2016.09.16
骨髄異形成症 ②
天野惠子理事長の投稿です。
骨髄異形成症は、骨髄の中にある赤血球、白血球、血小板などの細胞を作り出すもとになる造血幹細胞に異常が起きることにより、血液細胞がうまく作り出されないことが血球減少の原因と考えられています。
何故、造血幹細胞の遺伝子に異常が起こるのかは良くわかっていません。
放射線照射や抗がん薬の投与を受けた患者さんに、二次的に骨髄異形成症が起こることがあります。全体の約50%に染色体異常があり、がん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常が証明される例もあります。これらの遺伝子異常のために遺伝子が不安定な状態になり、当初は作られた血液細胞が早く死んでしまう(アポトーシスを起こす)ために血球が減ります。
しかし、やがて増殖能力の高い変異細胞が生まれ、その結果、急性白血病に移行すると考えられています。
疫学:
男女比は1.5~1.7と男性に多いです。発症は40代から次第に増加し、高齢者に多い疾患であるため、先進国では平均年齢の増加に伴い患者数が増加傾向にあります。
症状:
病気の初期の時には、無症状のことも多く、健康診断やほかの病気の検査中に偶然発見されることもあります。
病気の進行に伴い、減少する血球の種類により下記のような症状が出てきます。
①赤血球減少(貧血):体がだるい、息切れ、動悸など
②白血球減少:細菌、ウイルス、カビなどに対する抵抗力の低下による、
発熱・体のだるさなど
③血小板減少:鼻血、歯ぐきからの出血、皮下出血・内出血ができやすい
予後ならびに経過を左右する合併症として、白血病化が恐れられていますが、骨髄異形成症の病的状態と死亡に大きく寄与するのは、血球減少による病態です。
貧血は最も一般的な血球減少症ですが、輸血が容易に受けられますので、貧血から致死的状態になることは稀です。
しかし、血小板減少による出血と、白血球減少による感染症は往々にして死にいたります。