厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

「女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策研究」日本人を対象とした疫学研究の抄録集



Population-based prospective study of the combined influence of cigarette smoking and Helicobacter pylori infection on gastric cancer incidence: the Hisayama Study.
Am J Epidemiol 2008 Dec 15;168(12):1409-15
1988年に40歳以上で、胃切除・胃がんの既往歴を有しない男性1071名を14年間追跡した。1日の喫煙本数により、0、1-9,10-19,≧20の4群にわけ検討した。68例の胃がん発症が観察された。非喫煙者に対する喫煙本数別の胃がんリスクは、1日1-9本で1.36 (95%CI:0.50-3.71)、10-19本で1.93(1.01-3.67)、20本以上で1.88(1.02-3.43)であった。胃がん発症率は、非喫煙で非感染である群に対して、喫煙者でH. pylori感染のある群で11.41(95%CI:1.54-84.67)と特に高かった。喫煙の集団寄与リスクは28.4%、H. Pylori感染の集団寄与リスクは56.2%であった。喫煙+H. pylori感染の集団寄与リスクは49.6%であった。

Incidence and prognosis of gastric cancer in a population-based cohort survey: the Hisayama study.
Scand J Gastroenterol 2004 May;39(5):459-63
胃がん、胃切除の既往のない40歳以上の男性1071名(平均年齢57歳)と女性1534名(平均年齢59歳)を1988年~1998年間で経過観察した。男性54例、女性22例で胃がんの発症を見た。発症率は男性で4.9/1000人・年、女性で1.2/1000人・年であった。男性では加齢とともに発症率が上昇したが、女性ではそのようなことはなかった。7例では2箇所にがんがあり、男性60症例、女性23症例で検討した結果、5年生存率は、胃体部中央1/3に発生したがんで胃の上部1/3に生じたがんに比し良い。また、分化度の高い腺がんで予後がよい。経過観察中に初期がんの群からは死亡例はいなかった。胃がんの発症率ならびに加齢との関連において男女差があるのは、男性におけるH. pylori感染率の高さだけでは説明できず、喫煙、飲酒などの生活習慣における男女差が関係すると思われる。

Secular trends in the incidence, mortality, and survival rate of gastric cancer in a general Japanese population: the Hisayama study.
Cancer Causes Control 2005 Jun;16(5):573-8
久山町研究の第1コホート1961年度1637例(男713名、女924名)、第2コホート1974年度2054例(男866名、女1188名)、第3コホート1988年度2602例(男1070名、女1532名)をおのおの10年間経過観察を行い、胃がんの発症率、死亡率、5年生存率を各年度間で比較した。胃がんによる死亡率は第1コホートの男2.4/1000人・年、女1.0/1000人・年から第3コホートでは男0.8/1000人・年、女0.2/1000人・年に減少した。5年生存率は、男は32.6%から73.0%へ、女は43.2%から72.3%へ上昇した。発症率は男では第1コホート(4.3/1000人・年)から、第2コホート(5.0/1000人・年)、第3コホート(4.9/1000人・年)まで変わらず、女では第1コホート(2.0/1000人・年)から、第2コホート(1.8/1000人・年)、第3コホート(1.2/1000人・年)と有意に減少した。本邦では、過去40年胃がんによる死亡率が減少してきているが、その背景には死亡率の低下(男女とも)と女性における発症率の低下が寄与していると考えられる。

Impact of fasting plasma glucose levels on gastric cancer incidence in a general Japanese population: the Hisayama study.
Diabetes Care 2005 Apr;28(4):789-94
1988年に40歳以上の胃がん、胃切除の既往歴のない男女2466例(男1028例、女1438例)を空腹時血糖で3群に分け(<5.3mmol/l, low FPG, 5.3-5.8mmol/l,modest FPG, >5.8mmol/l,high FPG) 9年間追跡した。期間中66例が胃がんを発症した。男での年齢調整発症率はmodest FPGで7.0(/1000人・年)、high FPGで7.2(/1000人・年)であり、low FPGの2.2(/1000人・年)に比し有意に高く、女ではhigh FPGで2.5(/1000人・年)、low FPGで0.8(/1000人・年)であり、両者で有意な差を認めた。年齢,性、肥満度、総コレステロール、Helicobacter pylori,喫煙、飲酒、総摂取カロリー、総脂肪、塩分、ビタミンA,B1,B2,C,食物繊維などの因子で調整した多変量解析でも、modest FPG群(RR 2.3, 95%CI 1.1-5.0)と high FPG群(RR 3.1, 95%CI 1.5-6.4)は、low FPG群に比べ有意に胃がん発症リスクが高かった。

Aggregation of stomach cancer history in parents and offspring in comparison with other sites.
Int J Epidemiol 2003 Aug;32(4):579-83
1988年~1990年にJACC研究に登録された中から79,540名を対象に、出生順に応じて1番目、2番目、3番目、そのほかに分類し、両親のがん既往歴と対象者本人のがんとの関連性を検討した。両親の胃がん既往歴がありの場合、本人が胃がんを発症するオッズ比は、1番目の出生で2.5(95%CI:2.0-3.4)、2番目の出生で2.5(95%CI:2.0-3.2)、3番目の出生で2.6(2.1-3.2)であった。同様に肝臓がんでは各群で5.0(2.7-9.4)、4.8(2.8-8.6)、6.3(3.5-11.2)、大腸・直腸がんでも3.9(1.8-8.5)、3.9(1.7-8.4)、3.1(1.5-6.5)と高いリスクを示した。

The serum pepsinogen test as a predictor of gastric cancer: the Hisayama study.
Am J Epidemiol 2006 Apr 1;163(7):629-37
1988年に40歳以上の胃切除・胃がんの既往歴のない男女2446例(男1016例、女1430例)を、血清ペプシノゲン強陽性、陽性、陰性の3群に分け、14年間追跡した。男性では、強陽性が106例、陽性は175例、陰性が735例、女性では強陽性が105例、陽性328例、陰性997例であった。胃がん発症は男性で強陽性で17例、陽性で23例、陰性で26例、女性で強陽性で6例、陽性で7例、陰性で10例観察された。男性では陰性群に比し、強陽性群(4.56, 95%CI: 2.42, 8.60)と陽性群(3.91, 95%CI: 2.23, 6.86)で有意に胃がんの発症率が高く、女性では強陽性群(5.84, 95%CI: 2.00, 17.11)でのみ有意に高かった。血清ペプシノ-ゲンはH.pyloriの感染とは独立した分化型胃がんの予測因子であることが示唆された。

Menstrual and reproductive factors and the mortality risk of gastric cancer in Japanese menopausal females.
Cancer Causes Control 2003 Feb;14(1):53-9
1988年~1990年にJACC研究に登録された、胃がん・胃切除の既往のない閉経後女性40,535名を平均8.2年追跡した。追跡期間中に156例の胃がん死亡例が観察された。出産経験のないものに比べ、出産経験あるものでは胃がん死亡率が低くかったが(0.62, 95%CI 0.27-1.41)、出産回数との間に一定の傾向はなかった。初経から閉経までの期間が長いほど胃がん死亡のリスクが低い傾向があった。

Individual and joint impact of family history and Helicobacter pylori infection on the risk of stomach cancer: a nested case-control study.
Br J Cancer 2004 Aug 31;91(5):929-34
1988年から1990年にJACC研究に登録された40から79歳の男女のうち、がんの既往がない男女64,327名を約8年間追跡した。登録1年以内の発症を除き、804例の胃がん発症が観察された。この発症者のうち、血液検査の可能であった202例(男105例、女97例)を胃がん群、性と年齢を一致させた対照群(男202例、女192例)とで、胃がんの発症と家族歴の有無、H.pylori感染の有無との関連を検討した(ネステッドケースコントロール研究)。女性では一親等の家族に胃がん既往歴のある場合にリスクが上昇したが、男性では関連はみられなかった。女性では、家族歴とH.pylori感染をともに有する場合、そのどちらも無い群に比べ、胃がん発症のオッズ比(95%CI)が5.10(1.58-16.5)であった。

A prospective study of dietary salt intake and gastric cancer incidence in a defined Japanese population: the Hisayama study.
Int J Cancer 2006 Jul 1;119(1):196-201
1988年に40歳以上で、胃切除・胃がんの既往のない男女2467名(男1023名、女1444名)を14年間追跡し、1日の塩分摂取量で4群(<10.0, 10.0-12.9, 13.0-15.9, ≧16.0g/日)にわけ、胃がん発症との関連を検討した。追跡期間中に93例に胃がんの発症が観察された。 性・年齢調整の胃がん発症率は、摂取量が最も少ない群に比較して、第2群で2.42(1.24-4.71)、第3群で 2.10(1.03-4.30)、第4群で2.98(1.53-5.82)で高かった。層別解析の結果では、H.pylori感染と萎縮性胃炎の両者を有する症例でのみ、塩分摂取と胃がん発症の間に有意な関連がみられた(HR 2.87, 95%CI 1.14-7.24)。

Dietary habits and stomach cancer risk in the JACC Study.
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S98-108
1988年から1990年にJACC研究に登録した40歳から79歳の男女110,792名を1999年まで追跡し、期間中859例の胃がん死亡が観察された。食事は、33項目の食物摂取頻度調査票で調査し、食品群と胃がん死亡の関連を検討した。男性では、西洋型朝食群が胃がんと負の関連性を示した(HR=0.49, 95%CI 0.35-0.70)。女性では、肝臓を食する群で高い胃がん発症率を認めた。全く食べない者に比べて、摂取頻度が3-4回/週ではHR 2.02(95%CI 1.12-3.63)、1日に1回以上では、HR=3.16(95%CI 1.16-8.62)であった。一方、果物・野菜の摂取量、みそや漬物の塩分の多い食材の摂取量と胃がんの発症との間には、男女とも関連性を認めなかった。

A nested case-control study of stomach cancer in relation to green tea consumption in Japan.
Br J Cancer 2004 Jan 12;90(1):135-8
JACC研究の対象者のうち、がん登録が整備された24地域の住民でがんの既往のない男女64327名を1997年まで追跡し、804例の胃がん発症例が観察された。このうち血液サンプル、飲茶に関する情報が得られた151例を発症例とし、これらと性と年齢を一致させた対照例は265例を対象とし、緑茶の飲用が胃がん発症の関連を検討した。1日のお茶の飲用が1杯未満の群に対する、胃がん発症のリスクは、1-2杯(RR 1.3, 0.6-2.8), 3-4杯(RR 1.0, 0.5-1.9), 5-9杯(RR 1.2,0.6-2.5), 10杯以上(RR 1.2,0.6-2.5)であり、緑茶飲用は胃がん発症に対して予防的ではなかった。

Lower risk of death from gastric cancer among participants of gastric cancer screening in Japan: a population-based cohort study.
Prev Med 2007 Jan;44(1):12-9
胃がん検診受診と胃がん発症の関連を検討した研究。宮城コホート対象者41,394名を1990年から2001年まで追跡し、期間中152例の胃がん死亡、2,800例の胃がん以外の理由による死亡、585例の胃がん罹患が観察された。検診を受診しないものに対し、検診を受診した者での総死亡、胃がん以外の死亡リスクは、それぞれ0.83(95%CI:0.77-0.90)、0.54(0.38-0.77)であり、同様に胃がん罹患のリスクは、0.94(0.79-1.13)であった。

Prospective study of screening for stomach cancer in Japan.
Int J Cancer 2003 Aug 10;106(1):103-7
胃がん検診受診と胃がん死亡の関連を研究した研究。JACC studyの対象者87,312名を対象に、8年間追跡を行い、期間中480例の胃がん死亡が観察された。胃がん検診をうけないものに対し、受けたものでの胃がん死亡のリスクは、男性が0.54(0.41-0.70)、女性が0.74(0.52-1.07)であった。

Cigarette smoking and mortality due to stomach cancer: findings from the JACC Study.
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S113-9
1988年から1990年にかけてJACC研究に登録された喫煙に関する情報が得られ、がんの既往歴のない男性43,482名と女性54,580名を追跡した(970,251人・年)。期間中757名(男性522名、女性235名)の胃がんによる死亡が観察された。男性喫煙者では、非喫煙者と比べ胃がん死亡のリスクは1.36(95%CI 1.07-1.73)と高かった。1日15本以上の喫煙者では非喫煙者の1.4倍、1日35本以上の喫煙者は非喫煙者の1.7倍のリスクであったが、喫煙本数との用量反応関係はみられなかった(p=0.063)。女性では、喫煙と胃がんの間に関連はみられなかった。

Gastric cancer screening and subsequent risk of gastric cancer: a large-scale population-based cohort study, with a 13-year follow-up in Japan.
Int J Cancer 2006 May 1;118(9):2315-21
40-59才の日本人男性20,326人、女性21,824人を13年間追跡し、胃がん検診受診の有無とその後の胃がんの発症との関連について検討した。調査開始時12ヶ月以内に胃がん検診を受けたことがあると回答したのは全体の36%だった。追跡調査中639人が胃がんを発症し、うち179人が胃がんにより死亡した。胃がん検診受診群は胃がん検診未受診群と比較して、胃がんによる死亡率が約半分(RR0.52, 95%CI 0.65-0.78)と低下していた。

Serum levels of insulin-like growth factor I, II, and binding protein 3, transforming growth factor beta-1, soluble fas ligand and superoxide dismutase activity in stomach cancer cases and their controls in the JACC Study.
J Epidemiol 2005 Jun;15 Suppl 2:S120-5
1988年から1990年にJACC研究に登録された40歳~79歳のがん既往歴のない64,327名を8年間追跡し、期間中に804例の胃がん発症が観察された。このうち血液サンプルが得られた胃がん症例210例と性、年齢、参加施設を一致させた対照例410例との間で、Insulin-like growth factor Ⅰ,Ⅱ、Binding protein 3、Transforming growth factor β-1、Soluble fasligand、 Superoxide dismutaseと胃がん発症との関連性を検討した。6つのbiomarkerの中で、sFasのみが、女性胃がん症例で高値であった。

A nested case-control study of stomach cancer incidence and serum superoxide dismutase activity in the Japan Collaborative Cohort study in Japan.
Cancer Detect Prev 2007;31(6):431-5
JACC研究で、がん発症登録の整備された地域の対象者64,820名を1997年末まで追跡した。期間中804例の胃がんの発症が観察された。このうち発症者のうち、血液サンプルのあった161例を症例群、性、年齢、参加施設をマッチングさせた314例を対照群としたネステッドケースコントロール研究を実施した。血清superoxidedismutase(SOD)濃度については、4分位(Q1:2.3U/mL以下、Q2:2.4-2.7、Q3:2.8-3.1、Q4:3.2以上)にわけ、血清SOD濃度と胃がんの発症について検討した。最も低いSOD濃度群を基準としたそれぞれのオッズ比は、Q2:0.71(95%CI 0.42-1.19)、Q3:0.59(0.32-1.10)、Q4:0.86(0.48-1.54)であった。

Prospective cohort study of body mass index in adolescence and death from stomach cancer in Japan.
Cancer Sci 2007 Nov;98(11):1785-9
20歳時のBMIとその後の胃がんによる死亡を検討した研究。岐阜県高山コホートの対象者28,433例(男性13,211、女性15,232例)を7年追跡し、期間中129名の胃がんによる死亡が観察された。20歳時のBMIに基づき3分位に区分し、第1三分位(低)を基準とした胃がん死亡のリスクを検討した。男性では、第2三分位(中)が2.73(1.26-5.89)、第3三分位が2.15(0.97-4.73)であった。一方、女性では、第2三分位(中)が5.17(1.50-17.87)、第3三分位が4.22(1.18-15.05)であった。

A nested case-control study of stomach cancer and serum insulin-like growth factor (IGF)-1, IGF-2 and IGF-binding protein (IGFBP)-3.
Eur J Cancer 2007 Jul;43(10):1611-6
JACC研究の対象者で、がん発症登録の整備された地域の64,820名を対象に1997年末まで追跡した。期間中804例の胃がんの発症が観察された。このうち発症者のうち、血液サンプルのあった161例を症例群、性、年齢、参加施設をマッチングさせた314例を対照群としたネステッドケースコントロール研究を実施した。胃がん発症とserum insulin-like growth factor(IGF) との関連については、IGF-1、IGF-2、IGF-binding protein-3、いずれにおいても血清レベルと胃がんリスクとの間に有意な関連性を認めなかった。

Green tea consumption and subsequent risk of gastric cancer by subsite: the JPHC Study.
Cancer Causes Control 2004 Jun;15(5):483-91
40-69才の日本人男性34,832人、女性38,111人を10年間追跡し緑茶摂取量と胃がんの発症との関連について検討した。追跡期間中男性665人、女性227人が新たに胃がんを発症した。男女それぞれ緑茶を1日1杯未満、1日1-2杯、1日3-4杯、1日5杯以上飲むの4グループに分け、1日1杯未満の群を基準として、胃がん発症のリスクを検討した。男性においては緑茶摂取と胃がん発症の間に有意な関連は認めなかった。女性では、1日5杯以上緑茶を飲むグループは1日1杯未満のグループと比較して胃の下部2/3の部位の胃がん発症のリスクが0.51倍と低かった(95%CI 0.30-0.86, p<0.01)。胃の上部1/3の部位の胃がん発症と緑茶摂取の間には男女共に有意な関連は認めなかった。

Salt and salted food intake and subsequent risk of gastric cancer among middle-aged Japanese men and women.
Br J Cancer 2004 Jan 12;90(1):128-34
40-59才の重篤な疾患(がn、脳血管疾患、心筋梗塞、慢性肝臓病)を持たない日本人39,065人(男性18,684人、女性20,381人)を12年間前向きに追跡調査した。追跡期間中486人(男性358人、女性128人)が胃がんを発症した。対象者を塩分摂取量で男女それぞれ5群に分け、胃がん発症リスクとの関連を比較した。年齢や喫煙、緑黄色野菜摂取状況などの影響を除外した上で検討したところ、、男性においては塩分摂取は容量依存的に胃がん発症のリスクを高めた(摂取量の最も少ない群を1としたときの他の4群のリスク比は食塩摂取量の少ない順に1.74, 1.96, 2.30, 2.23、p<0.001)。女性においては統計学的に有意な関係は認められなかった(P for trend=0.48).。

Prospective study of three major dietary patterns and risk of gastric cancer in Japan.
Int J Cancer 2004 Jun 20;110(3):435-42
40-59才の日本人男性20,300人、女性21,812人を食習慣と胃がんとの関連について10年間追跡調査した。食習慣は食物摂取頻度調査票により評価し、次の三群(①健康型、②伝統型、③欧米型)へ分けた。「①健康型」:やさい、果物、海草、ジャガイモ、ヨーグルト、きのこ、大豆、牛乳、卵、豆類と関連が強い。「②伝統型」:塩漬け魚卵、漬物、干物、みそ汁、米、男性ではアルコールと関連が強い。「③欧米型」:パン、バター、チーズ、肉類、ドレッシング、炭酸・果物・野菜ジュース、コーヒー、紅茶、インスタントラーメンと関連が強い。10年の追跡期間中男性285人、女性115人が胃がんを発症した。男女それぞれ上記の三つの食習慣パターンの得点(当てはまる強さ)でさらに4群に分けて、食生活パターンと胃がんのリスクをそれぞれの食習慣グループにおいて比較した。女性においては「健康型」パターンが強いと胃がんのリスクが低かった(リスク比0.56, 95%CI 0.32-0.96, p<0.03)。

Effect of Helicobacter pylori infection combined with CagA and pepsinogen status on gastric cancer development among Japanese men and women: a nested case-control study.
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2006 Jul;15(7):1341-7
40-69才の日本人男女123,576人を15年間追跡し、その間に511人が胃がんを発症した。この511人と年齢、性別、住環境、採血時の条件等をマッチさせた対象群511人について、ヘリコバクター・ピロリ抗体、CagA、ペプシノーゲンⅠ、ペプシノーゲンⅡを測定し、胃がんの発症との関連について検討した。ヘリコバクター・ピロリ感染者の胃がん発症のリスクは5.1倍(95%CI 3.2-8.0)と高かった。ヘリコバクター・ピロリ抗体陽性かつCagA陽性では胃がん発症のリスクは12.5倍(95%CI 4.8-32.5)と非常に高かった。

Copyright © 2014 Japan NAHW Network. All Rights Reserved.