女性外来10年史

労災病院の女性外来

労災病院の女性外来

独立行政法人労働者健康福祉機構では平成13年に関東労災病院に女性外来が開設された
のを筆頭に、平成14年には中部、平成15年は東北と和歌山、平成17年は釧路、平成20
年は岡山と愛媛、そして平成22年には新潟に開設され、現在8病院で女性外来を行ってい
ます。

労災病院の女性外来には、診療・研究・普及の3つの柱があります。


1.各病院での女性外来の診療

前述のように各地で女性外来が開設されていますが、完全予約制で初診時に十分診察

時間をとること以外は、担当医師の専門分野も産婦人科、内科、耳鼻咽喉科など様々
です。
釧路労災病院(働く女性のための外来):平成17年3月22日開設
 担当医師は3名、専門科は耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、内科
 平成22年度受診者は199名(初診63名、再診136名)
東北労災病院(働く女性のための外来):平成15年4月14日開設
 担当医師は2名、専門科は耳鼻咽喉科、内分泌科
 平成22年度受診者は19名(初診18名、再診1名)
関東労災病院(働く女性専門外来):平成13年10月11日開設
 担当医師2名、専門科は産婦人科
 平成22年度受診者は829名(初診118名、再診711名)
新潟労災病院(女性専門外来):平成22年8月1日開設
 担当医師は1名。専門科は外科
 平成22年度受診者は4名(初診4名、再診0名)
中部労災病院(女性総合外来):平成14年2月6日開設
 担当医師2名、専門科は女性診療科・神経内科、糖尿病
 平成22年度受診者は283名(初診47名、再診236名)
和歌山労災病院(働く女性専用外来):平成15年5月13日開設
 担当医師は6名、専門科は呼吸器内科1名、婦人科3名、外科1名、心療内科1名
 平成22年度受診者は968名(初診309名、再診659名)
岡山労災病院(女性のための総合外来):平成20年9月5日開設
 担当医師は1名、専門科は呼吸器内科(エントリー医師は他13名あり)
 平成22年度受診者147名(初診25名、再診122名)
愛媛労災病院(女性専門外来):平成20年9月16日開設
 担当医師は1名、専門科は産婦人科
 平成22年度受診者は34名(初診15名、再診19名)

2.研究

(独)労働者健康福祉機構が全国の労災病院に労災疾病研究センターを設置し、14の分野で労災疾病などの高度・専門的医療、モデル医療技術の研究・開発、普及事業に取り組んでいます。その中の「働く女性のメディカル・ケア」分野で、女性外来に関する研究も行っています。第1期の平成16年度から5年間で①「月経関連障害と働く女性のQWLに及ぼす影響に関連する調査研究」「更年期障害と働く女性のQWLに及ぼす影響に関連する調査研究」②「女性の深夜・長時間労働が精神的および内分泌環境に及ぼす影響」③「女性外来のモデルシステムに関する研究」が行われました。また第2期の平成21年度からは、上記の①②に加えて「働く女性のストレスと疾病発症・増悪に関連する研究」、「働く女性における介護ストレスの関する研究」を行なっています。
これらの研究成果は、学会報告するとともにインターネットで配信されています。
http://www.research12.jp(労災疾病等13分野医学研究普及サイト)

3.女性医療フォーラムの開催

各労災病院で女性外来を開設する時に、「女性医療」の重要性に着目し事務局からの要請があり開設する病院が多かったようですが、実際に女性外来を開設してみると、女性医療の概念があいまいで試行錯誤を繰り返しでした。そこで女性外来や女性医療のニーズや問題点について話し合う場として、「女性医療フォーラム」が発足しました。平成23年度までに9回開催されています。
第1回から第3回までは、主に「女性外来とはなにか」について、医療従事者のみならず報道関係の方からも意見交換を行う場となりました。その後、労災病院ということを踏まえ、女性の健康・ライフワークバランスの実現についても企業・行政の方も参加して頂き、考える機会となりました。また、女性外来を担当する医師のために、性差医療や前述2の労災13疾病の研究のなかで、女性医療に関する分野の知識の共有をするとともに、一般参加者が性差医療を認知する機会ともなっています。

第1回よりよい女性外来の構築・発展のために(参加人数:114名)

開催日:平成17年7月2日

会場:愛知県名古屋市第二豊田ビル西館大ホール
セッション1:今改めて女性外来の意義を考える
(1)なぜ市民から女性外来設立がのぞまれるのか
  池田久子様(川崎市立病院井田病院副看護部長)
(2)働く女性の健康管理と女性外来
  原美佳子先生(日本たばこ産業(株)本社産業医・獨協医科大学公衆衛生学講座非常勤講師)
(3)性差医療からみた女性外来
  天野恵子先生(千葉県衛生研究所所長・千葉県立東金病院副院長)
セッション2:女性外来の現状
(1)女性外来受診者の多様性について
  関東労災病院働く女性専門外来星野寛美医師
(2)女性医師と女性外来
  中部労災病院働く女性総合外来上條美樹子医師
セクション4:パネルディスカッション―女性外来の未来について―
  座長:中部労災病院上條美樹子医師
  パネラー:天野恵子先生、原美佳子先生、池田久子様、
  星野寛美医師、赤井智子医師、辰田仁美医師

第1回イベントの様子

第2回働く女性のヘルスサポートの充実をめざして(参加人数:132名)

日時:平成18年2月4日
会場:東京都港区女性と仕事の未来館ホール
セッション1:講演女性外来を充実させるために
(1)性差医療の基本知識:微小血管狭心症の診断と治療
  千葉県衛生研究所所長・千葉県立東金病院副院長天野恵子先生
(2)産業現場からの提言:女性労働者の直面する健康問題
  日本アイ・ビー・エム(株)産業医初見智恵先生
(3)女性外来のモデルシステムへの提言:女性外来での看護の役割
  千葉県立東金病院女性外来担当看護師西原晴美様
  セッション2:パネルディスカッション女性外来の内外から女性医療を考えるコーディネーター:関東労災病院働く女性専門外来星野寛美医師
  パネラー:天野恵子先生、
  初見智恵先生、
  川畑恵美子様(株式会社TBSテレビ報道局)、
  仁科典子様(日本医療情報センタージャミックジャーナル編集部)、
  中部労災病院女性診療科部長上條美樹子医師、
  和歌山労災病院副院長矢本希夫医師

第2回イベントの様子

第3回働く女性のヘルスサポート(参加人数:180名)

日時:平成18年9月2日
会場:宮城県仙台市江陽グランドホテル
セッション1:研究報告
(1)女性に多くみられる職業性接触皮膚炎―理美容師の手荒れを中心に―
  東北労災病院皮膚科舛明子医師
(2)女性外来に求められるもの―労災5病院のアンケート結果から―
  和歌山労災病院女性専用外来辰田仁美医師
セッション2:特別講演
(1)女性医師による女性健康相談
  宮城県女医会会長山本蒔子先生
(2)女性外来の誕生から現在までと将来の展望
  千葉県衛生研究所所長・千葉県立東金病院副院長天野恵子先生

第3回イベントの様子

第4回働く女性を社会の活力に(参加人数:231名)

日時:平成19年2月10日
会場:和歌山県和歌山市県民交流プラザ和歌山ビッグ愛大ホール
特別講演:本当に、アジアから、世界の諸国から慕われ、尊敬され、期待される日本に
NPO法人女子教育奨励会理事長木全ミツ様
研究報告:現場からの女性の健康
(1)女性の深夜・長時間労働が精神的および内分泌環境に及ぼす影響に関する調査研究
  愛媛労災病院産婦人科宮内文久医師
(2)女性労働者のがん検診について
  荒木労働衛生コンサルタント荒木葉子先生
(3)女性総合診療便り診察室の4年間から
  国立病院機構関門医療センター早野智子先生
  パネルディスカッション:女性の健康への提言
  座長:中部労災病院上條美樹子医師
  パネラー:荒木葉子先生、早野智子先生、宮内文久医師、星野寛美医師(関東労災病院)

第4回イベントの様子

第5回今、女性医師が担う日本の医療(参加人数:159名)

日時:平成19年11月3日
会場:愛知県名古屋市名古屋国際会議場国際会議室
セッション1:講演
(1)女性医師の就業状況と復職援助の実際:ドクターバンク制度の現状と問題点
  愛知県医師会人材育成センター長宮治眞先生
(2)病院全体で取り組む女性医師の子育て支援
  大阪厚生年金病院院長清野佳紀先生
(3)女性医師の勤務改善プロジェクトについて
  大阪医療センター副院長山崎麻美先生(4)女性医師40%時代における医学教育と医師研修
  藤田保健衛生大学脳神経外科教授加藤庸子先生
  セクション2:パネルディスカッション女性医師に今なにが求められているか
  司会:中部労災病院上條美樹子医師
(1)女性医師と女性外来(労災病院女性外来受診患者統計の結果より)
  和歌山労災病院辰田仁美医師
(2)労災病院における女性医師の就業意識について
  中部労災病院大澤由佳医師
  パネラー:宮治眞先生、清野佳紀先生、山崎麻美先生、加藤庸子先生、辰田仁美医師、大澤由佳医師

第5回イベントの様子

第6回女性が生き生きと働くために、医療スタッフと職場人事担当スタッフの出来ること(参加人数:211名)

日時:平成20年11月8日(土)14:00~17:00
会場:東京都港区六本木ヒルズ森タワー六本木アカデミーヒルズ
セッション1:講演
(1)医療サイドからの報告・提言
  東京女子医科大学衛生学公衆衛生学教室(一)野原理子先生
(2)企業経営サイドからの報告・提言
  (株)資生堂代表取締役副社長(元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)岩田喜美枝様
(3)働く女性の立場からの提言
  (株)TBSテレビ報道局「ニュース23」担当川畑恵美子様
  セクション2:パネルディスカッション
  コーディネーター:関東労災病院働く女性専門外来担当医師星野寛美医師
  パネラー:野原理子先生、岩田喜美枝様、川畑恵美子様、輿貴美子先生(神奈川産業保健推進センター産業保健特別相談員)

第6回イベントの様子

第7回北の大地から働く女性たちの健康管理(参加人数:458名)

日時:平成21年9月12日
会場:北海道釧路市釧路市民文化会館小ホール
セッション1:研究報告女性専門外来からの報告
(1)働く女性のための外来の現状
  釧路労災病院働く女性のための外来担当医師吉田眞子医師
(2)労災病院における女性外来のモデルシステムの構築
  和歌山労災病院働く女性専門外来担当医師辰田仁美医師
  セクション2:シンポジウム
  女性のワーク/ライフバランス(幸せな人生を送るために、自分の価値観に合う働き方、仕事と生活の調和)のサポート―女性が働き続けるための環境作り―
  座長:中部労災病院働く女性総合外来担当医師上條美樹子医師
  関東労災病院働く女性専門外来担当医師星野寛美医師
(1)時計台記念病院女性総合診療センター長藤井美穂先生
(2)釧路市こども保健部次長小林玲子様
(3)(株)ニチイ学館釧路支店長一宮恵様
  シンポジスト:藤井美穂先生、小林玲子様、一宮恵様、
  佐々木文子先生(くしろメンタルクリニック院長)、坂口文子様((有)坂口水産)
  特別講演:「歌うこと、演じること、そして生きること」―北の大地から働く女性へのメッセージ―女優倍賞千恵子様

第7回イベントの様子

第8回女性のワークライフバランスを考える晴れ晴れと生きるために(参加人数:418名)

日時:平成22年11月13日
会場:岡山県岡山市岡山コンベンションセンターイベントホール
第1部:研究報告女性泌尿器科領域の現状と展望
  岡山労災病院泌尿器科井上雅医師
第2部:シンポジウム
  女性のワークライフバランスを考えよう―晴れ晴れと生きるために―
  座長関東労災病院星野寛美医師/釧路労災病院吉田眞子医師
  演者(株)ワーク・ライフバランス代表取締役社長小室淑恵様
  (株)岡山高島屋代表取締役社長肥塚見春様
  (株)ベネッセコーポレーション人財部ワークライフマネジメント推進担当課長池田和様
  岡山大学医療教育総合開発センター地域医療人育成講座教授片岡仁美先生
  新見公立短期大学地域看護学専攻科科長教授福岡悦子先生
  倉敷市長伊東香織様
第4部:「自分を生きる、自分を表現する」
  作家あさのあつこ様

第8回イベントの様子

第9回新居浜の地から働く女性へのヘルスサポート(参加人数:374名)

日時:平成23年9月17日
会場:愛媛県新居浜市新居浜市市民文化センターホール
シンポジウム:労災疾病等13分野における性差
(1)夜間労働時の日内リズムの乱れと性差
  愛媛労災病院産婦人科宮内文久医師
(2)性差から見た頭痛・めまい
  中部労災病院神経内科上條美樹子医師4)慢性の痛みは女性に多い!?
  関東労災病院整形外科松平浩医師
(3)女性はストレスに強い!男女で異なるストレス性血圧反応
  東北労災病院循環器内科宗像正徳医師
(4)働く女性のメンタルヘルスココロ・ブルーと脳ブルー
  香川労災病院精神科小山文彦医師
  学術講演:
(1)ロールレタリング
  徳島大学医学部教授關戸啓子先生
(2)女性総合外来
  山口大学医学部教授松田昌子先生
  特別講演:「四国お遍路おもてなしの心」
  プロ卓球選手四元奈生美様

第9回イベントの様子

第10回は、中部労災病院の主催で、名古屋にて開催を予定しています。

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