2018.11.28
ある日の「怪しい」体験
千葉県柏市 春日医院の春日葉子先生の投稿です。
その日は天野惠子先生の喜寿お祝い会の翌日だった。
性差医療情報ネットワークの研究会に出席するため四ツ谷に向かう電車の中で昨日は楽しかったと思いにふけること数分、気になるのは右耳横の顔に出来た1㎝ほどのシコリ。
約2か月前から気付いてはいたが、これが粉瘤だと確信したのは約2週間前。
1週間前から少し赤くなり、触ると柔らかくなってきた。
これはいかん!化膿している!どうにかせねばとお祝い会後の夜に調べまくった。
内科医の私にとって、皮膚科や形成外科の最新の知識は一般人と同じとまでは言わずともほとんどなし。
ネットで調べたら粉瘤専門のクリニックを発見!
医師全員が形成外科医で手術痕にはかなりこだわりがある様子。
何か良さそう… んっ?
「土日祝日も診療、フリーダイヤル24時間365日対応」
うわっ!怪し過ぎる! 今、夜中の1時だけれど電話してみようかな?いやいや、怪し過ぎるからやめよう。
朝になり、電車の中でもう一度検索してみた。
すると、例の怪しいクリニックは虎の門病院と医療連携していることがわかって決心がついた。
粉瘤だったらこのまま放っておいても治らない。むしろ大きくなって厄介なことになる。
顔の中心ではないから目立たないといえば目立たたないが、女性としてはかなり気になるし、これから先いつ時間が取れるかわからない。
今日がチャンス! 勉強会も大切だけれど自分の顔はもっと大事。
天野先生、NAHWの先生方、申し訳ございません。
私は自分の顔を優先します!
先生方に心の中で合掌しながら、新御茶ノ水駅で電車を降りてすぐクリニックに電話をかけた。
思いがけず昼前の時間が空いており何てラッキー。
新宿駅から近くて分かりやすく、田舎者の私としては有難い。
予約時刻の5分くらい前に名前を呼ばれて診察室に入ると、先生がエコーのプローベを持って待ち構えていた。
「場所はどこですか?」の問いに、急いでピアスを外し右耳を突き出したところ、あっという間に「粉瘤に間違いないです」と診断。
「外でお待ち下さい」のお言葉に思わず、「今日、処置して頂けるのですか?」と普段より1オクターブ高い声を出した私。
「順番に行いますから」に嬉し涙。
問診票を記入してしばらく待っていると先程の先生から処置室に呼ばれ、ベッドに臥床してすぐに手術が始まった。
耳の辺りに細かく振動する何かを当てられ、2回ほど麻酔の注射。振動しているのでいつ注射されたかがわからないような感じ。
シコリのほぼ真ん中に小さな穴を開け、その穴からグリグリと内容物を掻き出している感触はあるが痛くない。
自壊(内側の袋が破ける)していたため中は出血しており、袋の一部を摘出。
厚いガーゼを当ててテーピングをし、ものの何分かで終了。
内科医であることを伝えていたので、「千葉方面からも患者さんがいらしていますからよろしければ御紹介ください」と言われ、「怪しいですが…」とクリニックのパンフレットを持って来て下さった。
ええっ‼ 私が始めに怪しい診療所ではないかと疑ったことがどうしてバレてしまったのだろう?
「いえいえ、怪しいなんてそんな…」と答えたが、後から思い返すと笑ってしまう。
お支払い時に受付で施術して下さった先生のお名前をお伺いしたら、何と、院長先生だった。
ますます可笑しくなってしまい、対象の患者さんがいらしたら紹介しようと本気で考え、このクリニックを選んだ自分の運と感の良さにマスクの下はドヤ顔で帰宅した。
お陰様でシコリはなくなり、穴は徐々に塞がってきている。
全然、怪しいクリニックではなかった。
少しでも疑ったことを申し訳なく思っているが、院長先生御自ら「怪しい」とおっしゃった理由は未だ謎である。
*粉瘤(ふんりゅう):垢や皮脂などの老廃物が皮膚の内部にたまることによってできる、良性の腫瘍のこと。皮膚の内側に袋が形成され、本来剥がれ落ちるはずだった老廃物がその袋に入りこんだもの(アイシークリニック新宿院)
春日医院医師 春日 葉子
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