2016.11.08
イクボスを目指そう!
秋田大学医学部総合地域医療推進学講座
総合地域医療推進学講座寄付講座准教授 蓮沼直子先生の投稿です。
近年、医学部では女子医学生が4割を超える大学も出てきており、全医師では20.4%を占めるまでになった。
また医師国家試験の合格者に占める割合は平成12年から30%を超えている。今後10年の間に40台の女性医師の割合は3割を超え、指導医として活躍することが期待される。
しかし、そういった中でもいまだに女性医師が特に出産・育児といったライフイベントにキャリアを左右されるのは事実であり、男性より早く病院を退職し、診療所勤務や非常勤になっている。子育てをしながら病院常勤医師として、第一線で活躍することには困難が伴うといわれている。
その解決策の一つとして、「イクボス」がある。
最近では小池百合子都知事もイクボス宣言したことで、注目を集めた。
イクボスとは職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織も結果を出しつつ、自らの仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことを指す(対象は男性管理職に限らず、増えるであろう女性管理職も)とそのホームページに記載されている。
一般に女性医師が働き続ける際に必要な条件として、保育施設・病児保育などの社会資源や本人のやる気ややりがい、配偶者の理解や協力、そして上司や職場の理解や協力があげられることが多い。
最近では本人のやる気といった精神論では環境が整備されていなければ歯が立たないという議論もされており、興味深い。
トップがとにかく仕事を辞めずに継続しようという方針を打ち出し、発信することが重要だと考える。その上で個別の事情に対応していくことが望まれる。
一律にすべての女性医師に対する万能な支援策はないのだ。
育児中の女性医師の支援体制が整うということは、今後増えていくとされる時間制約のある医師にも働きやすい職場になるだろう。
今後はそれぞれが自分で考えるイクボスを目指すことが重要であり、組織全体でも考えていく必要がある。
秋田大学医学部総合地域医療推進学講座
総合地域医療推進学講座寄付講座准教授 蓮沼直子
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