天野理事長ブログ&スケジュール

2022.09.21

正解の無い難問『減量』~肥満との仁義なき闘い~Vol.2

今回は8月に続き、柴田美奈子先生から「肥満との闘い」をテーマに第2弾を寄稿していただきました。

ミャンマー8-1

 

「待ってました後編!」と思ってくださった貴女。お気づきかもしれませんが、題名が長くなっております。そして後編ではなく、いきなりVol.2になっていて、あれれ。。って感じですよね。話しが長引きそうなので、前編・後編ではなく、連続シリーズにさせていただきました。。

前回アップした前編は、イントロと思ってくださいませ。

 

さて、いよいよ本題です。

私が日々、臨床の一環として取り組んでいる減量指導とはいかなるものか?

というお話しの続きです。

 

1) 減量で未来は変わる!

~大きな病気を予防、国の医療費も大きく削減!!~

 

私のクリニック「桜医院」は、ごくごく普通の一般のクリニック(診療所)です。ですので、減量はあくまでも美容のためではなく、健康のため、に指導しています。対象者は基本的にBMI25以上か、体脂肪率が顕著に高い方のみ。ではなぜ、こういった方達に減量が必要なのか?美容目的でなくて減量する意味ってあるの?と思った方もおられるかもしれませんね。肥満というのは、それだけで健康上、大きなリスクがあるのです。肥満であることで、糖尿病、高血圧、高脂血症などの発症率はあがります。それらの病気が原因で動脈硬化症が進むと、心筋梗塞や脳梗塞などのさらなる大きな病気につながっていきます。逆をいえば、肥満を解消すれば、これから発症するであろう大きな病気を予防することが出来るのです。

私の患者さんの中には、初診時BMIが30以上の肥満の方も多数おられますが、真摯に減量に取り組み、2年ほどで10kgの減量に成功され、それまで内服していた糖尿病のお薬、高脂血症のお薬、血圧のお薬がすべて必要なくなった方もおられます。「減量」というのは立派な治療方法の一つであり、将来起きるであろう病気の発症を防いで、その方の未来を大きく変えてくれます。更にはその方が一生の間に払う医療費も大きく削減されます。日本は皆保険制度の国ですから、誰か一人の医療費が少なくなれば、国全体が背負う医療費も少なくて済みます。ちょっと大袈裟な言い方をすれば、「みんなを幸せにしてくれるもの、それが肥満解消、減量なのだ!」という理念の下、私は減量指導に力をいれて診療しています。

 

 

2) 腸内環境。

~唯一わかっている医学的に太る体質・痩せる体質

 では、どうしたら減量して肥満を解消できるのでしょうか?Vol.1に、減量の方法は時代によって様々な流行り廃れがあったことを書きましたが、とどのつまり、どのようにすればきちんと正しく減量できるのかの医学的な結論はまだ出ていません。お薬も厳密にはありません。誰でも安全に痩せられて生活習慣病をあっさりと治せて健康になれるお薬がもし開発されたら、それはノーベル医学賞が貰えるような大発見と称されるでしょう。

さて、どんなことでも、お薬や解決方法を探る道は、まずは原因の追究がなされることから始まります。世の中には「痩せの大食い」という人もいれば、毎日凄いトレーニングばかりしているオリンピック選手でもぽっちゃりさんもいます。痩せている人と、太っている人の根本的決定的なメカニズムはまだわかっていないのです。

そんな中、近年、「腸内環境が宿主(人間)の痩せやすいか太りやすいかの体質を決めているらしい。。。」という事がわかってきました。実際、日本の大学病院でも、そういった研究をしているところもあり、まだ、臨床に応用できてはいないものの、痩せている人の便を太っている人の腸に移植したら、移植されたほうが痩せやすくなったという研究データもあったりします。ただ他人の便を自分の腸に移植するなんて、なんだかちょっと突飛な方法過ぎますね。(苦笑)おそらく、具体的な医療として応用されるには、まだまだこれからいくつもの研究ステップを経る必要があるでしょう。しかしながら、とにかく、腸内環境が痩せやすい太りやすいの体質にどうやら関係があるらしいということがわかったのですから、出来る限り腸内環境を良くすることは肥満の解消に重要であることは間違いなさそうです。

便秘は絶対によくないですし、悪玉菌より善玉菌を増やす、いわゆる「腸活」は減量にも役に立ちそうです。私は便秘体質の方には減量指導の第一歩として、まずはそれを解消する治療から始めます。食事は腸活の基本で、食物繊維をしっかり摂る事は基本中の基本です。

 

つづきはVol.3に。(しばらくお待ちください。)

 桜医院院長 柴田美奈子

 

 

 

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