2016.09.26
骨髄異形成症 ③
天野惠子理事長の投稿です。
この病気の検査と診断は次のように行われます。
① 末梢血塗沫染色標本検査:末梢血では、貧血を中心として、赤血球、白血球、血小板の3系統のうち2血球系統以上の血球の減少が認められる。
② 骨髄塗沫メイ・ギムザ染色標本検査:骨髄の細胞密度は正常か、正常よりも高い(無効造血のため*)。骨髄の細胞を詳しく観察すると、赤芽球の多核化、巨赤芽球様変化、顆粒球における顆粒の減少、核の過分葉、巨大血小板、微小巨核球などの変化が認められる。
③ 染色体検査:第8染色体トリソミー、第7染色体モノソミーあるいは長腕部分欠失、第12染色体短腕欠失、第5染色体長腕部分欠失などが報告されている。
④ MDS(*)診断用フローサイトメトリー:細胞の形態異常の判定に対して、米国がんネットワークの診療ガイドラインでは、MDS診断の標準法として推奨されている。本邦でも、一部の病院ではこの検査を受けることができる。
注(*):
無効造血:本疾患では、骨髄に造血幹細胞の前腫瘍細胞である異型クローンが生じ、正常幹細胞を凌駕して増殖する結果として正常の造血が抑制される一方、異型クローンから造られる血球細胞は異常細胞なので末梢血に出る前に分解される。このような造血を無効造血という。MDS(骨髄異形成症 myelodysplasia syndromeの略)
以上の検査結果から、MDSは骨髄と末梢血中の未熟な血液細胞(芽球)の割合などにより、次のいくつかの診断に分類され、治療法も異なってきます。
1)単一血球系統の異形成を伴う不応性血球減少症(不応性貧血、不応性好中球減少症、不応性血小板減少症
2)鉄芽球性不応性貧血
3)多血球系異形成を伴う不応性血球減少症
4)多血球系異形成を伴う鉄芽球性不応性貧血
5)芽球増加型不応性貧血
6)5q-症候群
7)分類不能型骨髄異形成症候群