熊本市 春日クリニック 清田先生からのメッセージ(震災10日目)

2016/04/25

  • 九州

熊本市 春日クリニック 清田先生からのメッセージ(震災10日目)

熊本市内 春日クリニック清田先生からの震災10日目の報告です。

 

皆様 

 

熊本地震では、早い時期からご心配いただき本当にありがとうございました。

余震はあいかわらず続き、気象庁の“まだ、地震活動は活発”とのコメントに怯えつつ割れたものを片付けたり、床に下したものを戻したりするのもまだ待っているところです。

長期戦と自覚し、疲れないよう、患者さんとプラス言葉を掛け合って頑張っているところです。

 

2日前から自宅は最後のインフラである水道が出だし、お風呂もやっと入れるようになりました。

生活用水のタンク代わりであったお風呂に暖かいお湯が張られ、シャワーからお湯が出た時は、家族全員で歓声をあげました。

見えない、夜を徹してインフラを整備頂いた方に“ありがとう!!”と言いました。

 

クリニックはとにかく患者さんの為に毎日あけておこうを合言葉に、人をやりくりして、片づけと診察を並行して行っております。

患者さんは、開いていたので嬉しかったと、、、、口々に言われます。

お互いの被災具合、健康状態の確認を手短にしていつもより、多めに肩に触れ、頑張ろうねと声を掛け合い別れます。

 

水が来ておらず、スタッフのトイレ時間と患者さんを待たせないことに随分気を遣いましたが、顔を見合わせただけで、涙ぐむ人、泣き出す人が相次ぎ、無理してあけていてよかったと思いました。

やっと今日(24日日曜日)に水道水がでており、明日月曜日からはトイレが使えます。

 

すべてのカルテは段ボールに仕分けられ、Tシャツにジーパン(いつでも逃げれる)スタイルのスタッフも明日から制服に戻ります。 

カルテ棚の整備には1~2か月かかりそうですが、怪我人もなく、元気で頑張っているのでどうぞご安心くださいませ。

  

生活についてですが、もともと農業県ですのでお米も野菜もあるものの、水がないと洗ったり、炊いたりがしにくく、水の大切さを痛感しました。

無洗米やあとで手に入ったコンビニのカット野菜がとても便利でした。

 

飲料水はいろんな方面から送っていただき困らなかったものの、トイレ用の生活水の確保は毎日大量に必要で、先が見えず、心細い限りでした。

もちろん、最悪の時はペット用のシートや、おむつ、なんでも知恵を出して活用しました。

  

最低限の飲料水と食料の備蓄、災害時に生活水をどう手に入れるかを日ごろから考えておくことは、大切ですね。

今回初めて、スプリンクラーの水の利用、温水器の水の利用の説明書を読み考えました。結構な量あるのですね。

 

感心したのは、コンビニの力でした。

特にセブンイレブンはほとんど休むことなくほぼ全店舗営業していました。

品切れは多く見受けられましたが、運ぶ人、お店に立つ人たちが、仕事を通して皆さんを支えているといった気概にあふれ、自然に、“自宅も大変な時でしょうにありがとう”と声をかけずにいられませんでした。県外のスタッフもいたようでした。

おひとり様1本と書いてあるものもありましたが、あとの人のことを考え、大量な買占めをする人には一人も出くわしておりません。 

 

日本全国、コンビニのないところはなく、支援物資もコンビニの運搬システムを一部活用してコンビニで手渡せば、もっと必要な人が、必要な物だけ手に入るのではと思いました。

支援物資が各拠点に集まりすぎて、仕分けのボランティアの要請がありましたが、安定した場所に物資を集め、分別後このインフラを活用することで手間暇が半分解消するのではと感じました。

交通量の多いところに大目に品物を置くなど、すごい管理システムを持っておられるのではと感じました。

  

皆様の善意の物資はありがたく頂戴しても、そこに移送手段、働く人のことを思えば、ワンコインでも払って支援物資を頂くことで災害時のコンビニの活用は成立するのでは、コンビニのないところ、一人暮らし、移動手段を持たない人の地域の把握があれば、そこに中心に人を手当てして必要な物を配る。

避難所でも、自分で動ける人は、自分たちで、配る側に回る、在宅にいる人はヤマト運輸のように地域を知り尽くした、土地勘のある人が回った方が、早くて安全だと感じました。

  

特に、今回は、余震が800回を超しており、2回目、強烈な地震を経験した人は、夜は怖くて家に戻れずに車中泊をしていました。

支援物資の移送中のトラックのラッシュ、車中泊の為の車の移動、物品購入の為の車の移動、橋や道路が壊れて通れる道路が減ったことでの自然渋滞があちこちで発生。

道路の混みようは異様でした。

  

昨日は、1週間閉鎖していた熊本駅が開き、新幹線の熊本―福岡間の開通、飛行機の便も増えインフラも急速に改善にむかっており気分も明るくなってまいりました。

 

ただ、益城町や西原町などの惨状は皆様ニュースでお聞きかと思いますが、全くニュース性もない角々にも家の反倒壊、倒壊が相次ぎ住む家がなくなっている人が、私のクリニックな患者さんだけでも多数おられます。そのような方々への、国の支援が望まれるところです。

 

幸い、我が家も、クリニック関連の施設も内部の問題のみで、建物が問題ないのがありがたく、他の方々のことを考えると、支援はまずそちらからしてくださいと、、、、。

SOSが言えない気分でした。

  

何度となく、励ましのお言葉を頂き、いつでもなんでも言ってくださいと、、、と心から心配してくださったことにどれほど支えられたことでしょうか。

まだ、気は抜けませんが、何とか1日1日と日常が戻りつつあることをご報告いたしますとともに皆様のご支援に、心より、心より、御礼申し上げます。

  

2016年4月24日 日曜日 15時13分

春日クリニック院長 清田真由美

http://www.seisinkai.or.jp/cl.html

(編者:下の写真は今回の熊本震災救護活動のために、山形から熊本に向かう山形自衛隊の災害派遣の模様)

熊本災害移送車

 

 

 

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