天野理事長ブログ&スケジュール

2020.04.30

コロナウイルス感染症(VOVID-19)が急速に重症化する原因は?

NAHW会員の皆様へ
イタリアに長く在住していらした方から興味ある情報をいただきましたので、皆さんと共有したいと思います。天野惠子

フィレンツェの街並み

 

タリアの著名なウィルス病理学者Burioni(ブリオーニ)が、

Gianpaolo Palma(ジャンパオロ・パルマ)医師の研究についての談話を配信

 

コロナウィルスアップデート 2020410

関係者各位、

大げさだとお考えかもしれませんが、今日ようやくCovid-19の致死率の高さの原因が分かりました。20万件の心臓病患者のエコー心電図分析、カラードップラーモード検査に20年以上携わった経験から、すでに何人もの医師があり得ると仮定しながらも確証を得られずにいた事実の確証を得ました。今日最初のデータを入手したところです。患者は広範囲に至る深部静脈血栓症特にTEP肺血栓塞栓症で集中治療室に収容されています。もしもそうであれば、集中治療も気管挿管も必要ありません。まずすべきことは、血栓を溶かすこと、血栓症を予防することです。肺を詳細に調べて血流が行き渡っていなければ集中治療は役に立ちません。だから10人の患者のうち9人が死に至っているのです。Covid-19は何よりもまず血管、循環器にダメージを与えます。肺の症状はその後にくるのです。

微細静脈血栓です。肺炎が死に至らせているのではないのです。

 

なぜ血栓ができるのかは医大で勉強した通りで血栓は炎症によって生成されます。生理病理学的には複雑なメカニズムがあるわけですがよく知られた現象です。

それがどうしたとおっしゃいますか。

医学的見解、特に中国のものは、少なくとも3月半ばまでのものは、抗炎症薬の使用に否定的でした。現在イタリアでは抗炎症薬と抗生物質(インフルエンザのように)が使われていて入院患者が減少しています。

40代の事例も含め、死亡例では高熱が10日から15日間続き、適切な治療が受けられていません。

これらの症例では、炎症がすべてを破壊し血栓形成の土壌を作っていました。一番問題なのはウィルスではなく、ウィルスにより引き起こされる免疫反応が細胞を破壊することなのです。

事実、コロナウィルス病棟にリューマチ患者は全くいません。これはコルチゾンの治療を受けているからです。

これが、イタリアではコロナウィルスの入院治療減少が始まり、家庭で治療できる病気の1つになるとの私の見解の理由です。

適切な治療さえすれば入院の必要がなくなり、血栓症のリスクも抑えられます。

 

微小血管の塞栓症は明瞭な像が見えにくく、心臓エコー心電図検査専門医にとっても判定がとても難しいものです。

最初の50人の患者のデータを、呼吸困難を起こしている事例とそうでない事例を比較分析したところ、その結果は明白で、イタリアでは循環器専門医、放射線医、病理解剖医、集中治療専門医の同僚も同意するところです。

このデータを公表するまでの期間にも、市民を隔離から解放できるのではないかと思います(もちろん直ちにというわけにはいかないでしょうが、少なくとも現在一般に思われているよりはずっと短期間に可能なはずです)

USAではいまだに、抗炎症薬を禁止しているわけですが、データはイタリアよりさらに悲劇的な状況になっています。薬自体は数ユーロで入手できる安価なものですが多くの人の生命を救うはずです。

例えて言えば、ケニアにバカンスに行く時のマラリア予防に使う薬レベルです。

 

検査結果で、肺血栓塞栓症とされているこの血管炎症候群の証拠は、いくつかの病院の治療法のプロトコルの集積データで証明できます。例えば、

ミラノのサッコ病院では、全患者にクレキサンをD-ダイマー予測値を考慮し投与していますが、それ以上では有意な効果は得られていません。

モンツァのサンジェラルド病院ではクレキサンとコルチゾンを

ボローニャのサントルソラ病院では全員にクレキサンを処方し、また家庭医との合意の上、単純症状で家に留まる患者にはプラケニル(ヒドロキシクロロキン)を処方しています。

 

抗炎症薬についての補足説明

PTGS2だけでなくPTGS1を阻害するブルフェン、ナプロキセン、アスピリンのような抗炎症薬は使いません。

セレコキシブ(PTGS2を選択的に阻害)ではよい結果が得られています。もちろん研究の最終成果を待たなければなりませんが、現在の時点の分析結果でも、中度の症状フェーズにおいては(咳が出始め息苦しくなりだすタイミング)低分子量ヘパリン (クレキサン8000UI/die)を多量に投与する必要が明白です。(訳者注、イタリアの薬の投与量は、日本の処方量の2倍から3倍が普通で、経験から注意を要すると思います。日本で同じ薬を同じ状況で100㎎処方するところ300㎎の処方が普通なので、日本人イタリア在住者は自分で調整して飲まないと通常、弊害が大きいです。)

 

医学的説明が難解になり過ぎるのを避けるために、病理解剖学者の興味深い証言をご紹介します。

ベルガモ生まれの法王ヨハネ23世は50体の検死を行ったそうですが、ミラノのサッコ病院ではコロナ患者20体の検死をしています(イタリアにおけるコロナウィルス死者の検死件数は世界一です。中国では法律に則って最低限の少数例しか行っていません)

このことは上記の情報を裏付けるものです。

 

簡単に言うとCovid19の死亡主要因は、ウィルスに誘発された播種性血管内凝固症候群であり、肺炎ではありません。これは診断の見落としです。我々は多くの費用をかけて集中治療室を増設しましたが、おそらくは不要だったのです。

後出しコメントになりますが、1か月前に間質性肺炎と診断していた胸部のレントゲン写真を今考えると実際に、全くなんの整合性の問題もなく、播種性血管内凝固症候群の症状だと診断できるのです。

 

テレビでフロリダやフランスや中国の状況を見つめていた多くの人々同様、1か月前までは、世界で最も有名なウィルス学者も含めて、誰もこのウィルスについて知らなかったわけです。多くの医師や医療関係者を含む2万人もの死者を出したイタリアの悲劇は、正しい救済の道をイタリアに教えてくれたのです。イタリアの医療にエールを。

 

 

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