天野理事長ブログ&スケジュール

2015.03.17

果実アレルギー②ラテックス-フルーツ症候群について

前回、花粉症の人が、フルーツを食べたときに、口の中や、唇の違和感・痺れ、顔面の腫れ、呼吸困難感を訴えることがあることをお話しました。

 

前回、花粉症の人が、フルーツを食べたときに、口の中や、唇の違和感・痺れ、顔面の腫れ、呼吸困難感を訴えることがあることをお話しました。

 

多くの果物アレルギーは、まず草木の花粉に対する花粉症になった後、その花粉と似た構造のたんぱく質が含まれる果物を食べることによって生じます。

花粉症を起こすたんぱく質成分(アレルゲン:特にシラカバ花粉などに含まれるアレルゲン)とフルーツに含まれるたんぱく質の構造が一部共通しているために、口の中でアレルギー反応が起こることにより発症します。

 

ゴムの成分である天然ゴムの木の樹液(ラテックス)に対するアレルギーがあると、ゴム製品に触れることで、かゆみや蕁麻疹を生じます。ラテックスアレルギーといいます。ラテックスを含んだ手袋をつけた術者に患者さんが手術を受けると、手袋で触られた部分の粘膜がむくんでしまう危険性もあります。

 

実は、ラテックスアレルギー患者の約半数が果物アレルギーを合併するとされています。キウイ、バナナ、アボカド、クリ、マンゴー、パパイヤ、メロン、モモ、パイナップルなどの果物アレルギーは、ラテックスアレルギーとの交差反応を示すことから、ラテックス-フルーツ症候群または口腔アレルギー症候群とも呼ばれます。

 

一般的に、アレルギー症状は、患者さんに様々な誘因(ストレス、過労、不眠など)が重なったときに起こりやすいようです。女性であれば生理の前後が特に注意が必要です。

こうした時期は、自律神経も不安定であり、免疫系のバランスも崩れやすいからです。

 

予防としては、

①原因・誘因となる果物の摂取を避けること(ただし、同じ果物でも、煮たり、焼いたり、漬けたりすると、たんぱく質が変性して口腔アレルギーが起こらなくなる場合があります)

 

②症状が頻繁に出る時期には、アレルギー反応が起きるのを抑える薬をしばらく定期的に服用すること

 

が必要になります。

症状が出現した時には直ちに抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬を服用して、症状が短時間で進行していくのを少しでも抑えるようにします。

しかし、このような処置でよくならない場合、良くならずにさらに進行してゆく場合や、あるいは当初から喉の狭窄感や喘息発作がある、または、アナフィラキシーショックが疑われる場合には、総合病院の救急外来を受診してステロイド薬の点滴治療を受ける必要があります。

 

アナフィラキシーショックとは:

特定の起因物質により引き起こされた全身性のアレルギー反応を指します。全身の血管が拡張し血漿成分がもれ出るためショック状態を生じます。また、気道の平滑筋収縮やむくみを起こし、気道が閉塞するための呼吸困難や、血管運動性のむくみ、蕁麻疹などのⅠ型アレルギーの症状が現れます。

 

医療手袋

Copyright © 2014 Japan NAHW Network. All Rights Reserved.