2024.03.20
ブレストアウェアネスをご存じですか?
今回は、カレスサッポロソフィア北円山クリニック所長 福井 里佳先生からの投稿です。
3月は女性の健康月間、改めて乳がん検診についての問いかけです。
新年度への切り替わりで、お忙しい時期と存じます。2021年6月に開院した当院も、もうすぐ丸3年になろうとしております。患者数や検診受診者数が徐々に増えてきて、喜んでいるところです。
日本では、乳癌の罹患者数は増加の一途をたどっており、乳癌検診の重要性は知られてきているところですが、まだまだ日本人女性の乳癌検診受診率は低い水準です。2022年の調査では、40代から60代の女性で過去2年間に乳癌検診を受診した割合は47.4%とのことです。また、これまで、乳癌の早期発見のために、自己検診(自分で乳房を触診すること)をしましょうということが言われてきましたが、最近になって、自己検診は不利益が多く、利益は少ないということがわかってきました。自己触診や自己検診という言葉は、一般女性には荷が重く、面倒だと思われたり、正確に実践する女性も少ないようです。
そのため現在では、『ブレストアウェアネス』という考えが提唱されています。『ブレストアウェアネス』とは、乳房を意識する生活習慣です。具体的には、
1、 ご自分の乳房の状態を知る
2、 乳房の変化に気をつける
3、 変化に気づいたらすぐ医師へ相談する
4、 40歳になったら2年に1回乳癌検診を受ける
以上の4つのポイントを意識する生活習慣をもつことです。このような習慣を若いうちから持ってもらうことで、乳腺疾患の早期発見、乳癌検診の受診率向上に役に立つと考えられています。
1、ご自分の乳房の状態を知る ということの具体的な方法として、着替えや入浴、シャワーなどの際に乳房を見て、触って、感じるという『乳房チェック』をお勧めしています。これは、しこりを探すことではなく、乳房を自覚するということです。一般の方にとっては、自己検診よりもかなりハードルが低くなった感じがするのではないでしょうか。そして大切なのは、3、変化に気づいたらすぐに医師へ相談する です。乳房に何か変化を自覚したら、様子を見ずにすぐに医療機関に受診するという意識を持っていただきたいと思います。女性はただでさえ家庭や仕事で忙しく、また乳腺の病気への恐怖から受診を後回しにしがちです。この『ブレストアウェアネス』という新しい考え方をぜひ生活の習慣に取り入れてもらえるよう願っています。そして、私たち医療機関も、どんな些細なことでも相談してもらえるような、気軽に受診してもらえるような、そんな体制を保ち続けていきたいと思っています。
カレスサッポロ ソフィア北円山クリニック 福井里香