天野理事長ブログ&スケジュール

2022.06.19

心療内科と精神科はどう違うの

今回は天野理事長が女性外来で患者さんから受けた質問にお答えします

女性会社員ストレスブルー

私の外来を受診される方は、100%近く、すでに、内科、産婦人科、整形外科、脳神経内科などを受診しておられます。しかし、種々の検査で異常が発見されず、医師の治療効果も乏しいとき、医師から、「心療内科に行かれてはどうでしょうか?」とか、症状に抑うつや、不眠が重なると、精神科受診を勧められている方もいます。患者さんから「精神科と心療内科はどう違うのですか?私はどちらを受診したらいいのでしょうか?」と聞かれることも再三です。そこで、30人ほどの患者さんに心療内科と精神科はどう違うのかご存じですか?と聞いてみました。全員が「分かりません」というお答えでした。

 

そこで、今日は「精神科と心療内科の違い」についてお話したいと思います。

心療内科と精神科はいずれも「心が原因となる病」を治しますが、簡潔に言いますと、下記のように説明できます。

1.精神科は、心が主な原因となり、「眠れない、不安、うつ、人と会うのが嫌、幻覚、幻聴、妄想」などの心に関わる症状で困っている方を取り扱います。

2.心療内科は、心が主な原因となり、「しんどい、怠い、痛い、血圧があがった、喘息が悪化した、糖尿病が悪化した」など、身体の不調が出現又は悪化した方を取り扱います。一般的に心身症と言われる症状の方です。1991年、日本心身医学会は、心身症を「身体疾患の中でも、心理社会的な因子を持ち、器質的ないし機能的障害が認められる病態のことをいう」と定めています。

 

医学の歴史の中で、精神科は長い歴史を有します。

一方、心療内科が日本に登場したのは、1961年、九州大学医学部に精神身体医学研究施設が設置されたことに始まります(約60年前ですね)。1963年には精神身体医学講座に昇格し、心理療法も併せ行う内科という意味で、診療科名を「心療内科」として、診療を開始し、初代教授に心身医学のパイオニアである池見酉次郎先生が就任されました。東京大学医学部に心身医学講座が開設されたのは、1993年です。

 

心療内科が扱う病や障害としては、自律神経失調症、片頭痛、仮面うつ病、不登校・出社拒否、発達障害、過換気症候群、パニック障害、摂食障害、円形脱毛症、緩和ケアなどがあげられます。

 

精神科は精神疾患を専門に扱う診療科です。扱う疾患名としては、うつ病、躁うつ病、適応障害、統合失調症、認知症、解離性障害、強迫性障害、睡眠障害、摂食障害、パーソナリティ障害、発達障害、パニック障害、PTSD、アルコールや薬物の依存症などがあります。睡眠障害や摂食障害など、心療内科とかぶるところもあります。

 

ストレスが原因で心身の不調を感じ、内科などを受診しても異常が見当たらない場合、心療内科と精神科のどちらを受診したらいいのか迷うようでしたら、診療科目に心療内科・精神科の両方を含んでいる病院への受診をお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

 

Copyright © 2014 Japan NAHW Network. All Rights Reserved.