天野理事長ブログ&スケジュール

2016.11.15

ダンボールベッドの威力

天野惠子理事長の投稿です。

 

201699日、御茶ノ水ソラシテイカンファレンスホールで開催された第2回避難所・避難生活学会に参加した。

この学会は新潟大学呼吸循環器外科 﨔沢和彦講師が立ち上げた学会で、避難所・避難生活においていかに心身の健康を守ることができるかを追求する学会である。

 

今回の演題はエコノミー症候群に関するものがメインではあったが、私としては段ボールで造る段ボールベッドが凄いと感激した。

 

東日本大震災の際、大きな体育館の床に毛布を1枚敷いただけで雑魚寝する人々をみて、心が凍り付いた記憶がある。今回、熊本大地震後に訪れた益城町の体育館では、段ボールで造られた段ボールベッドやマットレスが用意されており、避難所対策が一歩前進したことを実感した。

 

ダンボール製簡易ベッドは、大阪府八尾市の段ボールメーカー「Jパックス」社長、水谷嘉浩さん(45歳)が、東日本大震災の避難所で低体温症による死者が出たのを知り、開発したものである。

床に布団を敷くよりもずっと温かいばかりでなく、避難所においても避難者は建物の倒壊を恐れて、土足のままもしくは履物をそばに置いての生活で、極めて不衛生なほこりっぽい環境にさらされているが、カビを含む床のホコリを吸う危険を減らす利点もある。

 

今回、日本赤十字北海道看護大学 災害対策教育センターの根本昌宏教授が話された「厳冬期避難所実験結果から考える北日本の避難所」は、厳冬期、北海道に大規模な地震が発生し、氷点下15度の外気温の中、全ての暖房と照明がダウンし、室内も氷点下になる中で、限られた資機材で自分たちは何ができるかを問うもので、ボランティアを対象とした実験が1月極寒のなかで行われた。

 

結果は、段ボールベッドと寝袋を併用することで、眠ることができるという結論であった。

段ボールベッドが床からの冷気から人間を守ることが明らかにされていた。

 

914日の毎日新聞のコラムに寄れば、水谷社長は段ボールベッドを段ボールメーカーであれば簡単に製造できる仕様にし、災害時のベッド供給に協力する同業者に設計図を無償提供しているとのことである。簡単にできる段ボールベッド、災害のためにベッドを倉庫にストックしておく必要性もない。

本当に、素晴らしいアイデアである。

ダンボール

 

 

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