女性外来10年史

男性外来から見た女性外来

男性外来から見た女性外来

大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻医療技術科学分野機能診断科学講座
四ツ橋診療所男性更年期外来石蔵文信

約10年間、男性更年期外来を続けて、約600名の患者さんを診察してきました。当外来では妻に夫の病気を理解してもらい、治療に協力してもらうためにできるだけ夫婦での受診を勧めています。幸いなことに、ご夫婦で来院される方がほとんどです。女性更年期外来では、男性が付き添ってくるのはかなり珍しく、呼び出しても、なんだかんだと理由をつけて、一緒に来院しないようです。更年期障害を持つ妻の夫は、“たかが更年期、誰でもあるし、そのうち治る”と高をくくっているようです。実は、更年期障害の原因の一端に“夫の存在”があるのですが、肝心の本人(夫)には自覚がありません。中高年女性の更年期障害には、ホルモン療法・漢方治療や精神療法などさまざまな治療法が紹介されていますが、どれも決定的ではなくいつまでたっても更年期障害は解決していません。閉経後のホルモンバランスの変化が有力な原因と言われていますが、閉経のときに何の症状もなく快適に過ごせる女性がいる反面、生理は順調なのに更年期症状に悩まされる女性がいるかと思えば、閉経直後は大丈夫なのに、それから10年くらいたった60歳過ぎから更年期症状が激しくなる女性もいます。私の男性更年期外来は原則、パートナーが同伴するので男性はもちろん、その看病をするパートナーの話を聞く機会が多いのです。夫がうつ状態になっているのに、こちらがびっくりするほどあっけらかんとしている妻も中にはいますが、多くの妻は夫の看病や世話に疲れ果て、夫の心無い暴言で心がずたずたになっています。妻に夫を支えてもらわなければ治療は捗らないので、私は妻のカウンセリングや治療を始め、現在までに100名近い女性の相談に応じてきました。驚くことに多くの女性の更年期症状はあっという間に改善するのです。今まで、女性外来で長い時間治療をしていた妻も、夫と同時に治療することでスムーズに治療できることがわかってきました。多くの女性外来や更年期外来では夫が同伴することは稀なので夫婦揃っての治療ができないのしょう。夫にとっては女性の更年期障害は誰でも起こるし、命に別状はなく時間が解決すると思っていますが、実は妻の更年期の原因の大半が夫の何気ない言動にあるのです。
さらに厄介なのは夫がそのことを自覚していないのです。女性の更年期障害の本質に迫り、夫に自覚を促すことを目的に2011年11月22日(良い夫婦の日)に大阪大学出版会から“夫
源病”を出版いたしましたのでご興味のある方は購読していただければ幸いです。

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