天野理事長ブログ&スケジュール

2021.03.15

金沢医科大学 女性外来のご紹介

金沢医科大学 総合内科学女性総合医療センター 澤田未央先生の投稿です。

金沢駅

私が金沢医科大学の女性外来に来て10年が経とうとしています。

この10年間を振り返りながら、現在の金沢医科大学女性外来を紹介させていただきます。

私はマイナー外科から女性外来にやってきました。様々な診療科を受診し検査の末、異常がないと言われた患者さんや、いわゆる不定愁訴の患者さんが非常に多く、転科当初は対応に困っていました。西洋医学だけでなく何か他の手段が必要だと思い、漢方の勉強をはじめました。幸いなことに、当院は漢方の指定研修病院であり、漢方専門医の先生の外来に陪席させていただき、学ぶことができました。また、出席できる漢方セミナーには、可能な限り参加していました。

そんな中、木下優子先生に出会いました。何気なく家のテーブルに置いた漢方セミナーのチラシを見て、いつも何の反応もない夫が、珍しく興奮気味です。聞けば、夫は日本大学出身なので、学生の頃に木下先生にお世話になり、みんなでよく飲みに連れて行ってもらったとのことでした。女性医師のための漢方セミナーということでしたが、木下先生が快く男性もOK!という事で夫も一緒に参加させてもらいました。お忙しい中、木下先生はセミナー終了後、お茶でもと誘って下さり、初めて会った私の進路相談(?)に乗ってくださいました。

あの時のアドバイスが、漢方をやっていこうという気持ちを強く後押ししてくれました。びっくりする程パワフルな講義は今でも忘れません。そして、漢方治療を通してたくさんの患者さんの症状に向き合う中、木下先生の著書である『女性外来のための漢方処方ガイド』はいつも私の傍らに置いてあります。

 

当院の女性外来は2002年3月に開設され、時代のニーズに対応しながら発展し、現在の女性総合医療センターとなりました。センター長である赤澤純代先生の思いが形となり、2019年10月にはセンター内に女性専門肛門外来が開設され、肛門病の日帰り手術が可能となりました。特にデリケートな部分であるため、女性医師と女性医療スタッフのみで対応する専門外来は非常に需要があります。また、金沢医科大学には水月会という女性医師の会があり、各診療科の女性医師との連携が取りやすいのも特徴です。

女性外来は、ただ傾聴するだけの科だと思われがちです。しかし、必要な西洋医学的検査も積極的に行うことで、病気を早期に発見し、早く専門の診療科での治療を開始できるのも、大学病院に女性外来があるメリットだと思います。先日も、昔から通院している患者さんから、痔があり最近出血するとの訴えがありました。すぐに精査した所、出血の原因は痔ではなく大腸がんでしたが、早期の段階で手術を行うことができました。後日患者さんが、もしあの時に女性外来での肛門の診察がなければ、診察や検査自体を躊躇していただろうし、女性外来に通院していてよかったと安堵の表情を浮かべていました。

 

昨年、新型コロナウイルスの感染が拡がり出した頃、初診の患者さんが減少した時期がありました。しかし、その反動でここ最近は精神症状を伴う患者さんが増加しています。コロナ禍、女性を取り巻く環境が厳しくなっていると、患者さんを通しても実感する事が増えてきました。これからも、一人ひとりの患者さんに真摯に向き合い、少しでも多くの女性の力になりたいと思っています。

 

金沢医科大学総合内科学 女性総合医療センター 

医師 澤田 未央

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