女性外来の診察室から

No.28 人間ドックと女性外来 (千葉西総合病院)

今回は千葉西総合病院 健康管理センターセンター長 小西明美先生の投稿です。

 

今回は、当院で行っている人間ドック受診後の事後指導の場としての女性外来のご紹介です。

 

人間ドックとは、一見健康な方であっても隠れた疾患はないか、或いは、現在の生活習慣に、何らかの体調不良や将来の疾患リスクにつながるような問題がないかを調べ、総合的な健康評価や健康増進に有益なアドバイスを行う場です。

守備範囲が広く、実際には様々な相談を受けることが多い場でもあります。

なかでも、女性特有の更年期障害や、冷えなどの不定愁訴には苦慮することが多く、そのような方に、当院ではドック後の女性外来受診を推奨しています。

 

 具体的には、人間ドック受診時の結果説明の際に、重い器質的疾患は認めないが、生活の質が低下するような不定愁訴がある方に、女性外来について説明し、受診を勧めます。そして実際に女性外来受診を希望された方に対して、優先的に外来を予約します。

  

 外来では、人間ドックの結果も参考にしつつ、さらに詳細な問診を決まった書式で聴取し、西洋医学的診察だけでなく、東洋医学的な診察を行います。ぞしてその方に応じた生活指導を、東洋医学的な未病の考え方も用いて行っていきます。

大多数の受診者は、何らかの気血水のバランスの崩れを認めることが多く、それに対し希望者には漢方治療を提供しています。

 

 ここ3年余りで、ドック経由で女性外来へ受診された方32名の平均年齢は52.3歳(201名、303名、405名、5016名、607名)で、年代は20代から60代まで幅広いものの、やはりドック年齢を反映して更年期世代が中心でした。

20代から30代は、生理痛や不妊の相談、40代から50代半ばまでは、発汗、ほてり、動悸、気分の落ち込みなどの 更年期症状の他、冷え、めまい、頭痛、肩こりなどの訴えが多く、50代後半から60代では、倦怠感や睡眠障害が多い傾向がありました。

これらの傾向は、やはり女性のライフサイクルに応じた主訴を反映したものと思われます。また、そういった方の社会的な要因をみると、仕事のストレスや家族の病気、介護の問題が多く、お話を伺いつつ自分の身につまされることが多くあります。周囲のサポートが得られると症状の回復は早いのですが、解決しがたい問題も多く、心身一如ということを実感します。

 

 ほとんどの方が、漢方での治療を希望され、用いた漢方薬は、圧倒的に加味逍遥散が多く、他には芎帰調血飲、女神散、半夏厚朴湯、桂枝茯苓丸、加味帰脾湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰芍薬散、半夏白朮天麻湯、五苓散、補中益気湯、六君子湯、六味丸など多岐にわたります。

 

 そして約75%の方で半分以上の自覚症状の改善がみられ、16%の方では治療を終了して卒業となりました。

その間の生活指導では、食事や運動、睡眠衛生指導などの一般的なものの他に、冷え対策や季節の過ごし方生活時間の工夫など、漢方講義で習ったことを役立てています。また、定期的な人間ドックの受診やライフサイクルに応じた検診の推奨を行い、6割以上の方が人間ドックのリピーターとなっています。

 

 当院は、女性外来担当医が人間ドックを主な仕事としているため、第一線の女性外来ではなく、主にドック後の方と、院内紹介の患者様が中心となっておりますが、未病の時期からの介入ができる予防医学的な女性外来を今後も展開していきたいと考えています。

 

千葉西総合病院 健康管理センター センター長 小西明美

http://www.chibanishi-hp.or.jp/

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