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2018.11.13

改めて世界遺産を考える①

天野惠子理事長の投稿です。

世界遺産 知床

(写真)世界遺産/世界自然遺産 知床

 

中央ヨーロッパ旅行から帰国し、改めて世界遺産とは何だろうと調べてみました。

 

世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」に基づいて世界遺産リストに登録された、文化財、景観、自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件。

 

世界遺産は、政府委員会である世界遺産委員会の審議を経て決定される。

その際、諮問機関として、文化遺産については国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が、自然遺産については国際自然保護連合(IUCN)がそれぞれ勧告を出し、両方の要素を備えた複合遺産の場合には、双方がそれぞれ勧告する。

潜在的ないし顕在的に、保存にとって脅威となる状況に置かれている遺産は、危機遺産リストに登録され、国際的な協力を仰ぐことになる。

定期報告を含む保全状況の確認が、登録後にも行われ、適切な保護活動が行われていないなど、世界遺産としての「顕著な普遍的価値」が失われたと判断された場合には、世界遺産リストから抹消されることもありうる。

 

世界遺産条約締約国は現在190ケ国を超え、世界遺産リスト登録物件も1000件を超えている。世界遺産条約は最も成功した国際条約と呼ばれることもしばしばである。

しかし、その登録件数の増加に対しては、保護・管理といった本来の趣旨に照らして懸念を抱く専門家たちもいる。

専門家の勧告を覆す政治的決定の増加や、都市開発と遺産保護の相克、過度の観光地化など、知名度が高くなったからこその問題も持ち上がっている。

 

世界遺産は有形の不動産を対象としており、同じユネスコの遺産でも、無形文化遺産や世界の記憶(世界記憶遺産)とは異なる制度である。世界遺産、無形文化遺産、世界記憶遺産をまとめて「ユネスコ3大遺産事業」と呼ぶこともある。

 

*ユネスコ:

国際連合教育科学文化機関United Nations Educational, Scientific and Cultural Organizationの略称。教育,科学,および文化の面での国際協力を目的とする国際連合の専門機関。

設立の沿革は,第2次大戦中ロンドンに亡命していた諸国政府(ベルギー,チェコスロバキア,フランス,ギリシア,ルクセンブルク,オランダ,ノルウェー,ポーランド,ユーゴスラビア)の文部大臣によって開催された連合国文相会議が,戦争の破壊と荒廃によってもたらされる教育上の諸問題を検討したことに端を発し,194511月国際連合教育文化会議が招集され44ヵ国が出席してユネスコ憲章を起草,採択した。

日本の仮名は1951年。本部はフランス。平成302月現在の加盟国数は195ケ国。

 

*国際記念物遺跡会議(ICOMOSInternational Council on Monuments andSites

歴史的な遺跡や記念物などの保存・復元などにあたるユネスコの協力機関。世界文化遺産の候補となった物件を調査し、世界遺産委員会に報告する。1964年設立。

 

*国際自然保護連合(IUCN: International Union for Conservation of Nature and Natural Resources

自然保護、野生動物保護の観点から、絶滅の危機に瀕している生物種や破壊されつつある生態系などについて情報交換、調査研究を行っている国際的な非政府組織NGO

1948年創設。本部はスイス。

レッドデータブックや各種国際条約の草案の作成、各国政府への保護に関する勧告など、その活動は広範囲にわたる。

国家や政府機関、非政府機関などの会員で構成され、科学者や専門家からなる6つの専門委員会を有する。

日本は1995年に国家会員となったほか、1978年に環境庁が政府機関会員となっており、日本自然保護協会など21団体が非政府機関として加盟している。

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