天野理事長ブログ&スケジュール

2016.08.05

無理は禁物(私の実体験から)

天野惠子理事長の投稿です。

 

長い間、臨床医をしていますと、医学教育の課程の中で習わなかったことに遭遇することがままあります。

そのような時、古い文献、新しい文献を探す中で、同じような症例や事例を見つけることが出来、「なるほど」と納得することも多く、その経験が次の患者さんを診る際のヒントになって行きます。患者さんの訴えや所見に対し、センサーを沢山持つ医師は、当然患者さんから学ぶチャンスも大きくなり、「あの先生の見立ては凄い」と言う評判をとることにもなります。

 

そのような医師になりたいと日々努力している私ですが、やはり、自分自身の経験が患者さんへの大きな説得になると実感する今日この頃です。

 

更年期以降の私の経験が、女性外来の創設のきっかけだったと言う話は以前いたしました。ストーブに近づきすぎてズボンに直径10cm大の焼け焦げを作ることになった強い冷えや、軽いコートまで重く感じ、足が前へ進まない疲労感・倦怠感、さらには、下半身の絶え間ない痺れなどがありました。思いつく西洋医学的な検査を全て行いましたが、異常は認められず、自分なりに「これは脳の認知に異常が起きているのでは?」「脳はストレスに対して弱い」と思いました。

 

更年期障害は、「女性ホルモンが枯渇する」ストレスに対する脳の反応が引き金です。

数年前にも、「これは脳の異常だ!」と思う出来事を経験しました。

午前2時まで確定申告の書類と格闘し、その後、入浴、就寝、5時起床。午前6時に仕事のため家を出ました。石神井公園駅の階段を上る時は何の異常も感じなかったのですが、下り始めたら両足がかくかくと力が抜け、思わず荷物を放り投げ、尻餅をつきました。ほんの数秒の出来事でしたが、「あ、頭がまだ眠っている」と納得した出来事でした。

 

そして今年の6月9日、朝起床時に「首が回らない・寝違えたのかな」と言う状態が出現。痛みは、その後2週間の間に、首から右の鎖骨・胸骨・全胸部と進み、右肩甲骨から背部へと広がっていきました。「え、何これ。関節炎?」などと、自問自答しつつ抗炎症鎮痛剤を塗りながら、仕事をしていました。6月17日、2ケ月前から文献と格闘しつつ書いていた依頼原稿が仕上がり、依頼者へメイルで送付。さあ、7月6日の講演に向けて準備をしようと思うのですが、異様に眠い。とうとう、睡魔に負けてお風呂にも入らず、午後9時にパタンキューと眠ってしまい、翌日6時に目覚めました。

 

嘘でしょう!痛みがすっかり消えている!

73歳の私にとって、ちょっと力の入る依頼原稿と、7月6日の大きな講演への準備は脳にとってストレスだったのですね。脳疲労を起こした結果の身体の痛み。そういえば福島県立医大の整形外科教授が、腰痛の原因として整形外科的に診断されるのは15%であり、一番大きな原因は脳の疲労ではないかと話されているのを聞いたことがあります。

 

2週間続いた痛みが1夜で解決した今回の経験は、私にとって色々なことを考えさせてくれました。無理は禁物です。

公園で寝てる猫

 

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