天野理事長ブログ&スケジュール

2022.01.26

「もうコロナ前には戻れない」

大分大学医学部 循環器内科・臨床検査診断学講座(医学教育センター)中川幹子先生の投稿です。 

マスクする女性

新型コロナウィルス感染症は、我々の生活や仕事に大きな変革をもたらしました。令和2年の新学期、「大学の授業は一体どうなるの?」と、ICT音痴の私はオロオロするばかり。しかし、我々のような地方大学でも、2週間遅れでオンライン授業が開始できました。

オンライン授業には、zoom等を通してリアルタイムで行う授業と、パワーポイントにナレーションを吹き込んだものを視聴させるオンデマンド授業の2種類があります。私はナレーションを吹き込む際に完璧(?)を目指してしまい、take1、take2、3...と却って無駄に時間を費やしていることに気が付きました。一方、リアルタイム授業では、言い間違いもお愛嬌で、アドリブ交えながらしゃべれるし、何となく画面の向こうの学生が(顔は見えませんが)対面の時より近くにいるように感じれるので、zoom授業を好んで選択しています。また、グループ討論もzoomのブレイクアウトルームを使って簡単にできますし、Googleスライドを使えば発表会用のスライド作成も簡単に行え、教育の質は決して低下していないと思います。

一方、学生にとっては、オンデマンド授業だと好きな時間に繰り返し授業を視聴できる利点がある一方、規則的な生活時間を守れなくなるという欠点もあるようです。留年した学生と面談した際、彼らが留年の原因として挙げていたのは、授業の方法(対面 vsオンライン)ではなく、グループで試験勉強する機会が失われ、試験の情報を入手しにくくなったことでした。まさにステイホームの弊害と言えます。しかし、ポストコロナになっても、一部はオンライン授業を残して欲しいというのが私の本音です。

さて、学会や講演会も大きく様変わりしました。出不精の私にとって、Web学会やWeb講演会、Web会議は大歓迎です。以前は東京開催の2時間の会議に出席するために、朝早く家を出て、自家用車、飛行機、電車を乗り継いで丸1日がかりの出張となり、時間とエネルギーとお金を費やしました。今は、自室でゆっくりWeb会議やWeb学会に参加したり、こっそり夕飯を食べながら聞きたいWeb講演を視聴できます。興味がなかったらそっと退室すればいいだけです。

また、Web学会のお陰で、育休中の女性医師が躊躇せず学会賞に応募したり、ママさん医師がWeb講演会を自宅から視聴したりと、勉強のチャンスが格段に増えました。女性医師のみならず、特に地方在住の開業医や勤務医にとっても、是非このWeb学会やWeb講演会の形式は、ポストコロナの時代にも残してほしいと切に願っています。

さて、NAHW九州支部は設立後10年が経過し、昨年は記念すべき第11回NAHW九州支部セミナーを大分現地開催(湯煙ツアー付き)で企画しておりましたが、残念ながらコロナ禍で中止となりました。本年度、当初私は開催に逃げ腰でしたが、「Webで!」という仲間の熱いエールに背中を押され、何とかWeb講演会の開催にこぎつけました。当日は九州以外のNAHWの会員も含めて32名の方に参加していただきました。大変有難いことに、九州各地から仲間が質問して会を盛り上げてくれました。内容も興味深かったと好評で、お世話になりました関係各位の皆様に心より感謝申し上げます。

 

第11回性差医療情報ネットワーク(NAHW) 九州支部セミナー

 

皮肉にもコロナ禍で急速に発展したICTを活用した新しい教育や学習法は、例えポストコロナの時代になっても、継続して残して欲しいと思っています。この便利さを知ってしまったからには、『もう元には戻れません・・・

 

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