2017.12.12
漢方薬マーケットの拡大と更年期漢方
医療用漢方製剤のマーケットが急成長しているのをご存知でしょうか。
ツムラのホームページ公開情報によると、2005年には941億円であった市場が、その11年後の2016年には1481億円へと成長しています。
実に57%の市場成長です。
2年に1度の薬価改定で漢方製剤も毎回3~4%の低下をみせていますが、その中での約6割成長は非常に順調な市場成長であるといってよいでしょう。
1971年から1973年生まれの団塊ジュニアと呼ばれる世代の年齢が40代中盤に差し掛かっています。
女性は更年期の症状が現れる年齢です。いわゆる「不定愁訴」人口が今後は増加するだろうと思います。
上の漢方マーケットの拡大も、もしかすると拍車がかかるかもしれません。
さて、アナリスト的な話はここまでにして、
私も団塊ジュニアですが、頭が痛い、低血糖連発、全身だるい、腰痛・・・あとはなんだっけ、位にいろいろあります。
そこで、自らネットで調べたり、医師に指示を仰いだりしつつ、手持ちにしている漢方を列挙してみたいと思います。
●加味逍遥散:カミショウヨウサン
更年期の不安や抑うつ症状、イライラに効くと書かれています。寝つきが良くなりますよ、とおっしゃる先生もおられます。中年以降の肌荒れがよくなったという方もいるようで、味もそんなに悪くないと思います。
●当帰芍薬散:トウキシャクヤクサン
主に肉体的な症状にいいようです。更年期の疲労感や冷え症等に処方されています。カミショウヨウサンだけではなんだか体調がいまひとつ、という時にいいように思います。
●抑肝散、抑肝散加陳皮半夏:ヨクカンサン、ヨクカンサンチンピハンゲ
イライラ、怒りっぽい、などに効きます。抑肝散加陳皮半夏は胃腸の弱い人向け、とのこと。大事な講演会や会議前等で興奮しすぎないように、という意味でもいいのかもと思います。
●呉茱萸湯:ゴシュユトウ
頭痛・肩こりといえばゴシュユトウ、というくらい代表的な漢方です。ただ、とにかく個人的には不味いと思います。不味さのせいか、成分のせいか、私は服用後にかえって吐き気がして気分が悪くなるので、食後オンリーで飲む方がいいのかなと思っています。個人的にはイブプロフェンの勝利、と思っていますが・・・・
●六君子湯:リックンシトウ
胃腸が弱い、吐き気、食欲不振などの漢方です。
この性差医療情報ネットワークの会員だった故木下優子先生の漢方講座を受けたときに胃腸には「蒼朮(ソウジュツ)がとにかく効果的。だからリックンシトウは効果があるようだ」と私には聞こえました。そこで、自宅の一番突発的な吐き気によくきく胃腸薬の成分をみてみたら見事に蒼朮(ソウジュツ)が含まれていました。
胃腸に良い漢方はいろいろあるようですが、個人的にはリックンシトウ推しです。
以上が今の私の主な手持ち漢方ですが、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)も比較的短期(3ヶ月以内)でかなりの効果があった、というのを私の周りだけでも2人の40代・50代女性から聞いています。
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)は体力低下や疲れの代表的漢方ですよね。
1人はまるでメンタルかのようにうつ症状でしたが、すっかり元気になりました。もう1人は逆にイライラマックス、といった人でしたが、これまたすっかりよくなり、仕事も順調で海外に出張にまで出向いています。
彼女たちを見ていると案外「病は気から」ではなくて、「身体の病が気に映る」のでは・・・とも思います。
体力がないから、メンタルが壊れやすくなるのではないか、という感想です。
季節はもうすぐ12月。寒さが日に日に本格的になっています。
風邪のひきかけにはわかりやすく葛根湯(カッコントウ)愛用者が見かけられます。
私は気がつかずに無理をするらしく、風邪に気がつくと「風邪のひきはじめは終わっていた」状態なので葛根湯(カッコントウ)を通過して、OTCの風邪薬直行コースです。
何事も無理はしないこと、そして、早めに気がつき予防することを漢方は推奨しているのだと常々感じ、反省しています。
㈱ニッセイ基礎研究所
生活研究部アナリスト 天野馨南子
http://www.nli-research.co.jp/topics_detail2/id=39?site=nli