2018.06.25
女性専門科初の研修医
山梨県立中央病院・女性専門科 部長・主任医長 縄田昌子先生の投稿です。
昨年12月、開設13年目にして初の研修医が回ってきました。
当科は2005年3月の開設以降、研修ローテーションの診療科に組み込まれておらず、研修医とはあまり縁のない日常を過ごしていましたから、依頼を受けたときはちょっと動揺しました。
外来診療が主で、しかもプライバシーを配慮した当科でどんな研修ができるだろうか、と悩みました。
外来カンファレンスで研修プログラムを練り、漢方治療の課題シートなど作り、研修初日を迎えました。
患者さんの反応を一番に心配していましたが、診察室に研修医がいても、いつもと同じように語り特に気にする様子もありませんでした。
研修医がいなくなった次の外来で「実は前回、違う先生がいたから話にくくって」なんて言われるんじゃないか、とそこまで予想していましたが、それも取り越し苦労で終わりました。
1週間後からは初診患者さんを担当するようになりましたが、初診の診療もスムーズすぎて拍子抜けするくらいでした。
そんなこんなで無事に1か月の研修を終了しました。
開設以降、日々の外来診療でいっぱいいっぱいで、外来の行く末を深く考えることもなかったのですが、後継者を育てることも大切な仕事であることに気づかされました。
さらに新たな発見といいますか、反省といいますか、得られたデータがあります。
漢方を処方するときに舌診、脈診、腹診所見をとりますが、1人で診療するときよりはどうしても研修医がいる方が、基本に忠実により丁寧に所見をとる状況になります。
そこで、通常の診察時と研修医がいた1か月間の漢方薬の症状改善効果を比較したところ、反省すべき結果が出ました。
処方後最初の外来時に症状が改善した症例が、通常の診察時は25.3%(n=99)だったのに対して、研修医と一緒にしっかり所見をとったところ、45.5%(n=11)に上昇しました。
今さらながら漢方薬の随証療法の重要性を実感しました。
そして今年度も2人の研修医が当科にローテーションすることが決まっています。
開設当初は外来を定着させることを第一に考え、研修医を育てる役割を担うようになるとは夢にも思っていませんでした。
外来の変遷を思うと感慨深いものがあります。
山梨県立中央病院
女性専門科部長・主任医長 縄田昌子
http://www.ych.pref.yamanashi.jp/shinryo/jyosei.html