天野理事長ブログ&スケジュール

2019.02.13

胆のう摘出体験記

医療法人たかやま内科医院 院長 雨宮 直子先生の投稿です。 

 

お腹をおさえる女性

 

50歳の節目に全身チェックをと思って受けた健診で、胆のう結石が見つかった。

 

無症候性胆のう結石の手術は必ずしも推奨されないが、いろいろ考えるのが面倒だったので迷わず、さっさと胆摘することにした。

 

これは、50歳の女医(開業医)の胆摘体験談である。

 

胆石症の代表的なリスクファクターは5FForty40代)、Female(女性)、Fatty(肥満)、Fair(白人)、Fecund(多産)」である。 

経口避妊薬が胆のう結石の形成に関係あるとの報告もある。

 

女性や多産さらに経口避妊薬が胆石症のリスクファクターとなる背景には女性ホルモンが強くかかわっていると考えられている。 

女性ホルモンであるエストロゲンは胆汁中へコレステロールを過剰に排泄し、胆汁酸プールを減少させて、胆汁のコレステロール過飽和状態を引き起こすと考えられている。 

また、プロゲステロンは胆のうの収縮運動を抑制し、これも胆石形成のリスクとなりうる。 

 

 私の医院でも、初産婦、経産婦を問わず、年に1,2人は乳児のいる女性の胆のう結石症、急性胆のう炎を診断している。 

おそらく、私も妊娠前には胆石はなかったので、妊娠後に形成されたのだろうと思う。

 

さて、私は基本的にひとりで診療している開業医なので長く診療を休めないので、普段からたくさんの患者さんをお願いしている外科の先生にお願いをして、木曜日の早朝に入院して、同日に単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を受け、金曜日に退院、土日自宅療養ののち、月曜日に診療を再開するというプランで胆のうを摘出してもらうことになった。 

木曜日の朝は通学する娘と一緒に家を出て、病室で着替えて、点滴を入れたら、あっという間に手術室へ。 

8時半からの手術で、10時前には病室で目が覚めた。 

その後、執刀してくださった先生が胆石をもってきて下さり、「何度か胆のう炎を起こしていたようで癒着してましたよ」とおっしゃった。 

胆石は2個。1センチ弱の、なぜか立方体。 胆のうの中でどうしたらこんなにきれいな平面ができるのだろうと不思議に思った。

 

それにしても、いままで疝痛発作はもちろん、右季肋部痛といった胆のう炎の自覚症状は一度もなかった。 

どうやら鈍感らしいとなんとなく納得して、うつらうつらとしながら午後を過ごす。 

夕方、両親と娘が顔を見によってくれたが、寝たままなのでだんだん腰が痛くなってきた。それでも何とか夜は眠れて、翌朝には点滴も尿道カテーテルもとれたので、おそるおそる起きてみる。 

起き上がるとおなかが痛い。 お腹が張っているのに、ガスも出ないので、どうやら腸管運動が悪いのが腹痛の原因のような気がする。 

それでも、朝食と昼食を少しずつつまむことはできた。 

昼過ぎには退院の許可が出たので、痛いお腹を我慢しながら迎えに来てくれた母に付き添ってもらって退院。

 

土日をごろごろ過ごしているうちに、日曜日の夜には割と元気になって、何とか月曜日は診療ができた。 

ただ、最初の1週間は9時に診療を開始して、10時には時計を見て「まだ10時かぁ…」と思い、次の1週間は「まだ11時かぁ…」と思い、いつも通りの体調で診療できるようになるのには1か月ほどかかった。それ以外は、少し便が緩くはなったけど、特に胆のうを摘出した不自由を感じることもなく、傷もおへその下に1cm弱の術創ともわからないようなものだけしか残らなかった。

 

こうして無事に胆のう摘出は終了した。 

私が手術をお願いしたのは、2009年に福岡で最初に単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を開始し、現在まで2600例を超える手術を行っている医療法人佐田厚生会佐田病院の佐田正之先生である。 

私の医院では、私も、スタッフも、患者さんも、お世話になっていて、胆摘仲間がたくさんいる。 乳児のいるお母さんも何人か一泊入院で胆摘していただいた。 

自分も経験したことで、これからは患者さんに手術を勧めやすくなったと感じている。

 

 

 

医療法人たかやま内科医院 

http://www.takayama-naikaiin.com/ 

院長 雨宮 直子 

 

 

 

 

 

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