山梨県立中央病院 女性専門科医長 縄田昌子先生の投稿です。
当科は2005年3月に山梨県初の女性専門外来として開設されました。
当院の特徴は外来専任の常勤の内科医1名と非常勤の内科医2名の計3名の医師で月曜から金曜まで週5日午前午後2診体制で、診療時間が多いことです。
また予約の電話対応、初診だけでなく再診時も診察前に看護師が関わり、恵まれた環境の中で診療が行われています。
主治医制で診断・治療から終診まで担当します。
1か月の患者数は550名前後です。
開設から2016年3月31日まで11年間で初診4,157名、のべ59,106名が受診しました。11年間安定して患者数を保っています。
受診者が年々増加したことから、2010年4月からは一律30分の診療時間を初診1時間、再診15分に変更し予約枠を増やして対応しています。それでも初診予約は平均1か月先の状況が続いており、再診予約枠は常に100%程度の稼働率を保っています。
当院は山梨県の基幹病院として高度専門医療を提供していることもあり、当科には各専門診療科の狭間におちてしまった方が多く受診しています。
当院は都道府県がん診療連携拠点病院であり、県内唯一の総合周産期母子医療センターを併設しています。そのためがん診療に関わる悩み、乳がん術後のホルモン療法による更年期障害、産後の不調などを訴え受診する方が多いことも特徴です。
また当科は40の専門診療科を有する総合病院の中にあり、開設以来各診療科との連携を大切にしてきました。専門診療科からの紹介患者は器質性疾患が除外されているため診療がスムーズにできますし、当科で器質性疾患を疑った場合には専門診療科に紹介できます。
傾聴や東洋医学的アプローチなどで症状が改善することもあり、診療時間が限られている専門診療科の先生方と持ちつ持たれつで連携しています。
〈外来開設11年、女性の総合診療科として〉
開設以降女性の様々な不調に向き合い、器質性疾患を除外し機能性、精神科疾患を治療し、結果的に女性の総合診療科としての役割を果たしてきました。
そして2015年4月に総合診療科が開設された際、それまでの内科所属から総合診療・感染症センターに女性専門科と名前も新たに所属することになりました。
総合診療科からの紹介患者は、これまで当科を受診した方々とは異なる傾向にあります。
女性専門外来を目指して受診するのは、女性ホルモンの変動に影響を受ける世代が多いのですが、総合診療科からの紹介患者はどちらかというと年齢層が高く、80歳以上の方もちらほら受診します。
主訴にも若干異なる傾向があり、総合診療科からの紹介患者の方がより複雑でわかりにくい訴えで受診します。ただ訴え方が複雑なわりに漢方薬によく反応する印象もあります。総合診療科とは、お互い紹介した患者のデータを分析し今後どのように関わり、よりよいセンターを築いていくのか検討しているところです。
これからも女性の総合診療的な役割を果たすべくコツコツ頑張りたいと思います。
山梨県立中央病院 女性専門科医長 縄田昌子
http://www.ych.pref.yamanashi.jp/shinryo/jyosei.html
(写真:山梨県 西沢渓谷)
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