飲酒と大腸がんの罹患を検討した研究。宮城県コホートの対象者、男性21,199名(40-64歳)を平均11年追跡し、期間中307例の大腸がんの罹患が観察された。飲酒しない者に対し、過去飲酒者での結腸がんリスクは、1.1(95%CI 0.6-1.9)、現在飲酒者で1.6(95%CI 1.1-2.2)であった。用量反応関係は、遠位、直腸ではみられたが、近位結腸ではみられなかった。また、同様に多量飲酒者では、遠位結腸がんが4.2(95%CI 1.6-10.7)、直腸がんが1.8(95%CI 1.1-3.2)で関連がみられたが、近位結腸がんでは1.4(95%CI 0.72-2.75)と関連はみられなかった。

Green tea and the risk of colorectal cancer: pooled analysis of two prospective studies in Japan.
J Epidemiol 2005 Jul;15(4):118-24
緑茶の摂取と大腸がんの関連を検討した研究。宮城県コホート1(26,311名)とコホート2の対象者(39,604名)、を7~9年追跡し、期間中305例の結腸がん、211例の直腸がんの罹患が観察された。緑茶の摂取が1日1杯以下を基準にした場合、結腸がんのリスクは1-2杯で1.06(95%CI:0.74-1.52)、3-4杯で1.10(0.78-1.55)、5杯以上で0.97(0.70-1.35)であった。同様に直腸がんのリスクは、1-2杯で0.85(0.56-1.29)、3-4杯で0.70(0.45-1.08)、5杯以上で0.85(0.58-1.23)であった。

Fruit and vegetable consumption and risk of colorectal cancer in Japan: The Miyagi Cohort Study.
Public Health Nutr 2005 May;8(3):309-14
果物・野菜摂取と大腸がんの関連を検討した研究。宮城県コホートの対象者47,605名を7年追跡し、期間中165例の結腸がん、110例の直腸がんの罹患が観察された。野菜、果物摂取は、食物摂取頻度調査により評価した(摂取量で4分位に分類)。野菜・果物摂取の最少摂取群と比較して最高摂取群の大腸がんリスクは、1.13(95%CI:0.73-1.75), 同様に野菜単独では、1.24(0.79-1.95)、果物単独では1.45(0.85-2.47)であった。結腸と直腸を分けた検討では、結腸が1.12(0.67-1.89)、直腸が1.14(0.67-1.93)であった。

Constipation, laxative use and risk of colorectal cancer: The Miyagi Cohort Study.
Eur J Cancer 2004 Sep;40(14):2109-15
便秘や下剤の使用と大腸がん罹患の関連を検討した研究。宮城県コホートの対象者41,670名を7年追跡し、期間中251件の大腸がん罹患が観察された。日常的に排便があるものに対し、便秘であるものの大腸がんリスクは、1.35(95%CI 0.99-1.84)であった。また、下剤を服用していない者に対し、服用しているものの大腸がんリスクは、1.31(95%CI 0.88-1.95)、特に週に2回以上服用するもので、リスクが2.75(95%CI 1.48-5.09)と高かった。また、結腸がん、直腸がんに分けて検討した場合では、結腸がんとの関連が強かった。

Alcohol drinking and colorectal cancer in Japanese: a pooled analysis of results from five cohort studies
Am J Epidemiol 2008 Jun 15;167(12):1397-406
飲酒と大腸がんの関連を検討した研究。日本国内のがんコホート5研究のpooled analysisで、対象者数は209,763名(男性98,265名、女性111,498名)、総追跡期間が2,231,010人年であった。追跡期間中に2,802件の大腸がん観察された。飲酒していないものを基準とした、飲酒者の大腸がん罹患リスクは、エタノール換算で23-45.9g/dayのものが1.42(95%CI:1.21-1.66),46-68.9g/dayが1.95(1.53-2.49)、69-91.9g/dayが2.15(1.74-2.64),92g/day以上が2.96(2.27-3.86)であった。女性も同様に、0.1-22.9g/dayが0.93(0.70-1.23)、23g/day以上が1.57(1.11-2.21)であった。結腸、直腸別での検討においても、飲酒者で大腸がんリスクが高い傾向が見られた。

Leptin is associated with an increased female colorectal cancer risk: a nested case-control study in Japan.
Oncology 2005;68(4-6):454-61
レプチンと大腸がん罹患の関連を検討。コホート研究であるJACC studyにおいて、追跡中に発生した女性大腸がん罹患者58例と性、年齢、研究地域でマッチングした145例とで、レプチンレベルが異なるかどうか検討するためネステッドケースコントロール研究を行った。レプチンレベルで5分位に分類し、大腸がん罹患リスクを検討した。第1分位を基準とし、第2、第3分位を合わせたものでのオッズ比は、95%CI:1.40(0.41-4.78)、第4、第5分位をあわせたものでは4.84(95%CI:1.29-18.1)であった。

Soy product consumption and the risk of colon cancer: a prospective study in Takayama, Japan.
Nutr Cancer 2007;57(2):151-7
大豆製品の摂取と大腸がん罹患の関連について検討した研究。岐阜県高山コホートの対象者男性13,894名、女性16,327例を1992年から2000年まで追跡し、期間中213例の大腸がん罹患が観察された。大豆製品の摂取量に基づき三分位で区分し、第1三分位(低)を基準とした大腸がんのリスクを検討した。男性では、第2三分位(中)が1.12(95%CI:0.69-1.84)、第3三分位が1.24(0.77-2.00)であった。女性では、第2三分位(中)が0.84(0.53-1.33)、第3三分位が0.56(0.34-0.92)であった。女性においてのみ大腸がん罹患と大豆摂取の関連がみられた。

The relationship between the consumption of meat, fat, and coffee and the risk of colon cancer: a prospective study in Japan.
Cancer Lett 2006 Dec 8;244(2):260-7
大腸がん罹患と各種栄養素および食品摂取の関連を検討した研究。岐阜県高山コホートの対象者男性13,894名、女性16,327名を1992年から2000年まで追跡し、期間中男性111名、女性102名の大腸がん罹患が観察された。食品摂取量に応じて三分位に分類し(低、中、高)、最も低い群を基準にした他群の大腸がんリスクを検討した。大腸がんとの関連がみられた食品は、加工肉やコーヒー摂取などで加工肉については、男性の高摂取群で、1.98(95%CI:1.24-3.16)と有意であった。一方、コーヒーの摂取については、女性のみで予防的に作用し、1日1杯以上飲むもので、0.43(0.22-0.85)であった。お茶などの摂取との間には関連はみられなかった

Height, weight, and alcohol consumption in relation to the risk of colorectal cancer in Japan: a prospective study.
Br J Cancer 2003 Apr 7;88(7):1038-43
大腸がん罹患と体格、喫煙、飲酒の関連を検討した研究。岐阜県高山コホートの対象者29,051名を1992年から2000年まで追跡し、期間中男性161名、女性134名の大腸がん罹患が観察された。男性では、身長の三分位で高身長の群を基準とした際の、低身長の群での大腸がんリスクは 2.13(95%CI:1.26-3.58)と高かった。 また、同様にBMIにおいて、男性で大腸がんとの関連がみられたが、女性では関連がみられなかった。喫煙では、男性で、飲酒では男女ともに大腸がん罹患との関連がみられた。

Colorectal polypectomy and risk of colorectal cancer by subsite: the Fukuoka Colorectal Cancer study.
Jpn J Clin Oncol 2007 Aug;37(8):597-602
ポリープの切除と大腸がん罹患の関連を検討した研究。福岡市内の二つの大学病院で大腸がん手術をうけた患者840名と同じく福岡市内より二段階無作為抽出されたコントロール833名が対象(福岡ケースコントロールスタディ)。ポリープを指摘されたことがあるのは、ケース74例(9%)、コントロール85例(10%)で、このうち切除術をうけたのは、ケース50例(6%)、コントロール64例(8%)であった。ポリープを受けたものでの大腸がんの罹患のオッズ比は、0.71(95%CI:0.48-1.06)で、同様に部位別のオッズ比は、近位結腸が1.68(0.98-2.88)、遠位結腸が0.71(0.41-1.26)、直腸が0.24(0.11-0.52)であった。

Alcohol dehydrogenase and aldehyde dehydrogenase polymorphisms and colorectal cancer: the Fukuoka Colorectal Cancer Study.
Cancer Sci 2007 Aug;98(8):1248-53
アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素は、アルコール分解において中心的役割を担う酵素であり、大腸がんを考える上で重要と考えられている。ADH2, ADH3 、ALDH2の多型と大腸がんの罹患について検討を行った研究。ADH2の47Argを持つもの(slow metabolizers)は、 ADH2*47His/His genotypeに比べ、大腸がん罹患のオッズ比は1.32 (95% CI : 1.07-1.63)であった(この関連は飲酒量の影響は受けなかった)。ADH3の多型については、大腸がんの罹患との関連はみられなかった。またALDH2については、ALDH2*487Glu/Lysについて、 ALDH2*487Glu/Gluとの比較で関連はみられなかった (OR 0.89, 95% CI: 0.71-1.13) . 一方で ALDH2*487Lys/Lys は、大腸がんリスクの低下と関連していた (OR 0.55, 95% CI :0.33-0.93).

Meat, fish and fat intake in relation to subsite-specific risk of colorectal cancer: The Fukuoka Colorectal Cancer Study.
Cancer Sci 2007 Apr;98(4):590-7
肉、魚の摂取と大腸がん発症との関連を検討したところ、肉では特に関連がなく、魚の摂取については、統計的に有意ではないが負の関連、n-3系多価不飽和脂肪酸とは有意な関連がみられた(低摂取 (1.99 g/day)に対する高摂取 (3.94 g/day)のオッズ比は 0.74 (95% CI 0.52-1.06)。同様に遠位結腸に対しては、オッズ比が 0.56 (95% CI 0.34-0.92)

Physical activity and colorectal cancer: the Fukuoka Colorectal Cancer Study.
Cancer Sci 2006 Oct;97(10):1099-104
職業性、余暇の身体活動は遠位結腸がんと関連があったが、近位結腸がんとは関連がみられなかった。 男性では、職業性の活動量において、遠位結腸(P = 0.047 )と直腸(p=0.02)で関連がみられたが、総身体活動量(P = 0.01)、中等度以上の余暇活動(p=0.004)では、関連がみられたのは直腸とのみであった。女性では、職業性、余暇の身体活動ともに予防的には作用したが遠位結腸でのみ関連がみられらた。

Colorectal cancer and serum C-reactive protein levels: a case-control study nested in the JACC Study.
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S185-9
がんの既往歴があるなどの理由で削除されたものを除き、大腸・直腸がん症例141名、性と年齢を一致させた対照例327名で高感度CRPレベルと大腸・直腸がんとの関連を検討した。高感度CRPレベルと大腸・直腸がんとの間に有意な関連は認めなかった。最も低い群に対する最も高い高感度CRP群のオッズ比は1.18(95%CI: 0.68-2.06)であった。また、大腸がんのみでの検討でも有意な関連はなかった(OR:1.42(95%CI 0.73-2.74))。

Glucose intolerance and colorectal cancer risk in a nested case-control study among Japanese People.
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S180-4
1988年から1990年にかけてJACC研究に登録された40歳から79歳の男女のうち、糖尿病例と大腸がんの既往のあるものを除き、1999年末までに大腸・直腸がんを発症し血清グリコアルブミンを測定できた123例と、性・年齢、居住地域をマッチさせた279例の対照例の間で、大腸・直腸がんと耐糖能異常との関連を検討した。大腸・直腸がん症例と対照例の間に、グリコアルブミン, 総コレステロール、BMIの平均ならびに分散は同等であった。男性ではグリコアルブミン高値例で大腸・直腸がんのリスクが高い傾向があった(OR 2.39(95%CI 0.89-6.36))。しかし、女性では逆にグリコアルブミン高値例で、大腸・直腸がんのリスクが低い傾向であった(0.41(95%CI:0.14-1.04))。

Dietary fiber and risk of colorectal cancer in the Japan collaborative cohort study
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S173-9
1988年から1990年にかけてJACC研究に登録され、がんの発症に関する情報の得られた22地域の40歳から79歳の男性23,708名、女性34,028名を平均7.6年間追跡した。追跡期間中に418例の大腸がんと211例の直腸がんの発症が観察された。非飲酒者に対して、禁酒者(RR 2.01, 95%CI 1.09-3.68)、飲酒者(RR 1.97, 1.28-3.03)では2倍のリスクを示した。ただし、飲酒量との関係では用量反応的なリスクの上昇は認められなかった。直腸がんについては、エタノール換算で22g以下の飲酒者で、リスクが低くなる傾向が男性(RR 0.61, 0.33-1.13)でも、女性(RR 0.69, 0.27-1.74)でもみられた。

Medical history of circulatory diseases and colorectal cancer death in the JACC Study.
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S168-72
1988年から1990年にかけてJACC研究に登録された40歳から79歳の男女110,792名を約10年間追跡した。問診票による高血圧、脳卒中、心筋梗塞の既往と大腸・直腸がんの間に関連性があるか否かを検討した。女性では、高血圧と直腸がんとの間にHR 1.97( 95%CI 1.13-3.43)、心筋梗塞と直腸がんとの間にHR 3.05(1.28-7.28)の有意なリスクの増加を見た。脳卒中と直腸がんとの間でも有意ではないが増加の傾向を認めた。男性には大腸・直腸がんと高血圧、脳卒中、心筋梗塞の既往との間に関連性を認めなかった。

Serum levels of polyunsaturated fatty acids and risk of colorectal cancer: a prospective study.
Am J Epidemiol 2005 Mar 1;161(5):462-71
1988年から1990年にかけてJACC研究に登録された対象のうち、がん発症登録制度の整備されている24地域に居住する65184人を1997年末まで追跡した。期間中観察された大腸・直腸がん発症者169例をケース、性、年齢、参加施設を一致させた対照例を481例設定し、多価不飽和脂肪酸の血清レベルと大腸・直腸がん発症との関連を検討した。男性では、ω-3多価不飽和脂肪酸全体では (OR 0.24, 95%CI 0.08-0.78)、α-リノレン酸 (OR 0.39, 0.16-0.91)、ドコサペンタエン酸 (OR 0.30, 0.11-0.80)、ドコサヘキサエン酸(OR 0.23, 0.07-0.76)のすべてで、血清レベルの最も低い群に対する最も高い群でのリスクが低かった。女性では、一定の傾向はみられなかった。ω-6 polyunsaturated fatty acids が大腸・直腸がんの発症を促進するというリスクも明らかではなかった。

Dietary fiber and risk of colorectal cancer in the Japan collaborative cohort study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2007 Apr;16(4):668-75

Perceived psychologic stress and colorectal cancer mortality: findings from the Japan Collaborative Cohort Study.
Psychosom Med 2005 Jan-Feb;67(1):72-7
1988年から1990年にかけてJACC研究に登録された40歳から79歳の男女の中、自記式問診票にて心理的ストレスについて回答している、大腸・直腸がんの既往歴のない男性32,153名、女性45,854名を1999年末まで追跡した。自記式調査票による心理的ストレスと大腸・直腸がんによる死亡との関連を検討した。追跡期間中に193例の大腸がん(男96名、女97名)、127例の直腸がん(男88名、女39名)発症が観察された。女性では、ストレスが低いと答えた群に対してストレスが高いと答えた群で大腸がんのリスクが1.64(95%CI 1.01-2.66)と高かった。女性の直腸がん、男性の大腸がん、直腸がんでは心理的ストレスとがんの発症の間に関連性を認めなかった。

A prospective study of reproductive and menstrual factors and colon cancer risk in Japanese women: findings from the JACC study.
Cancer Sci 2004 Jul;95(7):602-7
1988年~1990年に40歳~79歳でJACC研究に登録された45地域のうちがん登録制度の整備されている24地域に居住する女性参加者で、大腸がん既往歴を有する者と追跡期間が一年以下の者を除いた38,420例を、平均7.6年追跡した。期間中207例の大腸がん発症例が観察された。初経年齢、妊娠、出産、中絶、最初の出産年齢、初経から閉経までの年数、閉経年齢と大腸がん発症リスクの関連性を検討した。中絶回数が2回以上の女性は、中絶経験のない女性に比べ発症リスクが72%高かった(RR 1.72, 95%CI 1.16 - 2.55) 。また、初経の年齢が遅い群ならびに出産経験のある群で発症リスクが低い傾向が見られた。

Bowel movement frequency and risk of colorectal cancer in a large cohort study of Japanese men and women.
Br J Cancer 2004 Apr 5;90(7):1397-401
1988年~1990年にJACC研究に登録され、がん登録が整備された24地域に居住する40歳~79歳の男女の中、大腸・直腸がん既往歴を有する者、便通に関する記録のない者を除いた男性25,731名、女性37,198名を平均7.6年追跡した。追跡期間中、429例の大腸がんを含む649例の発症が観察された。女性では、毎日1回以上の便通ありを基準とした場合、2~3日に1回の群で大腸・直腸がんの発症リスクが最も低かった(RR 0.71, 95% CI 0.52-0.97)。大腸がんについても同様であった(RR 0.70, 95%CI 0.49-1.00)。一方、6日間に1回またはそれ以下の群での大腸・直腸がんリスクは 2.47,95%CI 1.01-6.01、大腸がんでRR 2.52, 95%CI 0.93-6.82であった。男性においても女性と同様の傾向は見られたものの有意な関連ではなかった。

A prospective study on the possible association between having children and colon cancer risk: findings from the JACC Study.
Cancer Sci 2004 Mar;95(3):243-7
1988年~1990年にJACC研究に登録され、がん登録が整備された24地域に居住するもので、大腸がんの既往歴があるもの、子供の数の不明な者、追跡期間が1年未満の者は除いた男性24,877名、女性36,629名を平均7.6年追跡した。追跡期間中に女性198名、男性202名の大腸がん発症が観察された。女性では、子供がいない者を基準とした大腸がんリスクは、子供1人が 0.74(95%CI 0.46-2.20)、2人が1.00(95%CI 0.46-2.20)、3人が0.70(95%CI 0.31-1.55)、4人以上が0.59(95%CI 0.26-1.33)であった。女性では子供が多いほど大腸がんになりにくいという傾向が認められたが(p=0.047)、男性ではこのような関連性は認められなかった。

Calcium, dairy foods, vitamin D, and colorectal cancer risk: the Fukuoka Colorectal Cancer Study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2008 Oct;17(10):2800-7
カルシウム、ビタミンD(V.D)と大腸がん罹患との関連を検討した研究。福岡市内の病院で大腸がん手術をうけた患者836名と同じく福岡市内より抽出されたコントロール831名が対象(福岡ケースコントロールスタディの対象者)。カルシウム、VD,乳製品の摂取量を5分位で分類し、最小摂取群(Q1)を基準とした大腸がん罹患のオッズ比を算出した。カルシウム摂取量は、最少摂取群に対する最大摂取群のオッズ比は、0.64 (95%CI: 0.45-0.93)であった。同様にVDについては、0.79(0.56-1.11)であった。食品との関連については、牛乳の最大摂取群での大腸がん罹患のオッズ比が0.60(0.40-0.91)であり、大腸がんに対し予防的であった。結腸と直腸に分け検討した結果では、カルシウム摂取は直腸がんに対し予防的であった(Q1vs.Q5 0.56(0.35-0.91)。

Dietary soy and isoflavone intake and risk of colorectal cancer in the Japan public health center-based prospective study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2008 Aug;17(8):2128-35
JPHC研究において、1995年と1998年にアンケート調査に回答した45-74歳の男女83,063人を、2004年まで追跡し、大豆製品・イソフラボン摂取と大腸がん罹患との関連を検討した。大豆やイソフラボンの摂取量は研究開始5年後に行った質問紙調査結果により算出し、それらの摂取量により4群に分け、大腸がんにかかる危険性(リスク)との関連を検討した。がんの既往歴のない83,063人(男39,069人、女43,994人)のうち、約8年の追跡期間(632728人年)に886人が大腸がんに罹患した(結腸がん577人、直腸がん277人)。男女共に大豆製品・イソフラボン摂取と大腸がんとの関連はみられなかった。結腸をさらに近位部と遠位部に分けた場合、男性では、近位部の結腸がんにかかるリスクが、大豆製品・イソフラボン摂取量の最小群に比べて、摂取量が多くなると低下する傾向がみられた(HRはそれぞれ、0.55 (95% CI, 0.33-0.92), 0.72 (95% CI, 0.43-1.21), 0.51 (95% CI, 0.30-0.87))。

Dietary calcium, vitamin D, and the risk of colorectal cancer.
Am J Clin Nutr 2008 Dec;88(6):1576-83
1990年1993年に40~69才の男女74,639人を2002年まで追跡し、カルシウムおよびビタミンDの摂取量と大腸がん発生率との関連を検討した。研究開始から5年後に行った、138項目の食事摂取頻度調査によりカルシウムおよびビタミンDの1日当たりの摂取量を算出して、摂取量で5群にわけ、その後の大腸がん発生率を比較した。追跡期間中に男464人、女297人、合計761人が大腸がんに罹患した。多因子を調整したハザード比をみると、男性ではカルシウムの摂取量が最も少ない群に比べ、摂取量が最も多い群でリスクが低くなっていた(HR:0.71、95% CI: 0.52, 0.98) が、量-反応関係は明確ではなく(p=0.09)、女性では関連がみられなかった。ビタミンD摂取量と大腸がんの間には、男女とも統計学的に有意な関連は見られなかったが、男性では、カルシウムとビタミンDの摂取量が両方とも多い群でリスクが低いということが明らかになった(HR:0.59、95%CI:0.38-0.93)。本結果から、カルシウムの摂取量が多い男性で、大腸がんの危険度(リスク)が低くなる可能性が示された。

Low intake of vitamin B-6 is associated with increased risk of colorectal cancer in Japanese men.
J Nutr 2007 Jul;137(7):1808-14
1990~94年に40~69才の男女81,184人を、2002年まで追跡し、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニンの摂取量と大腸がん発生率との関連を調べた。追跡期間中に男335人、女191人、合計526人が大腸がんを発症。研究開始から5年後に行った、138項目の自記式食物摂取頻度調査の結果を用いて、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニンの1日当たりの摂取量を算出して摂取量により5群に分け、その後の大腸がん発生率を比べた。年齢、喫煙、肥満などを調整して男女別に検討した結果、ビタミンB6の摂取量が最も少ない群に比べ、最も多い群のハザード比は0.69 (0.48-0.98) (P(trend) = 0.03)であった。男性で週にエタノール換算で150g(日本酒にして約7合)以上のむ群についてみると、最もビタミンB6の摂取量が少ないは最も多い群に比べて大腸がん発症リスクが2倍以上だった。女性では、どの栄養素でも関連が見られなかった。葉酸やメチオニンの摂取量は男女とも大腸がん発症と関連が見らなかったが、男性ではビタミンB12では摂取量が少ないと大腸がんのリスクがややあがる傾向が見られた。

Coffee consumption and risk of colorectal cancer in a population-based prospective cohort of Japanese men and women.
Int J Cancer 2007 Sep 15;121(6):1312-8
1990~94年に40~69歳の男女96162人を2002年まで追跡し、コーヒー摂取と大腸がんとの関連を検討した。約10年の追跡期間に1163人(男性726人、女性437人)が大腸がんを発症。このうち、763人が結腸がん、400人が直腸がんであった。男性では、どの大腸がんについても、コーヒー摂取と大腸がんの関連はみられなかったが、女性では、ほとんど飲まない群に比べ、1日に3杯以上飲む群で、大腸がん全体のリスクが32%低下(相対危険度 0.68、95% CI = 0.40-1.15)、浸潤がんでは約4割低下(相対危険度 0.60、95% CI = 0.31-1.19)していたが、いずれも統計学的に有意な差はなかった。

厚生の指標 2006年2月号 27-34.
厚生の指標 2006年2月号 27-34.
総死亡は高血圧の治療などとの関連があり、がん罹患は、主に大腸がんと健康診査データとの関連がみられた。男性では、中性脂肪高値、心臓病、女性では、赤血球高値、総コレステロール高値、中性脂肪高値、動脈硬化指数高値が関連していた。

Smoking and colorectal cancer in a non-Western population: a prospective cohort study in Japan.
J Epidemiol 2003 Nov;13(6):323-32
JACC研究の対象45地域中の24地域のデータを使用。大腸・直腸がんの既往歴を有するもの、喫煙に関する記載(非喫煙、禁煙、喫煙)の不備なものを除き、40歳~79歳の男性25,260名、女性34,619名を平均7.6年間追跡した。追跡期間中に408例の大腸がん、204例の直腸がんの発症が観察された。男性非喫煙者と比べ、男性喫煙者の大腸がんリスクは1.23(95%CI:0.85-1.78)、禁煙群では1.07(0.72-1.59)、であった。喫煙の本数や喫煙年数と大腸がん発症リスクの間にも関連性は認められなかった。1日40本以上の喫煙群でも、HRは1.07(0.71-1.61)であった。女性の大腸がん、男性の直腸がんでも喫煙との関連性はなかった。

No association between fruit or vegetable consumption and the risk of colorectal cancer in Japan.
Br J Cancer 2005 May 9;92(9):1782-4
40-69才の日本人男性42,525人、女性46,133人を10年間追跡し、果物・野菜摂取量と大腸がんの発症との関連について検討した。追跡期間中704人が新たに大腸がんを発症した。果物、野菜摂取量を”最も少ない”、”二番目に少ない”、”三番目に少ない”、”最も多い”の四グループに分けて大腸がん発症との関連を検討した。男女共に果物摂取量、野菜摂取量と大腸がん発症との間には有意な関連を認めなかった。

Alcohol consumption, smoking, and subsequent risk of colorectal cancer in middle-aged and elderly Japanese men and women: Japan Public Health Center-based prospective study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2003 Dec;12(12):1492-500
JPHC研究の40-69才の男女90,004例(男性42,540例、女性 47,464例)をコホートⅠの集団は10年、コホートⅡの集団は7年間追跡調査した。期間中716例(男性457例、女性259例)が新たに大腸がんを発症した。男性ではエタノールを一週間に150-299g摂取する群は摂取しない群に比べて大腸がん発症のリスクが1.4倍(95%CI 1.1-1.9), エタノールを一週間に300g以上摂取する群は2.1倍(95%CI 1.6-2.7)高かった。一方、女性では週1回以上の飲酒習慣と大腸がんの間には有意な関係は認めなかった。また男性ではタバコを吸う群は一度も吸わない群に比べて大腸がん発症のリスクが1.4倍(95%CI 1.1-1.8), 過去に吸っていた群は1.3倍(95%CI 0.98-1.7)高かった。

Plasma C-peptide, insulin-like growth factor-I, insulin-like growth factor binding proteins and risk of colorectal cancer in a nested case-control study: the Japan public health center-based prospective study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2006 Apr;15(4):690-5
40-69才の日本人男性65,803人、女性67,520人を11.5年間追跡し、高感度CRPと大腸がんの発症との関連について検討した。追跡期間中375人が新たに大腸がんを発症した。高感度CRP値に基づき4グループに分けて検討した。高感度CRPの最も高い群は最も低い群に比較して、大腸がん発症のリスクが有意に高かった(RR=1.6, 95%CI 1.1-2.5, p<0.053)。

Body mass index, body height, and subsequent risk of colorectal cancer in middle-aged and elderly Japanese men and women: Japan public health center-based prospective study.
Cancer Causes Control 2005 Sep;16(7):839-50
40-69才の日本人男性49,158人、女性53,791人を10年間追跡し、BMI,身長と大腸がんの発症との関連について検討した。追跡期間中男性626人、女性360人が新たに大腸がんを発症した。男性において、BMI23-24.9の群を基準として比較すると、BMI23以下の群は大腸がんと有意な関係を認めなかった。男性においてBMIが"25-26.9"、 "27-29.9"、"30以上"、の群はBMI25以下を基準として比較すると大腸がん発症のリスクが有意に高かった(RR 1.2, 95%CI 0.99-1.5, RR 1.4, 95%CI 1.1-1.9, RR 1.5, 95%CI 0.86-2.5, p=0.004)。これらの関係は浸潤性の大腸がんにおいてより強く認められた。女性においてはBMIと大腸がんとの間に有意な関係は認めなかった。男女共に身長と大腸がんとの間に有意な関係は認めなかった。

Colorectal cancer screening using fecal occult blood test and subsequent risk of colorectal cancer: a prospective cohort study in Japan.
Cancer Detect Prev 2007;31(1):3-11
40-59才の日本人男性20,326人、女性21,824人を13年間追跡し、大腸がん検診(便潜血法)受診の有無とその後の大腸がんの発症との関連について検討した。調査開始時12ヶ月以内に大腸がん検診を受けたことがあると回答したのは全体の17%だった。追跡調査中597人が大腸がんを発症し、うち132人が大腸がんにより死亡した。大腸がん検診受診群は大腸がん検診未受診群と比較して、胃がんによる死亡率が約70%低下(RR0.28, 95%CI 0.13-0.61)していた。

Dietary patterns and subsequent colorectal cancer risk by subsite: a prospective cohort study.
Int J Cancer 2005 Jul 10;115(5):790-8
40-59才の日本人男性20,300人、女性21,812人を10年間追跡し、食習慣パターンと大腸がんの発症との関連について検討した。追跡期間中370人が新たに大腸がんを発症した。食習慣はアンケート調査により次の三群(「健康型」、「伝統型」、「欧米型」)に分けた。①「健康型」:やさい、果物、海草、ジャガイモ、ヨーグルト、きのこ、大豆、牛乳、卵、豆類と関連が強い。②「伝統型」:塩漬け魚卵、漬物、干物、みそ汁、米、男性ではアルコールと関連が強い。③「欧米型」:パン、バター、チーズ、肉類、ドレッシング、炭酸・果物・野菜ジュース、コーヒー、紅茶、インスタントラーメンと関連が強い。10年の追跡期間中男性231人、女性139人が大腸がんを発症した。男女それぞれ上記の三つの食習慣パターン得点(当てはまる強さ)でさらに4群に分けて、食生活パターンと大腸がんのリスクをそれぞれの食習慣グループにおいて比較した。

Dietary fiber intake and subsequent risk of colorectal cancer: the Japan Public Health Center-based prospective study.
Int J Cancer 2006 Sep 15;119(6):1475-80
食物繊維と大腸がんの関係を検討する目的で、40-69才の日本人を対象に、まず初回に男性40,761人、女性45,651人に44もしくは52品目の食物摂取頻度調査を行い、その後10年間追跡調査した。追跡期間中男性567人、女性340人が新たに大腸がんを発症した。初回調査の5年後に、男性36,901人、女性41,425人により詳しく138品目の食物摂取頻度調査を行い、その後を5.8年間追跡調査した。追跡期間中男性335人、女性187人が新たに大腸がんを発症した。初回調査及び、5年後調査において、食物線維を多く摂取すると大腸がんのリスクが減るという関係は認められなかった。しかし、5年後調査においては、食物繊維最小摂取群は他の群より大腸がん発症リスクが高くなる傾向にあり、食物線維摂取量の一番少ない群をさらに三つの群に分けたところ、女性においては、その中でも食物線維摂取量の一番少ない群は、全体の食物繊維を最もとっている群に比較して大腸がん発症のリスクが2.3倍(95%CI 1.0-5.2)と高かった。

Bowel movement, state of stool, and subsequent risk for colorectal cancer: the Japan public health center-based prospective study.
Ann Epidemiol 2006 Dec;16(12):888-94
40-69才の日本人男性27,529人、女性30,411人を7.9年間追跡し、便通・便の性状と大腸がん発症との関連について検討した。追跡期間中男性584人,女性207人が新たに大腸がんを発症した。排便頻度と大腸がんの関連では、"毎日1回便通あり”群と比較して、”週に2-3回”群、"毎日2回以上便通あり”は男女共に大腸がんの発症リスクに有意な差は認めなかった。便の性状と大腸がん発症の関係を検討すると、女性において下痢便が大腸がん発症リスクを高くする結果だったが、女性の下痢便(+)で大腸がん発症例が2例と少ないため、信頼できるデータではない可能性がある。よって、今回の結果からは、便通及び便の性状と大腸がん発症のリスクとの間には関連がないことが示唆された。

Physical activity and risk of colorectal cancer in Japanese men and women: the Japan Public Health Center-based prospective study.
Cancer Causes Control 2007 Mar;18(2):199-209
40-69才の日本人男性29,842人、女性35,180人を6年間追跡し、身体活動レベルと大腸がん発症との関連について検討した。追跡期間中男性290人,女性196人が新たに大腸がんを発症した。身体活動レベルは運動強度指数(MET)×活動時間でスコア化し、”活動最小群”、”2番目に低い群”、”3番目に低い群”、”最大群”の4グループに分けて大腸がん発症のリスクを検討した。男性においては”活動最大群”は”活動最小群”に比して大腸がん発症リスクが低く(RR=0.69, 95% CI 0.49-0.97, p=0.022)、特に近位部結腸がんにおいて身体活動レベルの増加は近位部結腸がん発症のリスクを低下させた(RR=0.29, 95% CI 0.14-0.60, p<0.001)。

Plasma vitamin D and risk of colorectal cancer: the Japan Public Health Center-Based Prospective Study.
Br J Cancer 2007 Aug 6;97(3):446-51
40-69才の日本人男性15,258人、女性26,703人を11.5年間追跡し、血中25-水酸化ビタミンD濃度と大腸がん発症との関連について検討した。追跡期間中男性196人,女性179人、計375人が新たに大腸がんを発症した。年齢、性、居住環境、採血時の状況をマッチさせた750人を対照群とし、比較した(ネステッドケースコントロールスタディ)。血中25-水酸化ビタミンD濃度は数値で4群に分けて比較した。男女ともに血中25-水酸化ビタミンD濃度と大腸がん発症リスクの間には有意な関連を認めなかった。しかし、直腸がんに限ると、血中25-水酸化ビタミンD濃度が最も低い群では直腸がんの発症リスクが男性で4.6倍(95% CI 1.0-20),女性で2.7倍(95%CI 0.94-7.6)高かった。

Plasma C-peptide, insulin-like growth factor-I, insulin-like growth factor binding proteins and risk of colorectal cancer in a nested case-control study: the Japan public health center-based prospective study.
Int J Cancer 2007 May 1;120(9):2007-12
40-69才の日本人男性15,258人、女性26,703人を11.5年間追跡調査し、血中Cペプチド、インスリン様成長因子結合蛋白-1(IGFBP-1)、インスリン様成長因子-Ⅰ(IGF-Ⅰ)、インスリン様成長因子結合蛋白-3(IGFBP-3)を測定し、大腸がん発症との関連について検討した。追跡期間中男性196人,女性179人が新たに大腸がんを発症した。、血中Cペプチドを数値で4群に分けて最も低い群を基準にして比較すると、男性においては、血中Cペプチドが高値になるにしたがい、大腸がんのリスクが高くなった(OR 1.0; 95% CI(-), OR 2.3; 95% CI 1.2-4.5, OR 2.8; 95% CI 1.3-6.1, OR 3.2; 95% CI 1.4-7.6, p=0.0072)。直腸がんよりも結腸がんにおいてこの傾向は強く認められた。女性においては血中Cペプチドと大腸がん発症に関連は認めなかった。IGFBP-1、IGF-I、IGFBP-3、は男女共に大腸がんと有意な関連を認めなかった。

Impact of alcohol drinking on total cancer risk: data from a large-scale population-based cohort study in Japan.
Br J Cancer 2005 Jan 17;92(1):182-7
40-59才の日本人男性35,007人、女性38,274人を平均9.8年間追跡し、飲酒とがん全体の発症との関連について検討した。追跡期間中、男性1,904人、女性1,499人が新たにがんを発症した。男女それぞれを調査開始時の飲酒量に基づき6群に分け、がん発症との関連を比較した。男性では、”時々飲む”群が一番がん発症のリスクが低く、”時々飲む”群を基準として、飲酒量が増えるほど、がん発症のリスクが高かった(エタノール摂取1-149g/週のHR1.18, 150-299g/週のHR1.17, 300-449g/週のHR1.43, 450g以上/週のHR1.61, p<0.001)。

Diabetes mellitus and the risk of cancer: results from a large-scale population-based cohort study in Japan.
Arch Intern Med 2006 Sep 25;166(17):1871-7
40-69才の日本人男性46,548人、女性51,223人を11年間追跡し、糖尿病とがん発症との関連について検討した。追跡期間中男性3,907人,女性2,555人が新たにがんを発症した。男性においては、糖尿病の既往があると、がん発症のリスクが1.27倍と高かった(95%CI 1.14-1.42)。特に肝がん、膵がん、腎がん、においてその関係を強く、大腸がんにおいて中等度に認めた(HR 2.24, 95%CI 1.64-3.04; HR 1.85, 95%CI 1.07-3.20; HR 1.92, 95%CI 1.06-3.20、HR 1.36, 95%CI 1.06-3.46 )。女性においては、糖尿病の既往があると、 胃がんと直腸がん発症のリスクが高くなった(HR 1.61, 95%CI 1.02-2.54; HR 1.94, 95%CI 1.00-3.73)。糖尿病はがん発症のリスクを増加させている可能性が示唆される。

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