天野理事長ブログ&スケジュール

2015.03.30

認知症予防のために運動をしましょう。

3月1日、あいにく午前はどんよりと曇った天気の中でしたが、多くの方々に参加していただいて「性差医療情報ネットワーク(NAHW)平成26年度市民公開講座」が無事終了いたしました。

3月1日、あいにく午前はどんよりと曇った天気の中でしたが、多くの方々に参加していただいて「性差医療情報ネットワーク(NAHW)平成26年度市民公開講座」が無事終了いたしました。

 

講師は、順天堂東京江東高齢者医療センター副院長 一宮洋介先生です。

講演のタイトルは「認知症が心配なあなたに - 認知症にならないためには、そしてなったら」です。先生は、普段一般の方々が見る機会のない、脳のMRIやCTの写真もまじえ、分かりやすく説明してくださいましたので、参加者の方々からも、多くのお礼の言葉をいただきました。

その際にも、変性性認知症は発症の数十年前から脳の変性が始まっていること、今後は、神経細胞の変性の進展を如何にして遅くするかが課題であると話されておりました。

 

最近、高齢者がいきいきと生活できる社会の創出をテーマにしたシンポジウムを目にするようになりました。3月15日「卓球を通して健康寿命に貢献する会」が発足し、NAHWも協力団体として参加しています。私は、当日、所要であいにく参加できませんでしたので、下記のようなメッセージを送りましたのでここにご紹介させていただきます。認知症をどうしたら予防できるのかについての見解を書かせていただいています。

 

- 卓球をとうして健康寿命に貢献する会へのメッセージ -

 

「卓球を通して健康寿命に貢献する会」の発足を心から嬉しく思います。

日本は世界に冠たる長寿大国。10年後には、認知症高齢者の数が730万人に達するとされています。

私は2001年以来、女性の健康をサポートするための女性外来を担当しています。

そこでも、「最近、物忘れがひどい、認知症ではないかと心配」「身内(義父母・実の両親など)の物忘れが進んでいる、病院に連れて行くべきかどうか迷っている」「認知症の家族を抱え、介護負担が大きく、体を壊しそうだ」など、色々な相談を受けます。そして最後には「先生、私、認知症だけにはなりたくないのです、何か予防法はないのですか」と聞かれます。

 

アルツハイマー病の原因の一つにアミロイドβの脳への沈着があります。アミロイドβの沈着は、症状の発現に先立つ数十年前から始まっていることが明らかになっています。全く症状の認められない超早期の段階から発症予防に取り組むことができるなら、認知症の発症を先送りすることが可能ではないかと考えられます。

 

まず、認知症は生活習慣病であると認識しましょう。ことに、認知症の2割を占める脳血管性障害による認知症(血管性認知症)では、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症、高尿酸血症などの生活習慣病の改善が一番の治療となります。

 

アルツハイマー病をはじめとする脳の神経細胞の変性による変性性認知症の最大の危険因子は、年齢です。暦年齢は残念ながら変えようがありません。しかし、暦の年齢に関係なく実年齢を若く保つことはできます。ここでは、運動、栄養、休養と睡眠がキーワードとなります。

中でも、今注目されているのが、運動の認知症予防効果です。

軽度認知障害の患者さんを対象とした多くの成功例が発表されています。

卓球では、老若男女、その体力に合わせて、全身をくまなく動かし、同時に頭では相手を攻略する作戦を練っています。この体を動かす作業と、頭を使う作業の2つの課題を同時にこなすことが、脳の普段使っていない部分を活性化し、アミロイドβの沈着で死んだ細胞の代わりをするようになるのです。

 

私は、学生時代、決して熱心な卓球部部員ではありませんでしたが、今回の企画への参加を通して、もう一度ラケットを握ろうと考えています。

 

一緒に健康な長寿社会を楽しみましょう。

卓球

Copyright © 2014 Japan NAHW Network. All Rights Reserved.