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2018.11.21

改めて世界遺産を考える②

天野惠子理事長の投稿です。

世界遺産 タージマハール

 (写真は世界遺産 タージマハール/インド)

 

1972年のユネスコ総会で「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」が採択され、翌年アメリカ合衆国が最初に批准した。

1975917日に締約国が20ケ国に達し、発効の要件を満たしたことにより、1217日に正式に発効された。

日本は1992年に先進国としては最後にあたる125番目の締約国となった。

 

世界遺産は文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類に分けられる。

文化遺産(世界遺産条約第1条)は記念工作物、建造物群、遺跡のうち歴史上、芸術上あるいは学術上顕著な普遍的価値を持つものを対象としている。

1992年以降は文化的景観の概念が追加され、産業遺産、文化の道などのカテゴリーも加わった。

 

自然遺産(世界遺産条約第2条)は「無生物または生物の生成物または生成物群からなる特徴のある自然の地域であって、鑑賞上または学術上顕著な普遍的価値を有するもの」「地質学的または地形学的形成物及び脅威にさらされている動物または植物の生息地または自生地として区域が明確に定められている地域であって、学術上または保存上顕著な普遍的価値を有するもの」「自然の風景地及び区域が明確に定められている自然の地域であって、学術上、保存上または景観上顕著な普遍的価値を有するもの」が挙げられている。

 

複合遺産は文化と自然の両方について、顕著な普遍的価値を兼ね備えるものを対象としている。

 

世界遺産となるためには「顕著な普遍的価値」を有していることを証明しなくてはいけないが、そのためには、10項目からなる世界遺産登録基準のいずれか1つ以上を満たし、完全性と真正性が満たされ、かつ保存管理が適切に行われていることが求められる。

 

世界遺産登録基準(1-6は文化遺産、7-10は自然遺産に対応している)

 

1.人類の創造的才能を表現する傑作。

2.ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。

3.現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。

4.人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

5.ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化のなかで存続が危ぶまれている人と環境の関わり合いの際立った例。

6.顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。

7.ひときわ優れた自然美および美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

8.地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

9.陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。

10. 生物学的多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、

  すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

 

※完全性と真正性

完全性とは、その物件の「顕著な普遍的価値」を証明するために必要な要素が、適切な管理の下で過不足無く揃っていること。

真正性とは、特に文化遺産について、そのデザイン、材質、機能などが本来の価値を有しているかなどをさす。

 

参考文献:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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